
Image by: FASHIONSNAP

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歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第79回は「ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)」レザーカーコート編。
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2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
自動車とカーコートの進化の歴史
様々なモノの値段が上がっている昨今、ブランドアイテムの値上がりに驚くことも少なくありませんよね。そんなときに味方になってくれるのが、古着です。昨今の人気の高まりから、価格が上昇してしまったヴィンテージも数多くありますが、それでもまだお買い得な掘り出し物はあるんです。今回紹介するラルフのカーコートはその代表格と言えるでしょう。

カーコートとは、文字通り自動車に乗るときに着用するコートのことです。後に「メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)」となる企業グループの礎を築いたカール・ベンツ(Karl Benz)が、世界初のガソリン動力自動車を作ったのが1886年のこと。1908年には自動車王、ヘンリー・フォード(Henry Ford)によるT型フォード(Ford Model T)が登場し、世界各国に自動車が普及していきました。その頃の自動車は屋根のないオープントップのものが多く、寒さや埃から身体を守るために着用されたのが、カーコートでした。防寒用のカーコートには毛皮や厚手のレザーなどが、埃よけのカーコートには軽量なリネン素材が用いられることが多かったようです。しかしその後、自動車は凄まじい勢いで進化していきました。1910年代には幌(ほろ)や固定式の屋根を備えたクローズドボディの自動車が増え始め、1920年代になるとオープンカーよりもクローズドカーの生産台数が多くなりました。また、1920年代にはオプションでヒーターを付けた自動車が売られ始めます。自動車の進化にあわせて、カーコートも進化していきました。防寒性はそれほど求められなくなったので、生地は薄く、軽くなり、乗り降りしやすいように丈も短くなっていきました。
今回は、1930年代以降のヴィンテージのカーコートに着想を得たと思われる3点をピックアップしました。最初に紹介する2点は、2023年のベストバイでも挙げた、ポロ ラルフ ローレンのアイテム。どちらもとてもシンプルなデザインで着回しがしやすいので、毎年ヘビーローテションしています。以前、レザースイングトップの記事でも紹介しましたが、ラルフのレザーアイテムは上質な革を採用しているものが多く、これらのカーコートに用いられているカウレザーとラムレザーも、かなりのクオリティです。にも関わらず、ヴィンテージ市場での相場はどちらも10万円前後。高級ブランドのレザーアウターだと考えると、お求めやすい価格ではないでしょうか。






稀代のカリスマが着用した人気モデル
こちらは「ダブルアールエル(RRL)」のカーコートです。1993年に登場したダブルアールエルは、ヴィンテージからインスパイアを得たデザインと、高品質な素材、そして職人の手作業による後加工に定評があります。このカーコートも、「茶芯」と呼ばれる芯が茶色に染色されたシボ感がある上質な革が用いられているほか、襟やポケット部分の色褪せや、肘部分のシワなど、ダブルアールエルならではのエイジング加工が施されており、非常にハイレベルな一着に仕上がっています。









アイテム自体、とても高い魅力を持っているこのカーコート、実は2019年に放送されたドラマ「グランメゾン東京」で木村拓哉さんが着用していたことでも知られているんです。それもあってか、このアイテムの相場は70万円ほど。ダブルアールエルは元々生産数がそれほど多くないこともあり、ヴィンテージ市場でもなかなか出てこない逸品です。とはいえ、先に紹介したように、「キムタク着」以外のラルフのレザーカーコートならば、お手頃な価格のものが数多く出回っています。気になる方は、今後より一層注目度が高まる前に是非チェックしてみてください。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
最終更新日:
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vol.67 リーバイス 501 66 前期編
vol.68 P-44 ダックハンターカモ編
vol.69 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.1
vol.70 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.2
vol.71 VCMマストバイヴィンテージ座談会 vol.3
vol.72VCM VINTAGE MARKET Vol.7のマストバイ 前編
vol.73 VCM VINTAGE MARKET Vol.7のマストバイ 後編
vol.74 リーバイス デニムウエスタンシャツ編
vol.75 ポロ ラルフ ローレン ファイヤーマンジャケット編
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