テニスプレイヤーの大坂なおみやバスケットボール選手のサブリナ・イオネスク、プロゴルファーのミシェル・ウィーといった女性トップアスリートからも支持される「ナイキ(NIKE)」。近年はアスリートに限らず、年齢や体型を問わず「すべての女性」がスポーツを楽しめる製品開発に力を入れています。日々変化していく女性の身体にナイキはどのように寄り添い、プロダクトに落とし込んでいるのか? 米国本社で開催されたプレスツアーから探ります。
本特集記事の前編では、ナイキがなぜ今ウィメンズを強化するのか、特別に公開されたラボの内部とあわせて追います。
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なぜ今、女性に投資するのか
今回開かれたプレスツアーは女性がテーマというだけあって、参加者は女性限定。世界10数ヶ国からメディア関係者やインフルエンサーが参加しました。2日間にわたるプレスツアー前日には「日々を頑張り続ける女性にリラックスしてほしい」という思いから、参加者向けにピラティスやスパなどのアクティビティ体験も用意されました。
心も身体も整い、幕を開けたプレスツアー初日には、NIKE WOMENのバイス・プレジデント、エイミー・モンターニュ(Amy Montagne)氏がプレゼンテーションを実施。同社は「身体があればアスリート」を提唱しており、アスリートの肩書きを持つ人だけではなく、「身体を動かすことを楽しみたい」というすべての女性がスポーツを楽しめる社会を目指し、様々なライフスタイルやアイデンティティ、体型に対応できるプロダクトを開発しています。2019年以来、ウィメンズ商品開発への投資額は2倍に。この数字からも力の入れようが伝わってきます。
「身体を動かすことを楽しんでもらいたい。そしてナイキのコミットメントを感じてもらいたい」とモンターニュ氏。今回は、女性をテーマに掲げた前回(2019年)のプレスツアー開催時にはなかったリークプロテクション(漏れ防止ショーツ)に加えて、革新的な技術を取り入れたプロダクトが披露されました。詳細は後編でお届けします。
「科学的に答えることができる」本社ラボに潜入
デザイン面だけではなく、専門家の知見を取り入れ、科学的にも根拠を説明できる開発を心がけるナイキ。その商品開発が行われる本社オフィスにも様々なイノベーションが取り入れられていました。本記事ではその一部を紹介します。
本社オフィスへのアクセスは、ポートランドの中心地から車でおよそ20分。本社の広さは400エーカー。。。なんと、東京ドーム約34.77531個分に相当するのだそう! この広大な敷地内にはいくつかのビルが並び、いずれもナイキに縁のある選手の名前が付けられています。
女性向けプロダクト開発の要となる「ナイキ スポーツ研究所(Nike Sports Research Lab)」があるのは、「レブロン・ジェームズ・イノベーションセンター(LEBRON JAMES INNOVATION CENTER)」。傾斜のあるトラック付きの外観デザインはまさに圧巻です。
Image by: FASHIONSNAP
余談ですが、プレスツアーのジョギングでこの坂を走ってみました。上り始めて半分ほどの距離でもう足が止まってしまい、頂上に着く頃には足が動かせなくなるくらいキツかったです。。。
さて、ビルの中に入ると、至るところにレブロンファン垂涎の写真や関連プロダクトがずらり。
Image by: FASHIONSNAP
バスケットゴールの床周辺には、レブロンがこれまでNBA公式戦でゴールを決めた全得点の位置がゴールドの○で記されています。NBA最多得点記録を33年ぶりに塗り替えたキングことレブロンの活躍を実感しますね。ちなみに黒の○は外したシューズの位置だそう。
エントランス付近の壁面ではパタパタパタとフラップ式で文字列が入れ替わり、来場者を迎え入れます。
ちなみにプレスツアーで伺った際には「NO PHOTOS, NO SOCIAL MEDIA, KEEP IT TIGHT(撮影およびSNSへの投稿はNG。しっかり守ってください)」のメッセージが......! 「今回のプレスツアーは特別にラボ内の撮影を許可しているので大丈夫ですよ」とナイキの担当者。安心しました(笑)。
さらに奥に進むとナイキ スポーツ研究所があり、人工芝のサッカーコートやランニング用のトラック、バスケットコートなどが完備されています。
ナイキ スポーツ研究所は「科学をツールにイノベーションが生まれる場所」と位置付けており、身体の動きに加えて、身体を動かしやすくするために汗や感情まで分析。スニーカーやデザインの会社だけではなくサイエンスの観点でも優れた企業体を目指しています。ナイキ スポーツ研究所の規模だけでなんと約8000平方メートルに及ぶのだとか。
Image by: FASHIONSNAP
トラック内側をよく見ると瞬速で走っていく光を発見。一番早い光が車椅子マラソンの世界記録ペース、次に早いのがエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)選手の世界最高記録ペース、最も遅いのがナイキランニングクラブ(NRC)の世界平均ペースなのだそう。キプチョゲ選手の光は目でも追いきれないスピードでした!
