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【トップに聞く 2024】ユナイテッドアローズ松崎善則社長 販売員のDX化、2度目のコスメ挑戦、“UAを知らない”若い世代への訴求の対応策を聞く

Video by: FASHIONSNAP

 FASHIONSNAPの新春恒例企画「トップに聞く 2024」。第6回は、ユナイテッドアローズの松崎善則社長。プロパー販売に注力し、収益の回復に手応えを感じている同社は人材戦略に着手。若手社員が活躍できる土壌も整えている。アパレル企業を目指す若者が減っている今、選ばれる企業になるために必要なこととは。

バストアップの写真

ユナイテッドアローズ 松崎善則社長

Image by: FASHIONSNAP

■松崎善則
1974年2月22日生まれ。埼玉県出身。1998年4月にユナイテッドアローズに入社。ユナイテッドアローズ渋谷店からキャリアをスタートし、販売職や店長職、ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BY)本部長などを経て、2018年4月に上席執行役員に昇格し、同年6月に取締役 常務執行役員に着任。ユナイテッドアローズやBYなどの複数の主力事業の統括責任者としてグループの成長に貢献した。2020年11月に取締役副社長執行役員に就任。2021年4月から現職。現在50歳。

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「接客力」と「商品力」が光った2023年

―2023年は増収増益を記録するなど好調でしたが、松崎社長にとってどんな一年になりましたか?

 当社の強みに回帰した一年でしたね。今年も継続していますが、プロパー販売により注力したことで手応えが大きく掴めました。

―足元の商況は暖冬の影響もありそうですが

 2023年11月、12月、2024年1月の3ヶ月は非常に“ぬるい冬”だったので防寒衣料の販売は厳しかったですが、プロパー販売の徹底は継続しています。これまでは12月から早い段階でセールに切り替えていたところを抑えているので、売上総利益は確保できています。そういった意味では、これまで取り組んできたことに外的要素がある中でも、着実に成果につながっていると感じています。

─昨年の冬との違いは何か感じていますか?

 一番はお客様がリアル店舗に戻られたことですね。それは昨年も同様ですが、今年はコロナ前に近い水準で入店客数が回復し、さらに活況になっています。そういう点では、我々が強みにしてきた「商品力」と「販売力」が回帰して、実績に繋がってきている。これはこの一年ですごく大きい成果ですね。

インタビューカット

Image by: FASHIONSNAP

─インバウンド客も含まれている?

 インバウンドも含みますが、弊社はそこまでインバウンド比率は高くなく、店舗によっては20〜30%になるところもありますが、ならすと3%程度ですので、基本的には国内のお客様が戻ってきてくださったという認識です。

国内では新規顧客も増えているそうですね。

 既存のお客様の回帰はもちろんありますが、新規のお客様が増えているのは大きいです。割合で言うと、既存顧客の買い上げが大体8割で、新規が2割です。

─コロナ禍では、強みである「接客」が障壁にもなっていたかと思います。

 コロナ禍が明けてからは1人のお客様に対する接客の時間が長くなっています。そういう意味ではコロナ前と比較すると、お客様のお買い物が丁寧になっているように感じます。事前にECなりで下見をされたり、比較検討された情報を持って来店される方が多く、フラっときて、フラっと買うみたいなお買い物の仕方はだいぶ減りました。

―顧客側も商品を見極める目が鋭くなっている。

 「ちゃんとした良い物を選びたい」という購買心理の変化もあると思いますが、物価上昇を背景に、一枚ずつきちんと吟味して買うという、“失敗しない買い物の仕方”がすごく増えたと感じます。

―値上げの影響は?

 ブランドや店舗の立地環境にもよりますが、全体では値上げの影響は限定的です。値上げに躊躇されるお客様も当然いらっしゃいますので、一部見直さなければいけないポイントはあると思います。

令和時代に“売れる販売員”の姿は

―昨年始動した様々な新プロジェクトについてお聞きしたいと思います。まずはデジタルにも精通する販売員を評価する「DXセールスマスター制度」に関して、導入の背景を教えてください。

 コロナ禍に入ってから、チャット接客や商品紹介のスタイリング画像を投稿するといった、デジタルを活用した施策に注力して取り組んできたものの、実際にその活動が店舗メンバーの評価体系には入っておらず、それが売り上げにどのぐらい貢献しているのかをきちんと測って評価に繋げられていない課題がありました。そのような中でも際立って“引き”のあるメンバーが見えてきたので、店頭接客だけではない「マルチな接客」ができる社員をきちんと評価したいという考えで制度を設けました。今までの評価基準では顧客数などの指標で評価をするので、どうしても「社歴が長いメンバーが販売力がある」という評価になりがちでしたが、当社の中では社歴が浅いメンバーの方がデジタルコミュニケーションに慣れていることもあり、若手にもスポットが当たるのは良い効果だなと思います。

