コーエンの公式サイトより
ユナイテッドアローズ傘下の「コーエン(coen)」が経営体制を一新した。ユナイテッドアローズ取締役 専務執行役員の木村竜哉氏が4月21日付でコーエン社の新社長に就任し、営業赤字が続く同社の事業の立て直しを図り、黒字化を目指す。5月11日に開かれたユナイテッドアローズのオンライン決算説明会では木村社長がコーエンの方向性について考えを述べた。
コーエンは、都市近郊の大型ショッピングセンターで展開する「ニュートレンドマーケット」向けのブランドとして2008年に設立。当初はイオンモールを中心に出店してきた。その後は都市部、地方・郊外のショッピングセンターにも販路を拡大し、2022年1月期末時点で87店舗を展開している。EC化率は4割超と高い水準だが、コロナ禍で苦戦する実店舗の減収分を補うことはできなかった。ここ数年は営業赤字が続いているという。2022年1月期(2021年2月〜2022年1月)の売上高は前期比3.7%減、前々期比23.8%減の104億円(収益認識基準の変更による影響を含む)で、営業利益は非公開だが前年に続き赤字となり減収減益だった。
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新体制の下、今期(2023年1月期)は「ブランディングの明確化」「MD改革」「DX推進」の3つを大きな柱に施策を進める。
ブランディングに関しては当初アメカジテイストを軸していたが、後にトレンドを反映しフェミニン要素を取り入れたほか、売り上げ増を目指し団塊ジュニアから若年層までターゲットを拡大するなど、ブランドの軸にぶれが生じていたことから内容を見直す。ユナイテッドアローズが展開するEC主軸ブランド「シテン(CITEN)」やYouTuberのかんだまをディレクターに起用した「マルゥ ユナイテッドアローズ(MARW UNITED ARROWS)」のように若年層の取り込みが狙えるブランドの構築を想定している。木村社長は「ニュートレンドマーケットは引き続き成長市場であると捉えている」とし、将来的にはワンブランド体制から脱却し新規ブランド開発も視野に入れることで売り上げ拡大につなげる方針も明かした。
MD改革においては、前年秋冬シーズンにボリュームマーケットを意識して一部商品の商品単価を10%ほど値下げしたが、支持を得ることはできなかったという。「コーエンに期待しているのは単に低価格なファッションを提供することではない」とし、ニュートレンドマーケットに適した価格設定に戻す考え。具体的には2022年春夏から段階的に、本格的には2022年秋冬シーズンから価格を変更していくという。また、在庫効率化を目的に品番数を減らしたことも悪手となったといい、品番数についても再考しベストバランスを追求する。今期は2店舗の新規出店、2店舗の退店を計画し、純増減0の97店舗体制を予定している。
DXでは自社ECのリニューアルを予定。ユナイテッドアローズと同様にZOZOへの委託から内製化する計画で、リアル店舗と連動してOMOを推進したい考えを述べた。
なお、ユナイテッドアローズの2022年3月期(2021年4月〜2022年3月)の連結業績は売上高1183億円(前期比2.7%減、前々期比24.8%減 ※連結体制変更、収益認識基準変更の影響を含む)、営業利益16億円(前期は66億円の赤字)だった。黒字に転じたが、売上高はコロナ前の実績を上回ることができなかった。内的要因について、松崎善則社長は「ビジネス衣料の需要低下をカバーする施策が不足していた。カジュアル商材などに振ったがフィットする商品を訴求できなかった」と振り返った。前期は様々なレーベルを立ち上げたが、シテンやマルゥなどは「既存顧客層と年齢やテイストが異なる層にアプローチできた」と手応えを語り、次期中期(2024年3月期〜)に向けた新たなブランド開発でもそのノウハウを活かす考え。前期末に実施した自社ECのリニューアルは「操作の仕方に異なる点があり、操作性について不慣れな方もいる。想定よりも伸び悩んでいるのが実態」と明かしたが、ECのリニューアルはリアル店舗の施策とECの施策連動がテーマだとし、ECの改善を進めながらOMOの具現化に引き続き取り組む。
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