日本からプレスツアーに参加した長谷川ミラさんが伴走。 Video by FASHIONSNAP
このトラックはただ走れるだけではなく、歩いたり走った際に地面にかかるプレッシャーを科学的に分析できるシステムを導入。ウォーキングからジョギング、ランニングまで幅広く対応し、エントリーランナーでもスムーズな⾜運びを実現できる新作シューズ「ナイキ モティバ(MOTIVA)」(5月25日発売)は、まさにここでの研究から生まれたものです。こちらも後編で詳しく紹介します。
Image by: FASHIONSNAP
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人工芝のサッカーコートでは、選手の身体の動きや、部位にかかるプレッシャーを徹底的に解析することが可能。人工芝はFIFA公認のものを使っています。
ウェアの開発では、発汗に関するラボを活用。気温や湿度などの条件に応じて研究を重ねています。男性と女性ではどのように汗をかき、汗がどの部分に溜まるのかが大きく異なるそう。今夏、ここでの研究結果を活かした女性向けのプロダクトが発売される予定です。おたのしみに!
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ちなみにビル内にはレブロンの母の名に由来するカフェ「Glo's」もありました。
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番外編:そのほかの本社ビルを訪問
今回のプレスツアーでお邪魔したビルは、レブロン・ジェームズ・イノベーションセンターだけではありません。昨年竣工したばかりの「セリーナ・ウィリアムズ・ビルディング(Serena Williams Building)」と「タイガー・ウッズ・センター(Tiger Woods Center)」の内部も紹介します!
セリーナ・ウィリアムズ・ビルディング
セリーナ・ウィリアムズの名を掲げた同ビルは、オレゴン州のオフィスビル群の中でも最新なのだそう。製品開発や商品化のアイデアを実験する場として利用されています。
エントランスには現代アーティストによる作品を投影するモニュメントを設置。若手を起用し、アーティストの認知拡大の狙いもあるのだとか。アーティストとの協業にも積極的なナイキならではの取り組みですね。
中に入るとユニフォームやトロフィーなどセレーナ関連の展示品がありました。これまでのセレーナのテニススポーツ界への貢献がひと目でわかります。
ビル内部にはアートがたくさん。内観設計もかなり見応えがありました。
Image by: FASHIONSNAP
エレベーターのボタンもよく見るとナイキのスウッシュマーク! 細部にまでこだわっています。
ちなみにミーティングなどに使われる多目的ルームには「COURT」の名前と各部屋の番号がついていました。
タイガー・ウッズ・ビルディング
最後に、「タイガー・ウッズ・ビルディング」も見せていただきました。ここでは大きいミーティングなど、コンベンションセンターのような位置付けで使われています。
エントランスをくぐるとタイガー・ウッズ像を発見!
1階はウッズがかつて通ったスタンフォード大学をテーマにした内観デザイン。
ウッズの写真やトロフィーなど、こちらもファンにはたまらない展示品がたくさん並んでいました。
Image by: FASHIONSNAP
ピンのようなものがたくさん刺さった壁が。
正面から見ると......ウッズの顔が浮かび上がってきました!
このほか、目的のビルに向かうまでの途中、元陸上競技選手セバスチャン・コー(Sebastian Coe)の名を掲げたビルを見かけたり、通り道の随所でナイキのメッセージを感じるデザインが施されていたりと、プレスツアーの日程だけでは回りきれないくらいの魅力がたくさん詰まっていました。
Image by: FASHIONSNAP
あまりに広大なので、ビル間の移動は主に自転車(!)を利用するとのこと。自転車もナイキの手がかかるとオシャレに見えます。
Image by: FASHIONSNAP
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後編では今年の新作の見どころや、女性特有の悩みに対するナイキのメッセージについてお届けします。
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