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ディレクター源馬大輔が明かす「サカイ」の成長秘話と協力者たち

ディレクター源馬大輔 Image by ファッション ワールド 東京
ディレクター源馬大輔
Image by: ファッション ワールド 東京

 「サカイ(sacai)」のディレクター源馬大輔が、東京ビッグサイトで開催された日本最大のファッション展示会「第7回ファッション ワールド 東京 秋」のトークセミナーに登壇した。同氏が公の場で「サカイ」について言及するのは初めて。100億円ブランドと称された「サカイ」の変革について語った。

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日本のブランドという垣根を超える

 源馬が「サカイ」に加入したのは2006〜2007年頃。デザイナー阿部千登勢から「私を一流にしてください」というオファーを受け、「その当時はそういう仕事をした事がなかったので、僕にとってもチャンスだと思った」と引き受けたという。肩書きはクリエーティブアドバイザー。ものづくりやショーの見せ方、キャンペーンといったクリエーション全般と、ブランドの方向性や戦略についても大きく関わっている。

 特に"見せ方"については「100%伝わる方法を常に考えなければ評価はされない」と、常に注力している。現在はパリのファッションウィークでランウェイショーを開催している「サカイ」だが、源馬が加入した当時の新作発表は展示会形式だった。ホテルの一室を展示会場にクローズドな形式で発表していたが、「阿部さんは当時ランウェイに対して否定的だった。でも試行錯誤する中で『郷に入れば郷に従え』というような、ヨーロッパのプラットフォームに乗らなければ見てもらえないという現実があった」と振り返った。ショーでは直線のランウェイを使用せずに円形のフロアを活用し、360度デザインされた服の表情や生地の動きが伝わるように、魅力を引き上げる演出を取り入れているという。

sacai-nike-2016120501.jpgNIKEとのコラボレーションでも「ハイブリッド」がキーワードに

 また「サカイ」を象徴する言葉として「ハイブリッド」というキーワードが広く業界に広がったことも大きい。「サカイは2つの相反するものを1つにすることで新しいクラシックを作るというコンセプトがあったので、それを『ハイブリッド』という言葉にして伝えることで理解が高まったと思う」と言葉の重要性に触れ、「ブランドとして特別な存在でなければいけないと常に言われている。それを踏まえた上で、日本のブランドという垣根をどうしたら越えられるか、どうやったらヨーロッパやアメリカのブランドと同じ立ち位置に立てるかを我々は常に意識している」と続けた。

アウトサイダーか?王道か?

 トークセミナーでは、「サカイ」飛躍の一躍を担ったとされる協力者たちの存在についても語られた。その中でも「全てを変えたというほど重要な出会いだった」と紹介されたのが、スタイリストのカール・テンプラー(Karl Templer)だ。もともと親交があった2人だが、カールからのオファーでスタイリングを任せてみたところ「とにかく素晴らしかった。ショーのスタイリングはもちろん、演出や伝え方まで共に取り組んでいる。スタイリストの領域を超えて、クリエーションを追求できるということも大きい」という。

mainichi-11-05-2015110501.jpg2015年には2007年以来2度目となる「毎日ファッション大賞」を受賞

 「サカイ」の方向性についても、彼の加入後に大きな変化が起こった。「初めてカールがスタイリングを手掛ける際に『ヨーロッパの王道とアウトサイダー、どっちを目指すのか。それによって今後、色々なことが変わってくる』と言われた。これまでの歴史を振り返ると素晴らしい先輩方たちがいて"アウトサイダー"はすべて埋まっていたし、それならば"王道"で勝負して勝ちたかった」と指針を定めたという。「(阿部は)圧倒的な負けず嫌い。でも、それはすごくデザイナーにとって大事な要素だと思う。何に対して勝ち負けがあるかわからないが、負けたくないという気持ちは大事」と、世界に挑む阿部の背中を大きく押した。

「苦労がゴールではない」売り上げも評価

 カール・テンプラー以外にも、PRの全体やビジネスの戦略を共に考えているというグローバルPR担当のノアニータ・ボジシュコスカ(anita borzyszkowska)をはじめ、音楽を手掛けるサウンド・イラストレーターのミシェル・ゴベール(Michel Gaubert)といった名前も挙がった。シューズはピエール・アルディ(Pierre Hardy)、そして2016年春夏シーズンにデビューするバッグコレクションは英国人デザイナーのケイティー・ヒリヤー(Katie Hillier)をパートナーに迎えている

genmasan-20161107_001.jpg進行はWWD 向千鶴編集長

 様々な協力者と「サカイ」がクリエーションにおいて共通しているのは、粘り抜く姿勢。バッグコレクションの制作においても「互いに"これで終わり"という感覚がない。相手の姿勢も同じだと感じる時、僕たちのやり方はあっていたと再認識する」と振り返った。クリエーション面での協議を経た上で、最終的には阿部が自身で全て試着をし「本当に着たいかどうか」を再検討するという作業も「阿部さんのムードがサカイに凝縮される」と捉える。「完成までの苦労ではなく、素晴らしい商品を皆さんに着たいと思って頂けることが僕らのゴールになる。クリエーションだけではなく売り上げも評価なので、そこは徹底したい」と源馬。最後に、日本ブランドの世界進出において大事なこと聞かれると、「1番は努力することだが、同時に自分たちが勝負したいマーケットについてもっと知るべき。東京のブランドは東京らしくて素晴らしいが、西洋では東京らしさが足かせになることもある。振り切って、東京や日本というカテゴリにとらわれないことが大事」とアドバイスした。

sacai 2017年春夏コレクション

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