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【令和のマストバイヴィンテージ】今買っておくべき名品は? vol.81 リー フリスコジーンズ編

リー フリスコジーンズ

Image by: FASHIONSNAP

リー フリスコジーンズ

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リー フリスコジーンズ

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 歴史的な背景を持つ、ヴィンテージ古着。製造された年代が古いものや希少性が高いものが一般的に珍重されていますが、ヴィンテージの楽しみ方はそれだけではありません。この連載では、さまざまな視点でヴィンテージ古着の楽しみ方が味わえるアイテムを、国内最大規模のヴィンテージの祭典を主催するVCM代表 十倍直昭が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に紹介。第81回は「リー(Lee)」フリスコジーンズ編。

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VCM inc.代表取締役

十倍直昭

2008年よりヴィンテージショップを運営。その後2021年には、ヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、来場者を1万人以上を動員する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。
また渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」、エルメスジュエリーを専門に取り扱う予約制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLERY」を運営。
2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、全国のヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。

特徴的なポケットの用途は?

 アメリカの老舗ブランドであるリー。「リーバイス(Levi’s®)」や「ラングラー(Wrangler)」と同じく、デニムパンツの印象が強いと思いますが、今回ピックアップしたフリスコジーンズ(フリスコパンツ)には、デニム生地は用いられていません。この個体に用いられている綿ツイルの他、ダック地やコーデュロイなどが主に用いられてます。

リー フリスコジーンズ

 フリスコジーンズの最大の特徴が、フロントポケットです。ジーンズやチノパンツに用いられているポケットとは、フォルムがかなり違いますよね。フリスコジーンズは、港湾をはじめ、工場や鉄道整備、建設現場などのワークシーンで着用されていたのですが、このポケットの仕様は労働者たちが仕事で使う工具や小銭類を頻繁に出し入れしやすくするためのものだと言われています。ヴィンテージ愛好家は、こういう由来があるディティールにはロマンを感じてしまうのですが、実はこのポケットは現代の日常生活においては非常に使いづらいんです(笑)。

リー フリスコジーンズ
リー フリスコジーンズ

工具類を入れるためにフロントポケットの袋布も深い

 フリスコジーンズは、以前当連載でも紹介したアメリカの老舗ワークブランド「キャントバステム(CAN’T BUST’EM)」の看板商品でしたが、キャントバステムが1946年にリーに買収された後も、リーブランドから継続して販売されていました。また、「ベンデイビス(BEN DAVIS)」などの他のワークブランドもフリスコジーンズを販売していたので、ワークウェアとしてかなり認知度と需要が高かったのでしょう。バックポケットも特徴的で、左側のポケットにだけスナップボタンが付いています。そして、もうひとつ面白いのが、ベルトループが真ん中からずれている点です。これは「オフセット」と言われる仕様で、リーバイスのXX(ダブルエックス)モデルにも見られるディテールです。厚い生地が重なる部分を避けて縫うことで、作業効率を上げるための工夫だと言われています。

リー フリスコジーンズ

ポケットの内側には労働組合加入メーカーの証であるユニオンチケットが付いている

フリスコジーンズ高騰の要因は?

 フリスコジーンズは元々評価の高いアイテムでしたが、近年特に若い世代からの支持を集めるようになっており、ここ1〜2年くらいで一気に旬のアイテムになったという印象があります。直近の相場は15万円くらいから、高い個体ならば25万円を超えるくらいまでに高騰しているのですが、その理由は「黒」という色にあると、僕は推察しています。黒は、昔からヴィンテージ市場では特別な色でしたが、近年のブラックデニムの高騰に代表されるように、ここ数年でその存在感がさらに増しているのです。

リー フリスコジーンズ
リー フリスコジーンズ

 フリスコジーンズに黒の個体が多いのは、油汚れやすす汚れ目立ちにくくするためだと言われていますが、その独特のフェードは、唯一無二。特に、退色して墨黒になった個体の存在感は格別です。また、ダメージやリペア跡がある個体の評価が高いのも、フリスコジーンズの特徴と言えるでしょう。今後、相場はさらに高くなることも充分予想されるので、気になる方は早めのチェックをオススメします。

編集:山田耕史 語り:十倍直昭

最終更新日:

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