4月7日に発売される「ザ・ノース・フェイス」と「ハイク」のコラボ
Image by: FASHIONSNAP

Fashion インタビュー・対談

行列の先に「ザ・ノース・フェイス」人気コラボ実現の裏側

4月7日に発売される「ザ・ノース・フェイス」と「ハイク」のコラボ
4月7日に発売される「ザ・ノース・フェイス」と「ハイク」のコラボ
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 行列の先に「ザ・ノース・フェイス」。昨年から今年にかけ、そんな光景が幾度となく目撃された。なぜ若者は今"ノース"に並ぶのか?国内の展開を手がけるゴールドウイン高梨亮ザ・ノース・フェイス事業部事業副部長に、発売を控えた「ハイク(HYKE)」など話題を集めるコラボプロジェクトや、仕掛けの裏側を聞いた。

 

話題コラボの裏側

ーアメリカで誕生したザ・ノース・フェイスですが、日本の管轄はどのようになっているのでしょうか。

 グローバルでは、アメリカを拠点に「ヴァンズ(VANS)」などのブランドを傘下に持つVFコーポレーションが管理しています。大陸ごとに「AMERICAS = アメリカ」「ASIA-PACIFIC = アジア」「EMEA REGION = ヨーロッパ、アフリカ」という3大陸に分かれていて、それ以外の国として日本と韓国だけ、我々ゴールドウインが商標権を保有し1994年より独自のマーチャンダイズで展開しています。ライセンス契約とは異なり、販売店として商品の企画や材料選定からマーケティング、店舗の運営まで権利を持っています。販売に関しては、1978年から国内の取り扱いを始めているので40年という歴史があります。

ー本国との関係は?

 

 関係性は良好で、密に意見交換を行なっています。数は限られていますが日本企画の商品をアメリカやアジアの店舗でも販売しています。アパレルは100%に近い構成で日本企画ですがバックパックやシューズに関してはグローバルラインを国内で販売する比率も高いです。先日も、本国の代表や関係者がミーティングや店舗視察で来日したばかりです。

ー近年ではファッションブランドとのコラボレーションが話題を集めています。日本のブランドも目立ちますね。

 コラボ企画についても、管轄がグローバルと日本で分かれています。長期に渡り取り組んでいる企画でも、「シュプリーム(Supreme)」はアメリカ、「アイ コムデギャルソンジュンヤ ワタナベマン(eYe COMME des GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」は日本の管轄です。最近だと2017年の「サカイ(sacai)」はアジア、「ミナペルホネン(mina perhonen)」と「ハイク(HYKE)」は日本のゴールドウインが手掛けています。


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ーサカイは日本のブランドですが、グローバル企画だったんですね。

 はい。但し、サカイとアジア(VFコーポレーション)との情報共有や連動により日本の直営店での販売も数量限定で展開しました。ちょうど日本管轄で進行していたハイクとのコラボレーションと時期が重なった形です。

ーコラボレーションが頻発した印象でしたが。

 戦略というよりも偶発的なものでした。とはいえ、ハイクはウィメンズマーケットへの訴求を軸に打ち出した企画でしたが、結果的にサカイもその方向性に沿った形になったかもしれません。

ーハイクと協業した理由は?

 私自身も、前身の「グリーン(green)」からブランドのことは知っていました。ハイクの「Heritage And Revolution(服飾の歴史、遺産を自らの感性で独自に進化させる)」というコンセプトと、ものづくりの精神に深く共感したんです。

 ザ・ノース・フェイスとしても、アーカイブと進化の考え方が共鳴するということから声を掛けさせていただきました。デザイナーの吉原さんと大出さんもブランドに興味を持ってくださり、コラボレーションが実現しました。

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ーどのようなプロセスで企画が進んだのでしょうか。

 初回の2018年春夏コレクションでは、ゴアテックス素材のみ使用することで企画を進めました。続く2018年秋冬コレクションでは型数も素材バリエーションも増やして展開予定です。製品に関しては素材と生産のリードは我々側、構成ディレクションやデザインの落とし込みをハイク側が担当しています。 

 例えばブランドロゴを胸に大きくあしらったトップスは、通常のブランド概念で考えると選択しない表現ですね。ボタンなどの様々な副資材や型紙、細かなディテールにまで、互いに意見を交換しながら決めていきました。


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なぜ今ザ・ノース・フェイスが熱いのか?

ー今なぜ"ノース"にファンが集まっていると考えますか?

 1つはトレンドの側面だと思います。数年ほど前から90年代のカルチャーへの回帰が再燃し、マーケットでも関連商品が多く展開されるようになりました。その時代を象徴するようなブランドのアイコンやデザインが改めて注目され、トレンドの中心に馴染んでいったと捉えています。

 もう1つは、消費動向が変わってきているということです。ファストファッションや生産背景の不透明さに、消費者が首を傾げ始めた。消費者自身が評価する適正値を持ち、それを満たしているかどうかを意識して商品を選ぶようになってきています。

 最近だと「エバーレーン(Everlane)」のような生産情報を開示するブランドも出てきましたよね。本当に必要なものに賢くお金を使うことが、ミレニアム層をはじめ一般的になってきている。そういった消費者の心理の変化にアウトドアウェアの持つ機能性をベースに、ブランドの信頼性や実用性が刺さっているのかもしれません。

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ーアウトドアブランドがファッションブランドと協業することのメリットは?

 我々がコラボレーションを行う目的としては「商業的な成功」という点は優先度が低く、「お互いのブランド価値を上げる」という意義につきます。それぞれの思いが合致して、機能性とファッション性がマッチすることで、2つのブランドによる相乗効果が生まれます。無いものを持っているパートナーと組むことで、それまでザ・ノース・フェイスを知らなかった新しい顧客層との接点を作ることができる。ブランドと接する機会を提供し、ブランドの事を知ってもらい、ファンになってもらう事が理想です。それらを経て、自然に身を置くアウトドアの世界に踏み出す一歩を起こしてもらえたら嬉しいですね。

アウトドア+カルチャーを伝えていく

ー3月末、東京ミッドタウン日比谷」に新店舗がオープンしました。どういった位置づけなのでしょうか。

 新業態の「ザ・ノース・フェイスプレイ」では、アウトドアに特化した商品をラインナップしています。「プレイ」は「外で遊ぶ」ということのほか「遊び心」という意味を持たせていて、山登りやキャンプなどのアウトドアから生まれた「アウトドアカルチャー」にも重きを置いたブランディングを展開していきたいと思っています。

goldwin_interview_008.jpg この店の大きなポイントとして、そのカルチャーの部分をシーズンや時代に合わせて都度チューニングしていこうと思っています。最初の取り組みとして、ハイクとのコラボレーションをはじめ、ゴアテックスを使った取り組みを7月末まで展開していくつもりです。2018秋冬以降に関してもいくつかの提案を現在準備中です。

ー今ブランド熱が高まっていますが、今後の展開についてはどのように考えていますか?

 本質的なアウトドアのメッセージを改めて伝える必要があると思っています。コラボレーションの影響もあり注目されている今だからこそ、ブランドが何者なのかを伝えるチャンスだと捉えています。ただ、一方的に伝えても響かないと思ったので「ザ・ノース・フェイスプレイ」のような店を作ったんです。

 これからは「アウトドアマーケット」での立ち位置を改めてブラッシュアップすると共に「女性マーケットの拡張」や「若いジェネレーション」をキーワードに様々な仕掛けを実行していきたいと考えています。今までアウトドアと接点のなかった多くの人たちとの接点を提案し続けていきたいです。

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(聞き手:今井 祐衣)

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