■DXセールスマスター制度
OMOを推進できる人材の育成を目的に設立。販売員を対象に、店舗における販売実績などから評価する同社独自の認定制度「セールスマスター」に対し、DXセールスマスターでは自社ECにおけるスタイリング投稿の本数や、直接売上、PV、お気に入り登録数が社内最上位ランクであるといったDX活動の実績に優れた人材を評価し、他の販売員にとってロールモデルとなる存在を創出する。任期は1年で、認定された場合は年2回の賞与にインセンティブを上乗せして支給される。

―現場のモチベーションも変化しそうですね。

 今までは店頭接客の合間にSNS投稿などの業務をやってもらう程度でした。それを「接客の一環」として躊躇なく取り組めるというのは、店頭現場のメンバーからしても非常にやりやすい環境になっているのではないかと思います。

―教育の部分で工夫されていることは?

 CDO(最高デジタル責任者の藤原義昭氏)がSNS運用などのデジタル周りの知識に長けているので、これまで実施できていなかったマーケティングやデータ分析を体系的に店舗メンバーにも教える時間を作ってくれています。

―販売員もデジタルマーケティング力が必要。求められるスキルが幅広くなりました。

 そうですね。接客していない時間のお客様の行動や購買心理を汲んで差し上げることができないと購入には繋がらない。そこは過去と違って難しくなってきたと思います。これまでは「どういう情報を持ってきているのか」「どのぐらい何を見てきた」という情報を知らずに接客していたのが、現代はそれを知っていないと会話が成立しなくなってきている。そういう難しさはありますね。

インタビューカット

Image by: FASHIONSNAP

―販売員を経験されてきた松崎社長の視点で考える、これからの時代に活躍できる販売員の人物像とは?

 そうですね......礼儀正しく、 間違いない接客をするというのは大前提として必要ですが、やはりこれまで以上に「個性」が大事になってくると思います。SNSにしても、スタイリング投稿の着こなしにしてもそうですが、よく見られるメンバーとそうではないメンバーの違いは、パーソナリティにあるのではないか。ちょっと弾けていたり、変わっているぐらいの方が活躍できる状況と感じています。

―そういった人材を積極採用しているのでしょうか。

 これは後天的なものである気がしているので、導入段階でちょっと変わっているなという人を意識して採用しているわけではありません。個性を発揮できる風土作りが非常に重要と考えています。

―SNSのフォロワー数は重要ですか?

 単にフォロワー数が多いことだけではないと考えていますので、そこまでは重要視していないです。

―若手はデジタルを駆使できるという強みがある一方、ベテランはリアルの接客力に長けている。これは単純に考えると、単価的にはやはりベテランの方が高くなるのではという印象があるのですが。

 おっしゃる通りです。販売メンバーの活躍にも多様性というのがあっていいと思っています。今回、DXセールスマスター制度を立ち上げましたが、従来のセールスマスター制度も継続します。どちらがいいというわけではなく、DXセールスマスターを通じてセールスマスターになる方もいるでしょうし、逆もあるでしょう。家庭の事情で勤務時間が短いメンバーもDXをうまく活用できれば活躍できるので、そういった多様性は出てきたかなと思います。

―子育てをしながら勤務している方で言うと、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」新宿店の仲希望さんが「STAFF OF THE YEAR 2023」でグランプリを受賞されていました。活躍できる土壌を整えたことも後押しになったのでしょうか。

 それは本人の努力によるものしかないのですが、ただその背景としては評価体系が整ったことや、時短勤務など働き方の部分で柔軟性がついてきたところがあります。でも仲さんは本当にすごいですよ。こういったかたちで活躍するメンバーはどんどん増やしてきたいですよね。

女性

「STAFF OF THE YEAR 2023」グランプリを受賞した仲希望さん。初代「DXセールスマスター」にも選ばれている。

Image by: ユナイテッドアローズ

―次に、会員向けロイヤリティプログラムを昨夏に一新して誕生した「UAクラブ」が好調と聞きました。

 開始してまだ半年経たないぐらいなので、 今はまだ成果としては大きくは出てはいませんが、商品レビューやスタイリング投稿といったいろんなアクションに対してマイルを付与できるようになったり、買い上げ金額に応じてポイント付与率が変わるシステムになったので、特に上位顧客に向けて購買促進がしやすくなったのが一番大きな特長になっています。これからはOMO化を推進して、ECと店舗を回遊されるお客様を増やすことで買い上げ回数が増加すると思うので、そこに期待したいです。

