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真のリーダーに望まれる10の資質

真のリーダーに望まれる10の資質の画像

<リーダーシップとは>

以前のコラム「記憶に残るエルメスの接客」に掲載した写真を撮るために、過去の手帳のレフィルを探していたところ、古いメモが出てきました。一緒に書かれている内容から推察して、まだ私がIT業界にいて、その会社が外資に買収されるという嵐の中にあった頃の物のようです。

今回はそんな過去のメモにあった、「リーダーシップの定義」のお話をします。

今回のコラム執筆者
qualities_of_leader-20171021_002.jpg合同会社NOBuコンサルティング|青栁 伸子さん
東京都生まれ。人事・総務・ITを専門分野とするコンサルタント。日系企業、日系ベンチャー企業での人事経験を経て、1999年にラグジュアリー・リテール業界へ転身。エルメスジャポン、ボッテガ・ヴェネタジャパン、フォリフォリジャパンの各社で人事・総務部門の責任者として、人材育成・組織開発・制度設計などにあたる。同時にビジネスパートナーとして、経営陣に対して人事的な側面からのサポートを行い、会社の業績向上にも寄与。特に接客販売職の「専門職」としての地位確立、処遇の改善、女性が無理なく永く働ける環境づくりなどに注力。2015年にコンサルタントとして独立。

私が当時在籍していた会社は、ITベンチャーと言われる「学生時代の友人が共同で設立した会社」でしたので、非常に日本的な、言ってみればのんびりした社風だったのですが、ある時突然社内が「米国西海岸」のカルチャーに飲み込まれ『とんでもない』変化を強いられた事がありました。

「管理職」が「マネージャー」になり、リーダーシップとはとか、目標管理(MBO: Management by Objectives)とは、などと「カタカナ」「横文字」の連続で、英語にアレルギーのなかった私はまだしも、それが理由で退職する社員が出るほど社内の雰囲気が変わったものです。

「リーダーシップの定義」とは?

そのメモにあったのは、「リーダーシップ(LEADERSHIP)の要件、リーダーに望まれる10の資質」をそれぞれ「単語」で言い表しているものでした。

L:Looks 容姿端麗
E:Empathy 共感性(人の気持ちがわかる)
A:Acceptance 受容(相手を咎めない)
D:Directive 指示(行き先を明示すべし)
E:Encouragement 愛護(強化、良いところを発見しほめる)
R:Responsibility 責任感
S:Security 情緒安定(泰然自若、春風駘蕩)
H:Holism 全体把握(大局を観る)
I:Identity 自覚(自分はXXである)
P:Power 力(心を鬼にしてNOと言う)

リーダーシップって何ですか?リーダーとしての資質は?という質問にかなり端的に答えている内容ですが、残念な事に出典がわかりません。多分、何かのセミナーか研修で聞いた内容を慌ててメモしたのだと思います。私自身このメモの存在をすっかり忘れていましたが、「あ、結構面白い」と感じましたので、ここで皆さんにも共有したいと思いました。

LはxxのL、という比喩(例え)は英語圏ではよく使われます。MBO(目標管理)を導入している企業に居ると「目標設定はSMART(Specific, Measurable, Achievable, Realistic, Time line (time table))にネ」などと言われていると思います。実はこのSMARTの定義も同じメモにありましたので、当時の私にとってはこれも「初めて聞いたこと」だったのでしょう。

では、リーダーシップの定義について細かく解説していきます。

"LはLooks(容姿端麗)のL"
最初からLooks(容姿端麗)などと言い切っていますが、これは「眉目秀麗」ではありません。「たたずまい」とも言えると思いますが、見目麗しいLooksではなくリーダーとしての覚悟(自覚)がその容姿にも現れるべし、なのだと思います。

何故かどの組織でもいつの間にかリーダーになる人がいると思いますし、この人について行きたいと思わせるリーダーもたくさんいますが、そのリーダーたちに共通するLooksとは何でしょうか。私は凛とした「たたずまい」だと思っています。リーダーのブレない後ろ姿に周囲は「この人についていきたい」「この人をサポートしたい」と思うものです。後の「Security(情緒安定)」や「Holism(全体把握)」にも共通しますね。

"EはEmpathy(共感性)のE"
共感する力、です。実は強いリーダーほど聴き上手で、情報収集にもたけています。現時点でのメンバーの心理状況やチームを取り巻く環境、周囲の人たちの意見などをしっかり掴んでいます。

