Steven Smith
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Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】「ポンプフューリーは退屈な会議中に生まれた」生みの親"スニーカーデザインの巨匠"が語る誕生秘話

Steven Smith
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 「退屈な会議中に描いたラフスケッチから始まった」。フットウェアデザイナーのスティーブン・スミス(Steven Smith)は、発売から25周年を迎えた「リーボック(Reebok)」の「インスタポンプフューリー(INSTAPUMP FURY)」が生まれた経緯についてそう話す。これまでに「ニューバランス(New Balance)」の574、997、1500に加え、「ナイキ(NIKE)」のズーム スピリドン(ZOOM SPIRIDON)、ズーム スペクトラム(ZOOM SPECTRUM)などを手掛け、現在は「アディダス(adidas)」とカニエ・ウェスト(Kanye West)のコラボレーションモデル「YEEZY BOOST」のプロジェクトに参画しているスニーカーデザインのレジェンドと、スニーカーの定番ともなった「インスタポンプフューリー」の25年間を振り返る。

ーインスタポンプフューリーが生誕25周年。今の率直な感想を聞かせてください。

 これまでにないほど好評で、未だに人気があるということは信じられません。リーボックがインスタポンプフューリーの製作に関して私にオファーしてくれたこと、長年にわたり力を注いでくれていることに本当に感謝しています。

ー「インスタポンプ フューリー」の開発チーム「Reebok Advanced Concepts(=RAC)」とは何ですか?

 私を含め4人が所属していたチームで、「今までに見たことのない奇抜なアイテムを作ってくれ」とリーボックから依頼があり集まりました。

ー「インスタポンプ フューリー」はどのようなシューズを製作しようと思っていたんですか?

 リーボックの依頼に応えるために、テクノロジーを駆使してモーターショーで見せるコンセプトカーのようなシューズを作ろうと思いました。それですごく退屈な会議中に、バスケットボールシューズ「ザ・ポンプ」を見ていたんですが、"ザ ポンプテクノロジー"の空気室をシューズに内蔵する理由がわからず理にかなっていないと思ったんです。空気室をそのままアッパーの一部として使用するだけで完璧なシューズができるんじゃないかと、その場でスケッチを描いたことからインスタポンプ フューリーの製作がスタートしました。

ーデビュー作の「シトロン」カラーを製作したときに、マーケティング部に派手すぎて売れないと言われ、スミスさんが「YOU DON'T GET IT DO YOU?(お前たちは何もわかってないね)」と言ったというエピソードが有名です。人気になるという確信はどこから生まれたんですか?

 当時、多く出回っていた白いランニングシューズではなく、前例のない新しいモデルを製作できたということがありますね。僕の考えでは、ランニングをするためのギアというかマシンのようなもので、シューズという概念を超えることができたという自負があって。この感覚は世界中の皆さんにも共感して頂けると信じていました。

ーファーストで黄色、セカンドで青色をベースカラーに使うというのは、同時期に発売されたナイキの「エア マックス 95」と共通していますね。黄色と青色を採用したのは何故ですか?

 色については、メンフィスというイタリアを中心に活動していたデザイナー集団に影響を受けたところがあります。当時の私のオフィスはメンフィスに影響を受けて揃えていましたから、その影響がプロダクトにも反映されたんだと思います。

1990年代にフォーカスしたリーボックのイベント「Reebok 90s House」で当時のスティーブン・スミスのデスクを再現

ー2001年には「シャネル(CHANEL)」のコレクションにコラボモデルが登場し、話題を集めましたね。

 そのとき私はリーボックを辞めてナイキにいましたが、ラグジュアリーブランドがスポーツブランドとコラボし、スニーカーを製作したのは恐らく初めてだったと思います。スポーツとファッションの壁を取り壊して、境界線を超えることができた素晴らしい出来事です。

ー25年で時代も大きく変化しました。もし今デザインを変えられるならどこを変更しますか?

 何も変えないですね(笑)。ポルシェはポルシェとして誰が見ても気づくように、ポンプフューリーもアイコン的なもので完成されたデザインだと自負しています。

ー今のスニーカー市場の問題点を挙げるとすれば?

 とにかくブランドがありすぎることではないですかね。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」など今までスニーカーを作らなかったブランドも参入しているので、情報量が多く何が本当に特別なものなのかがわかりづらくなっているところがあるなと考えています。

ーたしかに復刻やコラボが増え、新作を発表するスピードもどんどん早くなってきていますね。

 埋もれてしまうモデルもあるでしょうが、良いスニーカーは確実に残っていくでしょう。一時的に埋もれてしまっても、数年後に復刻やコラボをきっかけにブランドを代表するクラシックモデルになるスニーカーも少なくないですし、今はそういう時代なのかなと考えています。

ー今まで作ってきたスニーカーの中で1番気に入っているモデルはインスタポンプフューリーだと思いますが、2番目を選ぶとしたらどのモデルですか?

 ポンプフューリーは圧倒的に1番ですね。次は、ナイキの「crib Mary Jane shoe」というベビーシューズです。子どもが生まれたときにちょうどデザインしていたので、思い入れがあって。とても美しいシューズですよ。

ースミスさんはスニーカーデザインのレジェンドとも呼ばれています。そんなスミスさんは、誰が作ったスニーカーを見てみたいですか?

 ブレイドランナーやトロンのデザインを担当したシド・ミード(Syd Mead)です。デザイン学校に行っていたときから彼が僕のレジェンド。シド・ミードと僕、カニエ・ウェスト(Kayne West)で撮った3ショット写真もありますよ。

ーインスタグラムにはスニーカーと同じぐらい車の写真が投稿されていますね。

 携帯には約4,000枚の写真が入っていますが、車とスニーカーばかりです。車はスニーカーデザインのインスピレーション源なんです。

ー最後の質問です。スニーカーデザイナーにとって一番大切なことは何だと思いますか?

 全てのことに対して疑問を持って、質問を問いかけること。そして、ルールを打ち破ることです。

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