■UAクラブ
店舗・オンラインストア共通で、買い上げ金額に対し「UAマイル」に換算。1円(税別)につき1マイルが付与される。貯まったマイルはクーポンに交換できる。また、アプリの利用やお気に入り登録といったさまざまなアクションでマイルを貯めることができるほか、バースデークーポンや優待セールといった会員サービスを提供。累計獲得マイルに応じた5つのステージを展開し、それぞれで特典や特別なサービスを用意している。

―滑り出しとしては、買い回りは増えている?

 そうですね。購買金額が増えると今までよりも還元率が高いので、購買単価は上昇傾向にあり、客単価が伸びる要因にもなっています。ただ、どのぐらいまでマイルを貯めてくださるのかや、マイルをクーポンにどのタイミングで換金するのかといった細かいデータはまだ集まりきっていないので、その辺りをちゃんと捉えられるようになったらプッシュ型の販促など新しい施策に取り組めるようになると考えています。

グローバル展開加速、日本と中国の違い

―昨年は中国の上海と北京でポップアップを開催されたのも印象的でした。反響を含めてどのように総括されていますか?

 想定通りの好反応を得られました。ベーシックカラーで強いトレンド性が色濃く出ていない商品が我々の強みではありますが、中国では色やデザインにトレンド性がないと支持を得られにくい。難しくなるだろうとわかりつつも、まずはベーシックアイテムの打ち出しにトライしようということで、6月に開いた上海のポップアップでは、ユナイテッドアローズと「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS)」のメンズとウィメンズのオリジナルをそれぞれ持ち込みました。しかし仮説どおり、反応があまり良くなったので、途中で「ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)」のストリート寄りのアイテムや、「エイチ ビューティー&ユース(H BEAUTY&YOUTH)」のオリジナル、あとは「6(ROKU)」や「ロエフ(LOEFF)」といった社内ブランドでもデザイン性があり、商品単価も少し高いものに入れ直したところ、評判が良かったんですね。その流れで北京のポップアップも展開したので、いずれも想定以上の実績で本格展開するにあたっての手応えを掴めました。

店舗の様子
店舗の様子
店舗の様子
店舗の様子

上海のポップアップ

Image by: ユナイテッドアローズ

―顧客層は日本と同じでしょうか?

 年齢は日本とそれほど変わらず30代中盤がほとんどでしたが、中国では女性比率が圧倒的に高く、女性が7割を占めています。また、メンズ商品を女性の方が購入されるケースも多く、ジェンダーレスの傾向が見られました。

―中国ではメンズの中でもストリートブランドに勢いがある印象がありましたが。

 そうですね。アイコニックなロゴブランドは人気がある印象です。でも我々にはロゴブランドがないので、男性客からの反応は難しいところがありました。中国専用商材の開発は必要だという展望は持っているんですけど。台湾も今そうなんですが、どの国にしてもローカライズは大きなポイントだと思います。そのまま持ち込んで販売していくよりは、現地の趣向性に合わせていけるかどうかが成功の大きいポイント。しっかりローカライズをしていこうと考えています。

―デザインの効いたセレクトブランドは海外店舗では取り扱わないのでしょうか。

 全く販売しないということはないのですが、例えば我々が得意としていてご好評いただいている人気ブランドとの別注は本国ではなくジャパン社との協業なので、中国支社との兼ね合いで持っていくにいけないんです。セレクトショップの難しさがここに出てしまう。これも障壁の一つですね。ただ全商品というわけではないので、その辺りをクリアしながら品揃えを増やしていきたいです。

―今後は中国で規模拡大を目指していく方針。

 当面は中国で本格展開をしていく考えです。台湾は展開を始めて11年目ですが、ようやく収支が合ってきたところなので、中国と台湾にまず力を入れていきます。

手元のカット

Image by: FASHIONSNAP

―欧米への出店へのご興味は? 昨年には「ジーユー(GU)」も進出していましたが。

 絶対に進出したいという考えは正直なところありません。長期的に見たら可能性としてはあると思いますが、今進めている中期経営計画ではターゲットにしていません。どちらかというと、いまはサプライチェーンの最適化に注力しているので、欧米進出を考えるならそこと相乗させていく必要があります。