例えば自分の扱いに不満を持っているメンバーがいたとして、本人の意見をしっかり聞き取ったうえで「あなたの気持ちはわかる。わかるけれど、今はチームのためにこうしてくれないか」という対応ができる、ということです。よくある「四の五の言わずに、言われたとおりにやっていれば良いんだ!」というリーダーとはどこか違いますね。自分の意見を聞いてもらえた、自分を受け止めてもらえた、と思うことはメンバーのモチベーションに大きく作用します。次の「Acceptance(受容)」とセットで重要な要素です。

"AはAcceptance(受容)のA"
受容、つまり相手を咎(とが)めない、様々な個性を持つ相手を受け止める度量を持つ、ということです。十人十色とはよく言ったもので、10人集まれば全員が異なったキャラクターを持ち、意見を持っているのは当たり前です。チームが生き生きと活動するためにはメンバーが自分のキャラクターや知識経験を生かすことが必要で、そのチームをまとめるリーダーには、何事もすべて受け止める度量が必要です。

チーム内で意見が対立することがあっても、双方の意見を尊重したうえで最適な案を作り出す、何かミスをしたメンバーがいたとしても、起きたことを責めるよりも今後の対応を考える。そんなことが自然にできるリーダーのもとで働きたいものですね。

"DはDirective(指示)のD"
「Show the flag(複数の意味がある中での主張を鮮明にするの意)」という言い方をすることもありますが、どこに向かうのかを明示せよ!ということです。何をするのか、あるいはしないのか、それを明言しないリーダーについていくのは不安です。問題のあるリーダーの下でプロジェクトが迷走して、一周回って元に戻ったなどという笑えない例は残念ながら少なくありません。

行き先や方向性が明確になれば、メンバーはただリーダーの言うとおりに従うだけではなく「あそこに行くのであれば、これが必要だ」「いくつかルートがあるから提案しよう」などと、自発的に考えて動くことができますし、それによってチームも活性化します。どこに出るのかわからない迷路をやみくもに歩かされるのはイヤですよね?

"EはEncouragement(愛護)のE"
愛護と手元のメモには書いてありました。少し気になって調べてみたところ、日本語WordNet(英和)というサイトにこんな意味が載っていました。

1. 人に希望や支援を与える行為
2. 承認や支持の表現
3. 励まされると感じること

愛護という単語に近い意味がありました。良いところを発見してほめる、ともメモにはありましたので、まさに「Encouragement」なのだと思います。リーダーの仕事は「押したり引いたり」です。場面に応じて前から引き上げることも、後ろから力強く押し上げることもあります。いずれにしても励ますこと、チャレンジを奨励することが大事な役割です。チャレンジには不安がつきものです。そんな時に「大丈夫、後ろで見ていて本当に危なくなったら助けてあげるから」と言ってくれるリーダーは、頼もしいし、そんなリーダーの下では頑張りがいがありますよね。

"RはResponsibility(責任感)のR"
責任感、です。リーダーなんだからあって当たり前、と思いたいのですが、残念ながら責任感の欠如したリーダーは案外身近なところに居たりします。これも調べてみたことなのですが、

「Responsibility」はこれから起こる(=未来)事柄や決定に対する責任の所在、「Accountability」はすでに起きた(=過去)決定や行為の結果に対する責任、またそれを説明する責任ということです。(引用:@HUFFPOST BLOG/大柴 ひさみ)

チームを率いる者として、最善最良の方策でゴールに向かっていく、自身の決定が最適であるのか、メンバーのモチベーションは下がっていないか、計画通りに事は進んでいるのか、など注意するべきことは数多くあります。それでも、これから起きることやこれからなされる決定の責任者は私です、と明言できるリーダー、素敵ですね。最初の資質Looksで述べた"ブレない後ろ姿"は、この責任感の表れかもしれません。

"SはSecurity(情緒安定)のS"
「Security(セキュリティ)」、ここでは保障とか安全といった意味ではなく、「安定していること」の意味で使っています。情緒が安定していること、大変な状況にあってもどっしりと構えてじたばたしないこと、そんな意味です。

