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ゾゾスーツ、PB事業、新会社設立、前澤社長の話題も...ZOZOの1年間<2018年ハイライト>

 今年で創業20周年を迎え、スタートトゥデイから社名変更を行ったゾゾ(ZOZO)。業績、ゾゾスーツ、プライベートブランド(PB)、新会社設立、前澤友作社長にまつわるあれこれ……第2創業期の幕開けとなった2018年を振り返る。

【目次】
ゾゾの業績
ゾゾスーツ
PB事業
テクノロジー開発と成長支える人材
前澤社長個人の話題
1年間の主な出来事(ニュース一覧)

ゾゾの業績

■2018年3月期の連結業績(2017年4月1日~2018年3月31日)

売上高:984億3,200万円(前年同期比28.8%増)
営業利益:326億6,900万円(前年同期比24.3%増)

 同社は昨年、時価総額1兆円の大台を突破。好調に売上を伸ばし、2018年3月期通期連結決算の売上高は984億円と1,000億円目前まで推移した。

▶同社初となる3ヶ年中期経営計画を発表
 2019年に売上高1,470億円、2020年に2,410億円、2021年に3,930億円を目標に掲げ、PB事業では海外売上比率を3年後までに40%に引き上げるなど海外展開を強化する方針を示した。前澤社長は「これまでは国内ばかりみていた。今後は世界でファッション革命を起こし、オンラインSPA世界No.1を目指す」とコメント。またBtoB事業の再強化や、広告事業への着手、研究開発に注力することもこの時期に明らかにしている。

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■2019年3月期第1四半期の連結業績(2018年4月1日~2018年6月30日)

売上高:265億5,200万円(前年同期比23.8%増)
営業利益:58億7,400万円(前年同期比26.4%減)

 前年同期と比べて売上高は増加したものの、採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)」の無料配布に伴う費用がかさみ利益を押し下げた。一方、PB事業では新商品のビジネススーツの受注件数が発表時の7月末時点で2万セットを突破。単独で6億円弱の売上が見込めることや、PBの1人あたり平均購入金額が9,719円と期初予想の7,500円を上回るペースで推移していることから、状況を悲観した様子はなかった。

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■2019年3月期第2四半期の連結業績(2018年4月1日~2018年9月30日)

売上高:537億6,400万円(前年同期比25.9%増)
営業利益:100億5,300万円(前年同期比27.3%減)

 ゾゾスーツの無料配布をはじめとするPB事業の広告宣伝費や、エンジニアの積極採用に係る人件費などのコストが高くつき増収減益。PB事業単体の売上高は6億5,800万円にとどまった。その背景には生産の品質不備などから配送遅延が発生し、特にビジネススーツに関しては当初2週間としていた発送期間が最大2〜3ヶ月まで延びていることを明かした。

 納期遅延については年内に解消を見込んでいるほか、新たな施策として裁断から梱包まで全自動化を目指す実験ライン「ZOZOスマートファクトリー」を本社近くに開設。内製で研究を進め、大量生産につなげる方針を示した。また新商品の投入を多数計画しており、これらの取り組みからPB事業単体の通期売上高目標は200億円で据え置いた。

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ゾゾスーツ

 ECサイトの課題とされていた「サイズ測定」を実現するため、前澤社長が構想に7年の歳月を費やしたという採寸ボディスーツ「ゾゾスーツ」は昨年11月の発表以降、ファッション業界内外から注目を集めてきた。2018年度「第36回毎日ファッション大賞」では話題賞を受賞し、米国ではニュース誌「タイム(TIME)」の「The 50 Best Inventions of 2018(=2018年の発明品ベスト50)」にも選出された。