 ただ、欧米だと、日本のXLがSぐらいのサイズ感になりますから、そうなるとパターンから全て変えていかなくてはならない。それに加えてローカライズが必要となると、壮大な修正をしなくてはなりません。ですから、まずはサプライチェーンの最適化や、デジタライゼーションの取り組みを進めていく。それによって欧米市場への対応も可能になる方に向かえると思うので、その中で考えていきたいですね。

―いま勢いがある東南アジアはいかがでしょうか。

 過去に何度かトライアルはしていたのですが、しばらくお休みをしていました。今ではインバウンド効果も高く、可能性はあるということで研究中です。

2度目のコスメブランド挑戦、勝算はあるか

―今年1月にオリジナルコスメブランド「ユナイテッドアローズ ビューティー(UNITED ARROWS BEAUTY)」がデビュー。コスメブランドの立ち上げは2度目の挑戦ですね。

 前回展開していたオリジナルスキンケアブランド「ジュース(JUICE)」の開発をした時は、簡単に言うと甘かったなと。我々はアパレルのセレクトショップなので、肌につけるものに「ユナイテッドアローズ」の名前を掲げると評価をしていただけないのではという考えから、社名とは全く関係のないブランド名にしたんですが、きちんとした研究調査に基づくものではなかったので、結果的にそれが全て当てずっぽうになってしまった。一度お休みをする中で、着るものに限らず「頭の上からつま先まではファッションとして捉えていこう」という考えに至った時に、コスメは欠かせない領域だというのは社内でも認識が一致していました。そこでもう一度ちゃんと時間をかけてマーケティングをしたところ「やはりユナイテッドアローズネームが信頼度も高い」ということで、「ユナイテッドアローズ ビューティー」の名前に決定しました。

モデルを起用したヴィジュアル

オリジナルコスメブランド「ユナイテッドアローズ ビューティー」のヴィジュアル

Image by: ユナイテッドアローズ

―前回のジュースの不振で「コスメはやらない」という選択肢はなかった?

 今回も必ずうまくいくとは限らないかもしれませんが、トライ&エラーを繰り返しながら、時間をかけてしっかりやっていかなければと考えています。

―今回は楽天市場などのECモールでも販売。戦略の狙いは?

 価格帯の上、中、下のどれをやるかという議論がまず必要でした。デパコス(百貨店)は上の部分だと思うんですけど、 前回は中ぐらいの価格帯にチャレンジして中途半端になってしまったので、今回は比較的手頃な価格帯に設定しました。店舗を構えて運営する方法もあるとは思うんですけど、販路として考える上で一番活況なのが楽天市場やアマゾンなので、 そこを起点にマーケティングを考えていくというのが最初の方針でした。

―競争ひしめく市場で熾烈な戦いになりそうです。

 そうですね。まずは前回の反省を活かして強めの販売促進をしていかなきゃいけないなと。若手メンバーが戦略を構築してくれているので、ターゲットとなるお客様にあったやり方でできるのではと期待しています。

―将来的な目標は?

 曖昧な回答になってしまいますが、アパレルブランドを1つ立ち上げるぐらいの目標値は持ちたいなと思っています。時間をかけて準主力ブランドぐらいにはしたいですね。

アイテムカット

Image by: ユナイテッドアローズ

若手の活躍で会社の高齢化を防ぐ

―2024年のファッション業界はどんな一年になりそうですか?

 年始から震災もあってかなり不安定な一年の始まりになってしまいました。物価高や原料高は続くと思うので、消費意欲をどう喚起していくか。今年に限ったことではないですけど、やはり値上げを伴わなければいけないので、付加価値をどう創出するかがこれまで以上に重要な一年になりそうです。

―値上げは避けられない。

 もちろん、ただ値上げをするわけでありません。商品価値を高めながら適正な値上げをしていくことは、非常に大事なことだと最近は思います。そうしないと、国が求めている賃金のベースアップは図れないですし、収入も増えていかないと経済が回らない。その代わり、販売件数は減っていくんだとは思うんですけどね。ただ、我々にとってはそこに勝機があると考えています。

インタビューカット

Image by: FASHIONSNAP

―2023年は本格的なアフターコロナを迎え、売上高の伸び率も高かったと思います。2024年は本質的な実力が試される一年にもなりそうですが、さらに飛躍していくための重点課題を教えてください。

