ドーバー ストリートマーケット ギンザでファンと交流するラフ・シモンズ
ドーバー ストリートマーケット ギンザでファンと交流するラフ・シモンズ
Image by: ザ・ウールマーク・カンパニー

Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】新章に突入したラフ・シモンズに訊く「I LOVE 東京」セーター制作の裏側とファッションの"今"

ドーバー ストリートマーケット ギンザでファンと交流するラフ・シモンズ
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Image by: ザ・ウールマーク・カンパニー

 その一挙一動から目が離せないデザイナー、ラフ・シモンズ(Raf Simons)。今年はカルバン・クライン(Calvin Klein)に加入後、アメリカへのオマージュを込めたデビューコレクションと自身のブランドのコレクションを新天地であるニューヨークで発表するなど、新たなチャプターの幕開けとなる年となった。11月末日、ザ・ウールマーク・カンパニーとの取り組みのため、約2年半ぶりに来日。今ファッション界において最も影響力のあるデザイナーの一人であるラフ・シモンズに、ファッションの"今"を訊いた。

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未知でアウトサイダー?NYと東京の共通点


ー2年半ぶりの日本はどうですか?

 東京に戻って来れてとても嬉しいです。ドーバー ストリート マーケットとは、ロンドン店がオープンした時に声をかけてもらって以来、10年以上の付き合いになります。とても光栄だったのを覚えていますね。今でも大好きですし、思い入れのある場所です。

ーまず、ザ・ウールマーク・カンパニーとの取り組みによる限定アイテムのベースとなった「I LOVE NY」セーターについて教えてください。

 ザ・ウールマーク・カンパニーとは今年2月にニューヨークで披露した2017年秋冬コレクションからパートナーシップを結び、コレクション内でメリノウールを使用したウールマークのアイテムを発表しています。コレクションではニューヨークをテーマに、自分の中にあるパーソナルな部分を重ねました。これまで何度も訪れたことはありますが、拠点を移したということもあり、初めてこの街に来た時の"初心"にフィーチャーしたかったんです。多くの人が夢を抱いて右も左もわからないままニューヨークにやって来て、ビッグアップルや自由の女神、イエローキャブ、そしてI LOVE NYの文字などアメリカンカルチャーを目の当たりにしますよね。その時の気持ちを象徴するアイテムとして「I LOVE NY」セーターをデザインしたんです。


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ー今回の来日のきっかけとなった東京限定バージョン「I LOVE 東京」セーターにも、そのデザインを取り入れた理由は?

 

初めて東京に来た時にも同じような感覚だったからでしょうか。野心を持った人たちが日本のいろんな場所からこの街にも集まってきますよね。「東京」を漢字にしたのは、文字にグラフィカルなインパクトを感じたということと、日本人にとっては普通かもしれませんが、私にとっては抽象的なシンボルであり、とても美しく見えたからです。

 NYというアルファベット2文字にも東京という漢字2文字にも、私は未知でアウトサイダーのような印象を受けるんです。

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ーNYに拠点を移して生活に変化はありましたか?

 

ライフスタイル自体はそんなに変化がないかもしれませんね。今も仕事に追われています。でもニューヨークは大きな街なので、毎日違う封筒を開けるようにとても新鮮で、五感が刺激される場所です。実際に住んでみて、特に街の雑音や寒さには驚きましたね。あまりにも寒いのでニューヨークに住み始めてからウールという素材の利点に改めて気付かされました。今思うと、ザ・ウールマーク・カンパニーとのパートナーシップはぴったりなタイミングでした(笑)。

ークリエーションにおいてはどうでしょう。

"I LOVE NY"や星条旗のモチーフだったり、アメリカンカルチャーをヨーロッパ人の視点で解釈している印象を受けます。

 

私のクリエーションは今までやってきたこと、見てきたこと、感じてきたこと、訪れた場所、長く時間を過ごしている場所など自分の行動を裏付けるものです。ですから、見る人がそう感じることは自然なことかもしれません。

 日常生活や映画や音楽、舞台からもそうですが、中でもストリートから受ける刺激に勝るものはないと思っています。世界のどのストリートでもたくさんの人が行き交い、その人たちの人生が行き交う。常に同じということはないので面白いのです。


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ラフが考えるファッションのあるべき姿


ーラフ・シモンズにとってファッションとは?

 その質問に答えるのは今の時代ますます難しくなっている気がします。私自身は、ファッションをクリエーティブな考えやアイデアを表現するための"beautiful instrument(=美しい手段)"だと位置づけて、日々向き合っています。そうでなければ、私たちデザイナーの表現の幅は一過性の商業的なデザインのみに留まってしまうのではないでしょうか。表現方法の良し悪しにかかわらず、自由で奇抜なクリエーションはどんどん生まれるべきだと思います。

 ファッションは本来、自由で流動的なものにもかかわらず、カレンダーやシーズントレンドなど見えないルールに縛られすぎてきたんだと思います。それは私たち"作る側"にもジャーナリストや消費者の"見る側"にも言えること。皆が皆、決められた枠の中で同じ行動をとってきたんです。作り手が大事にしなくてはならないのは、表層的なアプローチではなく、自分が信じるものを具現化することではないでしょうか。

ーそういった中で、ファッションは"今"どうあるべきなんでしょう?

 例えば、10年前はファッションはもっとコマーシャルとの結びつきが強かったように思いますが、今はユニークであることが受け入れられるようになっていますし、それらが注目されるようになってきているのはいい風向きだと思います。ファッションに関して一つだけわかっていることは、ずっとポジティブなものであり、常にポジティブであるべきものということです。

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(聞き手:今井 祐衣)

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