Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】デザイナー滝沢直己が語る ユニクロの新しい服とプロセス

 ユニクロが、パリ・ニューヨーク・東京の3都市で発表した新コンセプト「LifeWear(ライフウェア)」とは――。あらゆる人々のための服として掲げてきたコンセプト「MADE FOR ALL」の進化版でもある「LifeWear」は、ユニクロが目指す服のテーマであり、これまでになかった新しいカテゴリーを示しているという。「これまでの服作りと全く違う」と話すユニクロのデザインディレクター兼アートディレクター滝沢直己氏に、新コンセプトの意味や服作りのプロセス、万人に向けたデザインや価格に対する考え方を聞いた。

 

―ユニクロが新コンセプト「LifeWear」を立ち上げた経緯について教えてください。

 私が初めて柳井さん(ユニクロ代表取締役会長兼社長 柳井正)にお会いした時、すでにユニクロには多くの人のための服作りとして「MADE FOR ALL」というコンセプトがありました。そんな中で柳井さんは「ファッションにはカジュアルウェアやスポーツウェア、コンテンポラリーウェアといった色々なカテゴリーがあるけれど、自分の作っていきたい服はそのカテゴリーのどこにも入らないんじゃないか」という思いをお持ちでした。そのため「新しいカテゴリーが必要になってくると思う」ということを仰っていたんですね。

 はじめは私もそれがどういうものなのか、どういう形態なのかをイメージはできても、はっきりとアウトプットできなかったんです。それが去年、柳井さんから「新しいカテゴリーの言葉を見つけました」ということで聞いたのが「LifeWear」という言葉だったんです。単純明快で「すごくいいなぁ」と思いました。「それをユニクロのコンセプトにしたら」と考えたときにパッと思いついたのは、「そういえばヒートテックやウルトラライトダウン、フリースとか、ユニクロの製品は温かい、軽い、柔らかい、動きやすいといった人間の五感が感じることに通じている。全部感覚に対するアプローチが、ユニクロの服だった」ということでした。

―ファッションの既存カテゴリーと「LifeWear」は具体的にどのように違うのでしょうか?

 私は長くファッションの世界を生きてきましたが、ファッションには誰がどういうデザインをして、どんなモデルを使い、ショーやヴィジュアルでどんな演出を行うかなどプロセス全てにストーリーがあるんですよね。お客様の多くは、そのストーリーを楽しんで購入します。でもユニクロの服はそうじゃない。もしヒートテックが温かくなかったら、ウルトラライトダウンが軽くなかったら買わないんですよね。本質的な服作りで、そういった意味でも「LifeWear」は新しいカテゴリーでもあるんです。

―「LifeWear」が目指す服作りのプロセスは?

 私だけではなく、外部からはスタイリングのNicola Formichetti(ニコラ・フォルミケッティ)やヘア・メイクの加茂克也さんなどファッション業界で活躍している方々が参加して、新しいカテゴリーの「LifeWear」をチーム全体で作っています。

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ユニクロ「LifeWear」2013年秋冬コレクション 発表会場

 今までとは全然違う考え方と、物作りで、まず12のプロジェクトからなる集合体を作りました(※ヒートテック、ウルトラライトダウン、フリース、シルク、カシミア、コットンフランネル、ウルトラストレッチジーンズ、ワームイージーパンツ、デニム、レギンスパンツ、シャツ、今季のトピックス「10-gruppen」の12プロジェクト)。それから、個々のプロジェクトで単品の研究開発を行って、それを最適化する方法を追求していきます。単にプロダクトを作るだけではなくて、バリエーションやスタイリングといったファッション的なアプローチもプロジェクトの中で提案されます。個々は単体のプロジェクトに見えますが、それを合わせて見ると「ユニクロ」という考えに繋ががっているのです。

―そのプロセスにファッションのアプローチは必要なのでしょうか?

 重要なのは、"機能性だけじゃない"ということです。単にプロダクトとしてではなく「それを着た自分が新しくなれるのか」「かっこよくなれるのか」。そういった機能とデザインを結びつけるのがユニクロの服です。柳井さんがよく、「ユニクロの服はエレメントだ」と言いますが、アバンギャルドやラグジュアリーのスタイルにも使えますし、あるいは厚着をしたくないからヒートテック1枚の上にジャケットを着るということもあるでしょう。私は、服の役割にファッション性が入ってこそ「LifeWear」だと思っています。

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