 先ほど申し上げた「付加価値を高める要素」も様々ですが、「接客の付加価値」がやはり重要になっていくと思います。それだけではなく、自社ECやアプリの操作性といったデジタルに関わるところを改良することで、より利便性が高く、ストレスの少ない買い物体験を提供できるように並行して地道に進めていきます。

 もう1つは、大きめの仕掛けが必要なのかもしれない、というのは最近考えています。要は、付加価値の前にある企業価値をどう高めていくかですよね。「いつもユナイテッドアローズは面白いな」と思っていただかないといけない。若年層の活躍を創出する機会もそうですし、そこから生まれてくるアイデアや方法を具体化していくことが、会社としての若さを保つことにつながるのでないかと思っています。

―今年1月に立ち上げた次世代向け新ウィメンズブランド「アティセッション(ATTISESSION)」も25歳の若手社員をディレクターに起用していますね。若年層への訴求は引き続き強化していく方針ですか?

 そうですね。次世代に向けた取り組みを強化する1年になりそうです。それがすぐ実績になるかというと、やはり少し時間はかかるとは思います。本丸は、既存事業の顧客化を推進してきちんと客単価を上げながらベースを作っていくことにあります。

アティセッションのルック

ルック
ルック
ルック
ルック
ルック
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ルック
ルック

Image by: ユナイテッドアローズ

以前、コスメの方で「ユナイテッドアローズを知らない世代に売っていきたい」というお話を聞きましたが、知らない世代がいることに驚きました。

 当社の新入社員の中にも「ユナイテッドアローズは知っているけど買ったことはない」という者は結構いるんですよ。衝撃的ではあるのですが、これは手に取ったことがないという層に向けた一助にはなるのかなと。

―若手人材の早期退職に課題感を感じている企業も多くある中で、人事制度を見直されたり、若手社員をディレクターに起用するなど、若手に寄り添う姿勢が印象的です。

 いまの若者は給料も大事ですが、会社への貢献度や活躍できる風土があるかなど、やりがいを重視する方が多いですよね。昔みたいに5年、10年やりたいことを我慢するような時代じゃないですから。

―松崎社長はユナイテッドアローズに入社されて25年です。ここまで続けてこられた秘訣は何かありますか?

 なんでしょうね、わからないです。寝て起きたら今って感じです(笑)。辞めてまでやりたいことが見つからなかっただけなんです。

インタビューカット

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―今年4月入社の新卒採用は何名ほどいるのでしょうか?

 130人ぐらいですね。多いときは200人近くいるんですけど。それも女性が圧倒的に多いです。これも結果的なのですが。

―男性はどこにいっているのでしょうか......(苦笑)。

 アパレルも昔のような成長産業ではなくなってきたということなんだと思います。目指す人が増えるように、キャリアアップのロールモデルをたくさん作って働き方を示していかないといけないですね。

―新規プロジェクトが話題を集める一方で、「コーエン(coen)」は苦戦が続いています。打開策は?

 コーエンはユナイテッドアローズから半歩遅れて不採算の整理を行ったので、既存店比較だとトップラインとしては目減りしてしまっているんですが、昨年度に構造の見直しは終えたので、あとは商品のテコ入れがうまくヒットすればまた大きく成長できると思いますし、その準備はできています。コーエンはオフ要素が前面に出た商品構成なので、オンオフで着られるなどもう少しマルチなニーズに対応する商品構成になるように見直していけば、ある程度手応えは掴めるんじゃないかと。

―テイストを広げると、他の自社ブランドとのカニバリへの懸念もありそうですが。

 社内のカニバリは、出店エリアも違いますし、価格帯も大きく違うので、その点では心配ないかなと思っています。

社長就任から丸3年。これまでをどのように振り返っていますか?

 どうでしょうね。 時間が経つのは早いですよね、本当に。コロナ禍の大赤字を乗り切ることができてよかったなとは思います。当社社員も「お客様のために頑張ろう」とみんなが思ってくれた。ロイヤリティの高さと言いますか、“会社への愛”を改めて実感できた期間になりました。こういった経験が次の想定しない事態が起こった時に役立つでしょうし、経験値として糧になったと思いますね。

―2024年はどんなお気持ちで指揮を執っていかれたいですか?

 これまでは土台作りに時間を要して、次の手に向けた準備を進めてきた3年間なので、いよいよ今年からその準備を具体化していく時期に入ってきたというところです。スクラップは済んでいるので、これからは拡大フェーズに向けて気を引き締めていきたいですね。

(聞き手:伊藤真帆、福崎明子)

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