強烈な猛暑が続く日本の夏。日差しの強まりを受け、日傘やUV(紫外線)カット機能を持つウェア類は、マストハブアイテムとなりつつあります。一方で、それらのUVカット機能は使っているうちに劣化してしまうという話も。日傘やウェアに施されているUVカット機能はどの程度の耐久性を持つのか、様々なUVカット生地を生産している東レの担当者に聞きました。
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UVカット生地の種類と耐久性の違い
UVカット機能を持つ生地は、メーカーやブランドごとに様々な種類が生産されていますが、加工方法はさまざま。加工方法によって耐久性も異なります。
<種類>
「UVカット生地」の加工は、「表面にUVカット加工を施したもの(以下、後加工)」と「UVカット効果のある繊維を織り込んだもの(以下、機能糸)」の2種類に大別されます。
<耐久性>
加工の手順が異なる「後加工」と「機能糸」。加工の違いは耐久性にどの程度影響するのか、買い替え時期の目安と合わせて紹介します。
①後加工
表面にUVカット加工を施す後加工は、水や摩擦に弱く、洗濯や摩擦などによって表面の加工が落ちることで性能が劣化してしまいます。後加工素材でできたウェアは約10回洗濯すると機能が劣化することが実験されています。
洗濯をしない日傘の素材であっても、後加工によるUVカット(紫外線防止剤を付与した加工など)は、雨で濡れたり、手で触ったり、汗が付着することを理由に劣化してしまいます。それは、晴雨兼用傘であっても同様です。基本的に後加工の日傘は水に濡らさないように気をつけて、濡れてしまった場合はすぐにしっかりと乾かして使うようにしましょう。
参考:後加工の生地が使用される東レ製品の例:「Kudas」など
②機能糸
一方、UVカット効果のある繊維を織り込んだ機能糸は、水濡れや摩擦ではほとんど性能が劣化しません。生地の厚み(使用している糸の番手)も耐久性の強さには特に関係ありません。
参考:機能糸の生地が使用される東レ製品の例:「BodyShellEX」など
<機能糸ってどんなもの?〜東レの場合〜>
光の屈折率がダイヤモンドよりも高いと言われる「酸化チタン」を10%以上含有した糸。酸化チタンは、遮熱性、防透け性、紫外線遮蔽性に優れているそうです。
東レでは、上記の機能に汗染み防止機能を加えた「ボディシェルEX(BodyShellEX)」という生地をベースに様々な種類の機能糸素材を開発しています。
Q&A
Q1. 後加工と機能糸を一般人が見分ける方法はあるの?
A1. ラベルやタグなどで素材の特徴が説明されていない場合、見分けるのは難しいことが多いです。タグに記載がある場合、東レ製の生地を使用した製品には45mm × 80mm程度のサイズのタグが付属し、右上に東レのロゴ、その下にブランド名、さらにその下に素材の機能説明が加えられていることが一般的だそう。生地メーカーによって表記は変わりますが、ぜひチェックしてみてください。
Q2. UVカット機能の補強は市販のUVカットスプレーなどでも代用できる?
A2. 対策は可能ですが、スプレーは一時的なものが多いため、使用するたびに毎回スプレーをかける必要があります。
Q3. UVカット生地を使用したアイテムの推奨買い替えタイミングは?
A3. 後加工の製品は、10回程度の洗濯で機能が劣化するとされているので、その時が買い替えタイミング。機能糸の製品も、一般的な衣類のように生地が薄くなったりくたびれたら買い替えましょう。
Q4. 長持ちする機能糸の方が優れているような…後加工のメリットは?
A4. 後加工は、他で製造した既存の生地の上に加工を施すので生産ロットが少なく、短期的に製造から販売まで行うことができます。一方、機能糸はロットが大きいことで製造までのハードルが高く、使用する糸の種類によって生産できる生地の種類も制限されてしまうという点があります。
◆まとめ
目視ではわかりにくいUVカット生地の性能。購入前に素材が比較できるときは、機能糸の製品を購入する方が長持ちしそうです。残暑の日差しも油断せず、服の機能性を正しく理解して対策しましょう。
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