ADVERTISING

テンダーパーソンが26年春夏で東映「トラック野郎」とコラボ 新体制で向き合った人情とものづくり

テンダーパーソンが26年春夏で東映「トラック野郎」とコラボ 新体制で向き合った人情とものづくり

 設立から10年が経ち、新たなフェーズを迎えた「テンダーパーソン(TENDER PERSON)」。ブランド体制が変わり、2026年春夏コレクションはある種“再スタート”のように見えた。デザイナーのヤシゲユウトは、「改めて、ブランドを応援してくれる人、助けてくれる人の温かさを感じた。そういう人情に応えて、またものづくりに向き合っていきたい」と決意を新たにする。

ADVERTISING

 2014年、文化服装学院在学中にヤシゲとビアンカサユリが立ち上げた同ブランドは、他ブランドとのコラボや、直営店のオープン、コロナ禍での初のショー、「TOKYO FASHION AWARD」受賞とその副賞としてパリで展示会に参加するなど、10年で着実にブランドを成長させていった。順調に見えた最中、2024年秋冬コレクションでビアンカ(現在は自身のブランド「リブリオ メンドンサ」を手掛ける)が退社したと発表された時、「ブランドは存続」の記載はあれど、正直に「ブランドはどうなるのか?」と感じた人は業界関係者でなくても、少なからずいたはずだ。実際、ヤシゲは2025年春夏コレクションの発表はスキップし、2025年秋冬コレクションから復帰している。

 2026年春夏コレクションのテーマは「ノスタルジック・ローマン・ブルース」。アイデンティティの形成に深く関わった自身の家族にフォーカスを当てながら、前シーズンから続く人の温かさや義理と人情といったエッセンスを取り入れた。イメージソースとして、特に影響を受けたという父親が買ってきたというプレイステーション(PlayStation™)のソフト「爆走デコトラ伝説」を挙げた。加えて、以前から祖父と似ていると親近感を感じていた俳優 菅原文太の主演映画シリーズ「トラック野郎」のヴィジュアルにインスパイアされたという。

 ラインナップには、トラック野郎のシーン写真を大胆にあしらった鯉口シャツや、主人公 星桃次郎のトラックのデコレーションにも使われた太宰治の「人間失格」の一節「生きててすみません」を刺繍した開襟シャツが登場。ローライダーカルチャーを彷彿とさせるレタリングのエアブラシペイントは、米軍の基地で働いていた父の影響を受けながら、ブランドが持つ「真面目な不良」の美学と融合させた。そのほか、“デコトラ”的なグラフィックをあしらった派手なシャツやバンダナ、アイコンであるフレームモチーフをあしらったアイテムを展開し、テンダーパーソンらしいセットアップには尾州の生地を採用した。

 ヤシゲは今回のコレクション製作のため、トラック野郎の版権を持つ東映にコンタクトをとったところ、偶然が重なりイメージ使用の許諾を得た。「トラック野郎でのアパレルコラボは初めてということもあり、『ぜひ、やってみましょう』と快諾してくれました」。また、担当者が親身に協力してくれたことも、同コレクションを後押ししたという。「たくさんの資料を見せてくれたり、『東映会館(東映の銀座の本社ビル)は壊しちゃうから、撮影で使ったら?』と提案してくれました。すごく温かい方で、クリエイティブの手を進めることができました」。

 劇中に登場する「ねぶた祭り」からも着想を得て、国の重要無形民俗文化財である青森ねぶた祭りの第7代名人 竹浪比呂央氏とのコラボアイテムを製作した。ここでも、ヤシゲは竹浪氏に絵柄の提供について直接交渉。同氏から昨今の若手育成が課題になっていると聞いたことから、コラボ商品の売り上げの一部を後進育成のために寄付することを決めた。

 そのほか、スペシャルピースとして製作した鮮やかなグリーンのツイード生地は、某ラグジュアリーメゾンのテキスタイルデザイナーを務める日本人との出会いから生まれた。工場に赴き、手織りの機械で美しいテキスタイルが織られていく様子に感銘を受けたというヤシゲは、同工場の協力を得て、糸からオリジナルでツイード生地を製作。「工場で保管している膨大な生地のアーカイヴや職人さんたちの素晴らしい手仕事(サヴォアフェール)を見せていただいて、僕自身、もっとクリエイティブを磨かなければいけないと背筋が伸びました。実は今回のツイード生地はまだプロトタイプ。今後、デザインにしてもクオリティにしても、さらに“突き詰めたもの”を作っていきたいという所信証明としてお披露目しました」と語る。

 同コレクションを経てヤシゲは「一緒にものづくりをしてくれる人たちにも、買ってくれる人、着てくれる人にも喜ばれるものを作りたい気持ちが強くなりました」という。以前は売り上げの2/3が海外で、中国や韓国、マレーシア、イタリア、カナダなど欧米にも進出していたが、新体制ではスケジュールの関係で一度リセット。最後に目標を聞いてみると、「また一から、日本も含めてファンを増やしていきたいです。今はフレームモチーフなど、ロゴとかヴィジュアル的なアイコンがいくつかありますが、今後はテーラードジャケットだったり、もっと服そのもののデザインとして、テンダーパーソンらしいものを作り上げていきたいです」とコメント。さらに「もう一つは、G-DRAGONに着てもらいたい。あれだけ自分のスタイルを貫いて、影響力を持っている人ってなかなかいないですよね。自分にとってはリアーナもそうですけど。そういう人にも着てもらえるような、イケてるものを作っていきたいです」と語った。

最終更新日:

ADVERTISING

現在の人気記事

NEWS LETTERニュースレター

人気のお買いモノ記事

公式SNSアカウント