■予定より約2ヶ月遅れで配送スタート

 身体の寸法を瞬時に測ることができるというこれまでにない製品であることに加えて、「圧倒的な速度で世界中で無料で配りまくり、体重計や体温計のように一家に一台の存在にする」と無料配布(配送料別)を前澤社長が宣言したことでさらに注目を集めたゾゾスーツ。プロトタイプが配布されたヒカキン(HIKAKIN)や堀江貴文らによる着用画像や、草なぎ剛による紹介動画も話題となり、一般受付を開始してからわずか10時間で約23万件の予約が入ったという。予約者への配送開始は昨年11月下旬を予定していたが、「生産量が充分に用意できず年内の配送が難しくなった」として延期を発表。約2ヶ月の遅れをとり、今年1月末に配送が開始された。 

■ゾゾスーツが変更に、新型では"マーカー読み取り方式"を採用

旧ゾゾスーツ(Image by: FASHIONSNAP. COM)

 当初のゾゾスーツには伸縮センサーが内蔵されていたが、今年4月に大幅な改良を加えた新型ゾゾスーツを発表。全体に施された約300~400個のドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで体型サイズを瞬時に計測できる「マーカー読み取り方式」は、「スタートトゥデイ研究所(START TODAY RESEARCH)」が匿名のチームから3億円で買い取ったアイデアが原型になっている。新型ゾゾスーツは7月中旬頃から発送を開始し、最終的に600万〜1,000万枚の無料配布が計画されていた。

■ゾゾスーツ要らず?計測なしで購入可能に

 "一家に一台の存在"を目指していたゾゾスーツだったが、9月半ばにはゾゾスーツによる計測がなくても、PB商品を購入することができる新技術を導入。2019年3月期第2四半期の連結決算会見では「日本人の体型データはある程度蓄積できた」(前澤社長)とし、将来的にゾゾスーツなしでビジネススーツを含むすべてのPB商品を購入できるようにする考えを明かした。これに伴い、無料配布計画を最大300万枚と大幅に減らし、30億円のコスト削減を図っている。なお、今後は海外各国のユーザー特性を知るための計測サンプルデータの収集を目的に、ゾゾスーツを引き続き活用していくという。

 

PB事業

 ゾゾスーツの無料配布に合わせて今年デビューしたPB「ゾゾ」。最大の特徴は、ゾゾスーツの採寸データを反映させたサイズ展開のバリエーション。あらかじめ数千パターンが用意されており、その中から体型に近いものを選んで微調整後、購入者へと配送されるというこれまでにないシステムでファッション業界に衝撃を与えた。

第1弾商品のスリムテーパードデニム(Image by: FASHIONSNAP. COM)

 第1弾ではクルーネックTシャツ(1,200円)とスリムテーパードデニム(3,800円/いずれも税別)の2型を展開。商品着用ビジュアルには前澤社長をはじめ、実業家やアスリート、一般人、85歳のモデルなどさまざまな年齢や体型の人を起用し、多様性を表現した。

 7月には初のフォーマル商品となるメンズの「ビジネススーツ(2Bスーツ)」と「ドレスシャツ」のセット販売を開始。"完全オーダーメイドのカスタムオーダー商品"ながら2万円台とコストパフォーマンスの良さも魅力の一つになっている。なお、紳士服大手の青山商事、はるやまホールディングス、AOKIホールディングス、コナカの4社の株価は、ビジネススーツの販売開始が発表された7月3日に年初来安値を更新。スーツ市場にも大きな影響を与えたようだ。

初のフォーマル商品発表(Image by: FASHIONSNAP. COM)

 また8月以降にはボーダーTシャツと長袖Tシャツ、10月以降にはフルオーダーの女性向けセットアップやコート、靴下、下着の販売を開始し、順調に展開アイテム数を拡大。現在は靴とブラジャーの製品開発を進めており、靴に関しては10月に特許出願していることから開発は大詰め段階とみられている。

