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Fashion 注目コレクション

「リョウタムラカミ」手芸とファッションを融合した無観客ショー舞台裏、多彩な技法際立つコレクション

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 「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」が、ラフォーレミュージアム原宿で2020-21年秋冬コレクションの無観客ショーを行った。当初は東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 A/W」に参加する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためファッションウィークは中止。発表方法の模索を続けたが、「協力してくれた人たちのためにもどうにかして見せたかった」とショー形式での発表に踏み切った。今シーズンは、ニットデザイナーの岡本啓子が率いるアトリエ「K'sK」のニッターたちや華道家のアレキサンダー・ジュリアン、写真家の森栄喜、「PHOTO VOGUE」のフォトグラファーベスト30に選出された経験を持つ中村健太といった様々なクリエイターたちと協業。アルコール消毒やマスク着用など厳戒態勢のもとで行われた、リョウタムラカミの無観客ショーをレポートする。

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 リョウタムラカミのデザイナー村上亮太は上田安子服飾専門学校や山縣良和が主宰するファッションスクール「ここのがっこう」でファッションを学び、母の村上千明とのデザイナーデュオとして2015年春夏コレクションでデビュー。2018年春夏コレクションから息子の亮太が単独でデザインを手掛けている。

 今シーズンのテーマ「Beautiful World's」は、村上がK'sKのニッターたちとの会話をもとに、各ニッターのパーソナリティを一部のアイテムに落とし込んだことから設定。ファーストルックに登場した全身タイツは、ニッターとの「(当初ショーを行う予定だった)渋谷に行ったことが無い」という話から、渋谷の地図をかぎ針のコマ編みで編み上げており、地下鉄やバス停のマークはビーズで刺繍して立体感を生み出している。あるニッターとの会話のほとんどがシェイクスピアの話だったことから、シェイクスピアの肖像画を落とし込んだセーターを制作。肖像画部分は一粒一粒のビーズの緻密な配置で表した。ラストルックを飾った三段のケーキをモチーフにしたアイテムは、「ファッションショーってウェディングドレスも出るんですか?」というニッターとの話から生まれたものだという。

 K'sKとの協業は岡本と村上の「手芸とファッションの隔たりを無くす」という考えが一致したことで実現し、コレクションの制作には約40人のニッターが協力。次シーズンもK'sKとの協業は継続する予定で、村上は「人とコレクションを作り上げるのは(母 千明とデザインしていた時代以来)久しぶりだったが、ニッターさんたちのアイデアが新鮮で、ニットの可能性を探りながら自分のデザインの振り幅が広がった。今後も双方向に良い影響が与えられるコレクションを作っていく」と意気込んだ。素材選びの面でもニットのプロであるニッターたちの助言を取り入れ、表したいものに最適な素材や編み方を取り入れることができたという。使用したニットは手芸品販売メーカーのハマナカが協賛しているほか、手芸やハンドメイドコンテンツを発信する日本ヴォーグ社の協力も得た。

 今回のコレクションでは、ニットの様々な表情が際立っていた。チュール生地をハンドカットで糸状にしたものを編み上げ、程よい透け感と軽さを備えたワンピースや、多色の毛糸を使い手編みのインターシャでグラフィックを表現したトップス、ビーズでニットをリンキングしたアランセーターなど、ニッターたちの意匠を凝らしたアイテムが密度の高いコレクションを作り上げた。

 ジュリアンとのコラボでは、ブラックのニットをベースに、レッドやグリーン、ブルーで着色したオナモミ(別名:ひっつき虫)を一粒ずつ施した全身タイツをデザイン。オナモミは靴やポロシャツ、ショートパンツの柄を表現するように配しており、計4,000個ほど使用したという。

 スタイリングに使った小物は、ビニール紐を編んだヘッドアクセサリーや、PVC素材の衣類カバー、ビーズを立体的に編んだ人形など、ニットのほっこりとした印象と対照的に無機質な素材を取り入れた。ヘアメイクに使ったカーラーにもラインストーンを散りばめ、温もりを感じさせるニットとストーンの煌めきでコントラストを生んでいる。このほか、2019-20年秋冬コレクションで復活したメンズアイテムの新作が登場し、全体26ルック中14ルックをメンズモデルで構成。メンズはこれからも継続する予定だという。

 村上にとって無観客ショーの実施や動画撮影、バックステージカメラを起用するのは初の試み。ウイルス感染のリスクを最小限に抑えるためにスタッフの人数を絞ったこともあり、当日はスタイリングや照明の調整、進行確認までの全ての業務を村上が指揮。バックステージでは様々な場所から村上を呼ぶ声が飛び交い、撮影開始時間が遅延した際はスタッフの顔には若干不安も見えたが、急遽スタッフの1人を進行役としたことでその後の撮影は予定通りに進んだ。森栄喜は、ランウェイを歩くモデルを縦横無尽に動きながら様々な角度から撮影し、ショーをユニークな方法で捉えた。森栄喜が撮影したショー動画は後日公開される。

 撮影を終えた村上は安堵の表情を浮かべ、「ファッションは不要不急と捉えられるかもしれないが、今回は特に大勢の人たちと作り上げたコレクション。映像や画像の形でも、アイテムの表現の幅を広げた分と同様に多角的な見せ方で発信できたらと考えていた。参加してくれたクリエイターには感謝しかない」と語った。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けて、展示会の開催を中止。4月9日から30日までオンラインでコレクションの受注予約を受け付ける。

■リョウタムラカミ
2020-21年秋冬コレクション全ルック
オンライン受注ページ(〜4月30日)

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