Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】"名品"と呼ばれる「Scye」の服の秘密とは? デザイナー日高久代とパタンナー宮原秀晃に聞く

―では、ワンポイントで使っている動物のサイのマークは?

宮原:洒落です(笑)。のちに「サイベーシックス」のアイテムのひとつとなるポロシャツを始めた3年目の頃から使っていますね。

日高:例えばポロシャツだったら、着た時のボタンの開きまで計算して作っているんですが、見た目がシンプルな無地だと他と区別がつき辛いですよね。だから、何か一つアイコンがついているといいなと思ったんです。

―昨年発表された、ビームスとのコラボライン「ダ サイ(DA SCYE)」も遊び心を感じますね。

宮原:そうでしょ(笑)。ビームスの担当者がサーファーで、彼がとてもセンスが良くて面白いものを持っていたんですよね。一緒に何かやろうということになって、スケーター向けのコレクションが生まれました。アイコンのサイはスケボーに乗っていて。2シーズン目ですが、結構評判がいいんですよ。

■意味のあるデザイン以外は必要ない

―服作りについての基本は、立ち上げ当初から変わりませんか。

日高:基本的な考え方は15年経っても変わっていません。スタンダートなアイテムで一見普通に見えても、独自のカッティングやオリジナル素材の工夫によって、新しい機能や価値を付加していきたいという考えが根底にあります。

宮原:基礎は文化服装学院で学びましたが、プロとして生きていくにはそれだけでは足りなかったので、僕の場合は昔の裁断書や古着から得たことが大きく影響していますね。英国のエドワーディアン時代の裁断書を集めて、時には国会図書館に行って資料を探したり、自分なりにパターンや構造の研究を重ねました。

 現代の服は機能より見た目が重視されていることが多いですが、当時の服は剣を振るためだったり、馬に乗るためだったり、動きを考慮した作りになっている。それらを参考に、僕らが作っている服はデザイン線よりも機能線を重視しているのが特徴です。意味のある切り替えや仕様でなければ入れる必要はありませんから、「理にかなった服作り」が基本なんです。

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宮原秀晃の仕事道具

―2人の仕事の連携や、コレクション制作のプロセスは?

日高:まずは毎シーズン、糸と素材を作ることから始めます。そして次に、私が出すデザインを、宮原がリアリティを求めて道筋を立て、形にしていく作業です。色々なアイディアを試しながら、最終的にはプロダクトとして完成度の高いものにしていきます。

宮原:そのあたりは常に、2人でディスカッションがあるんですよ。例えば、日高が新しいアイデアを自分で部分縫いをして持ってきても、それが必ずしも服にした時に成立するわけじゃない。アイデアを元にしながら、どういう縫いや構造にしたら一番きれいに見えるだろうか、量産した時に高いクオリティが保てるだろうか、そういうやりとりがあって初めてデザインが立体になり、製品になるんです。面白いデザインでも、工場のラインに乗らなければ完成度が低くなってしまいますから。

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日高久代の仕事道具

―お互いの意見がぶつかりそうですね。

宮原:それはありますよ。デザイナーが出してきたものを何も言わずに作るようなパタンナーじゃないんでね(笑)。でも、お互いにいいものを作りたいという思いは共通してますから、喧嘩はないと思います。

日高:宮原のジャッジは厳しいんですよ(笑)。

宮原:作品を作っているわけじゃなくて、僕らは人が実際に着る服を作っていますから、特に縫製上で汚くなることが嫌なんですよ。常にクリーンなフィニッシュじゃないと、「サイ」の服じゃない。

次のページは>>"名品"と呼ばれる服の秘密、初の直営店の計画など

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