■機能性インナーを発表、ユニクロヒートテックに対抗

 12月7日には機能性肌着「ZOZOHEAT」を発売。豊富なサイズ展開に加えて、高品質メリノウールとテンセル™モダールを使用した新素材を採用し、伸縮性や吸湿発熱性、着心地にもこだわったという。競合商品は「ユニクロ(UNIQLO)」の「ヒートテック」と公言。比較データを特設ページで公開するなど強気な姿勢を示した。

■グローバル展開の開始

 今年7月から72の国と地域でも展開を開始。「グローバルローンチキャンペーン」として日本を除く対象国の10万人に対し、ゾゾスーツとデニム、Tシャツのセットを抽選で無料配布した。海外における目標売上高は、PB事業通期目標売上高の200億円の40%にあたる80億円。なお海外展開はPB事業のみで、ゾゾタウンの展開については未定としている。

 

テクノロジー開発と人材強化

 この1年間、採寸テクノロジーやPBを見るだけでも、かなりのスピードでテクノロジーが進化していることが伺える。この発展に寄与しているのが、テクノロジーを支える開発チームや新会社などの存在だ。

■採寸テクノロジーの中核を担う「ゾゾ研究所」

 採寸テクノロジー開発の中核を担っているのが、今年1月31日に発足したプロジェクトチーム「ゾゾ研究所(ZOZO RESEARCH)」。ゾゾスーツで取得した世界中の人々の採寸データをはじめとするグループの情報資産を基にファッションを数値化し、科学的に解明している。優秀な人材の確保にも積極的に取り組んでおり、9月には働きながら博士号習得を目指す人を支援する「社会人ドクター制度」を導入した。

 またアイデアや特許の買い取りを行うのもこのプロジェクトチーム。買い取り第1弾となった「旧ゾゾスーツよりも低コストで高精度な体型計測可能のアイデア」もゾゾ研究所に買い取られた。

■3社が合併した新会社「ゾゾテクノロジーズ」設立

 エンジニアやデザイナーを集結させたスタートトゥデイ工務店、昨年10月にゾゾグループの完全子会社となったヴァシリー(VASILY)、そして九州工業大学発のベンチャー企業でソフトウェア等の開発を手掛けるカラクル の3社の合併による新会社「スタートトゥデイテクノロジーズ(現在はゾゾテクノロジーズ)」が4月に発足。ゾゾグループの技術、デザイン、分析といった制作業務全般を担い、3社が統合することで技術革新をさらに加速させることを目的としている。

■広報力やマーケティング力の強化も

 今年3月に、元LINE上級執行役員 田端信太郎がコミュニケーションデザイン室長に就任。グループ傘下となったアラタナマークスタイラーとパートナーシップを締結し、ゾゾ子会社である投資ファンドSTV FUND, LPはシンガポールを拠点にファッションEC企業へのサイジング提案ソフトウェアなどを開発・提供するPixibo Pte. Ltd.に出資するなど、さらなる展開に向けて様々な取り組みが行われた。

 

前澤社長個人の話題

パリファッションウィーク「セリーヌ」のショーでのスナップ(Image by: FASHIONSNAP. COM)

 アートへの造詣が深いことでも知られる前澤社長は、今年2月に「フランス芸術文化勲章 オフィシエ」を受章。その後も重要文化財「烏鷺図屏風」の収蔵や、ストラディヴァリウス1717年製「ハンマ(Hamma)」の購入で話題を集めた。また、123億円で落札したバスキア作品を海外の展覧会に出品するなど、自身のコレクションをパブリックの場で公開する活動も行った。

 プライベートでは女優の剛力彩芽との真剣交際を公表。今年9月にパリで開催された「セリーヌ(CELINE)」のショーでは2人揃って来場した。

 最も注目を集めたのは、SpaceXが開発を進めている巨大ロケット「BFR」で月の周りを飛行する世界初の一般搭乗者に選定されたこと。今後、どのような月旅行を計画するのかにも注目が集まりそうだ。

 

次のページは>>1年間の主な出来事をニュース記事でおさらい

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