ビジネスの現場では「想定外」の事が頻繁に起きます。当事者が動揺している時に、リーダーまで一緒になってバタバタしては困ります。内心では「うわぁ困った、どうしよう」と思っていても顔には出さず、落ち着いて次の手を考えて「こうしよう」と提案し決定する。この先、何が起きてもこのリーダーのチームにいれば大丈夫、困難もチームで乗り切っていける、とメンバーが安心して活動できる、そんなチームを作るのはリーダーの泰然自若ぶりなのでしょう。

"HはHolism(全体を見る)のH"
「Holism」とは「全体論」という意味の英語です。全体を把握すること、大局を見ること、とメモにありました。私たちは時として目の前の状況、事件、変化などに囚われすぎることがあります。リーダーの大切な仕事は、目の前の事から少し視線を移して全体を見ることにあります。少し高いところから全体を観る、という意味でバルコニービューと言ったり、「Bird View(鳥の視点/反対語は Worm View:虫の視点)」と言ったりします。

少し高いところから全体を見渡せば、どうにもならないと思われた目先のトラブルに解決策が見つかることがあります。だからといって、遠くばかりを見ていると目の前の落とし穴に気づかないことがあります。BirdとWormの切り替えを上手にすることがリーダーには求められます。

また、何かにチャレンジしているメンバーの行く先を俯瞰しておき、「危ない」と思った時に助けにいけるように準備する、また、壁にあたってしまった場合の代替案を用意しておく、なども大事な仕事です。

"IはIdentity(自覚)のI"
自分は何者であるかを認識せよ、ということです。リーダーといえども万能ではありませんので、苦手なことはありますし、今まで経験したことがないという業務もあるでしょう。そんな時に、メンバーに助言を求めたり、業務を依頼したり、あるいは知らないから教えて、と言えるリーダーは真に強いリーダーだと思います。

リーダーたるもの万能でなければ、とか、誰よりも優れていなければ、などと見栄を張って、チームを崩壊させるリーダーも残念ながら居ます。自分自身をきちんと理解したうえで、チームビルディングに当たっては自分もチームの一員として考えられる、そんな冷静さがリーダーには求められます。チームワークは足し算ではなく掛け算です。メンバーの力を最大化するために、リーダーとしてもメンバーとしても自分の役割を果たす。そのための「自覚」が大事です。

"PはPower(力)のP"
Powerは内側に秘めた力や能力を意味します。権力という意味で使われることが多いので、そういう意味での力と思われることが多いのですが、リーダーに必要なPowerは胆力とも言える、

「事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力 。ものに動じない気力」(引用:コトバンク)

のことです。

肝の据わった人という言い方もしますが、ネガティブな事であっても、言うべき時には言える胆力(覚悟)を持つということだと思います。心を鬼にしてNoという、とメモにありましたが、必要な状況下ではNoと言えるリーダーは頼もしいと思います。ビジネスの現場で日々起こることの中にはYes、OKと言ってしまうことの方が簡単で、それは出来ません、Noと言うことがベストな解決案、ということはあります。メンバーはその困難な状況でリーダーがどうするのかを見ています。安易な道に流されたリーダーが人望(Power)を取り戻すには、相当の時間がかかるものです。

リーダーとしての資質やリーダーシップのスキルは学び成長していけるもの

さて、リーダーシップを10の単語で解説してきましたが、いかがでしょうか?

今、皆さんの周りのリーダー達は、何項目ぐらい◯が付きますか?あなた自身がリーダーだとしたら、◯はいくつ付きますか?例えば今、4つには◯が付けられるのであれば、残りの6つを意識してみてください。意識してみるだけで、何かが変わるはずです。また、今パーフェクトである必要はありません。私たちは成長することができるのですから。

周りに◯が沢山付くリーダーがいたら、その方の良いところを見習って盗んでください。「何故こんな決断をしたんだろう?」と思った時には、聞いてみると良いと思います。優れたリーダーは、自分の決断を論理的に説明できるはずです。「勘?」と言われてしまったら、その「勘」を養ったのは過去のどんな経験からなのかも質問してみてください。

「私の周りのリーダーには◯がつかないよぅ」という場合は、そのリーダーを「反面教師」にして、その方からも学習してください。ある局面でのリーダーの決断、それによって自分に降りかかった災難や困難、ストレスや落ち込み、などをメモに残しておくと、『リーダーとしてやってはいけないことリスト』が出来上がります。それが将来あなたを助けることになるでしょう。