Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】サカイ阿部千登勢「一流ではなく"本物"のブランドに」

デザイナー阿部千登勢 © Victor Demarchelier
デザイナー阿部千登勢 © Victor Demarchelier

 「急成長という言葉が私達には一番相応しくない」。そう語る「サカイ(sacai)」デザイナー阿部千登勢の姿勢は昔も今も変わらない。5型のニットからスタートしたという"逸話"も気がつけばすでに19年前。グローバルブランドとして多くのプレスにリストされる今となっても阿部のスタンスは揺るがないようにみえる。2017年には待望のバッグコレクションを発表し、更なる飛躍を期待されるが本人は至って冷静だ。デザイナー、社長、母、妻、様々な顔を持つビジネスウーマンは19年の歳月を経て何を今、表現するのか。

「タイミングは図らない」19年続くサカイの作り方

―待望のバッグコレクションが日本でも発売されます。販売は海外からでしたね。

 今回はロンドン、ニューヨーク、アジアでバッグの先行発売イベントを回ったのですが、バッグのことだけではなくみなさん積極的に質問してくださいましたね。

―どういった質問をされることが多いのですか?

 「普段何をやってるの?」や「どんな化粧品を使ってるの?」、女性のお客様だと「一緒に写真を撮って」と言われることも多いですね。その時着ている服についての質問も多く「こうして着てみたらもっと素敵になる」とアドバイスしてみたり。多分、もっとリアルを知りたいんでしょうね。

―今年でサカイは19年目。バッグコレクションを今スタートするのはなぜですか?

 これは私の仕事全てに言えることですが、タイミングを図っていることはありませんね。作りたいと思い、取り組み、納得がいくまで完成度を高める。バッグコレクションも納得のいくレベルに達したため、このタイミングでローンチをしました。

―今回の展開がブランドの転機になるという見方もありますが。

 ブランドならバッグや香水を作らないといけないという既成概念に囚われたことは今まで一切ありません。今回のローンチもサカイにとって"一つの出来事"であることに間違いないですが、私自身がやりたかったことの一つというだけでこれが転機という感覚は持っていません。

―バッグ製作をともに手掛けたケイティー・ヒリヤー(Katie Hillier)はお付き合いが長いんですよね。

 ケイティーはバッグ専門のデザイナーですが、一緒に仕事をしてみると思った以上に自由で既成概念に囚われないアプローチをする人で、私のクリエーションと合致する点が多いと感じています。彼女の知見に助けられましたし、純粋に楽しめました。彼女がそういう人間だからうまくいったと思っています。

sacaishow_20170206_07.JPG

―一緒に仕事をする相手はどうやって判断していますか?

 私が判断するというよりは、知り合いや関係性がある人、私が興味ある人たちと会話する中で「やりたいね」と言い合うように、いつも自然な会話からスタートすることがほとんどです。お互い忙しいので、「できるタイミングでやりたいことをやる」というように、本当に自然な流れですね。

藤原ヒロシ氏とも不定期のコラボレーションライン(sacai NOT sacai)を展開しています。

 コラボレーションに関しても何かのメリットを求めて行なったことはないです。私もそうですし、ヒロシさんもそうなのではないかと思います。好きなことを仕事にしている醍醐味のようなもので、仕事の延長線上で気が合う仲間とお互いのクリエーションを共有するというような感覚でしょうか。売り上げの計画を立てて緻密に取り組むことではないです。その方が良いものが生まれたりするんですよね。

sacai (NOT sacai) #sacai #sacaiofficial

sacaiofficialさん(@sacaiofficial)が投稿した動画 - 2016 7月 15 8:00午後 PDT

―では、阿部さんがバッグコレクションに期待することは何でしょうか?

 私は自分が着たいと思える服作りを大切にしています。それはバッグも同様で、私自身が持ちたいと思えるバッグが完成したので、それに共感して下さるお客様に届けばいいなと思っています。

売上100億円の発表は何を意味するのか

―サカイのファンは年々、世界にも広がっているように感じます。

 まだまだですが、有難いことに昔に比べると海外でも認知が上がったことを実感します。特に、街で着てくださっている人を見かけるのは、本当に嬉しいですね。着てもらってこその服、持ってもらってこそのバッグなので、リアルな日常で使用して頂くことが、私達には重要です。

次のページは「売上100億円とターニングポイントについて」や「ショーを肯定しない理由」

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