Nagisa Ichikawa

ラマルクが示したファッションショーの在り方

市川渚

ファッション コンサルタント

フォローする:

毎回楽しみにしている「ラマルク(LAMARCK)」。今回はオフスケジュールでの発表です。

今回は招待客を30名ほどに絞ったので是非お待ちしておりますというようなご丁寧なメールをLAMARCKのPRをご担当されているESTEEM PRESS 内藤さんから頂き、そんな30人の中に入れていただいたなんて恐縮過ぎる......わけなのですが、そのあたりの意図は確実に(私なりに)感じられたので、そのあたりは後ほどに。

開始時間は9:00〜。そう、朝。朝です! 普段は自宅でモジモジとメールチェックをしている時間帯なので、あまり味わうことのない朝の空気を心地よく感じつつ、会場に向かいました。会場は代々木上原の住宅街のどまんなかにあるマホガニー調の建具と白い壁の内装がクラシカルな一軒家(恐らくハウススタジオ?)。建物の2Fに案内されると、そこにはサンドイッチやコーヒーなどの軽食が。ミネストローネなんて気の利いたモノまであって、心が洗われるようでした。ゲストの皆さんはショー開始までご歓談。会場を見渡したところ、東コレウィーク中さまざまな会場を飛び回られている、お馴染みのジャーナリストや記者の方々が殆どのよう。

lam-20160316_001.jpg

ショーのテーマは「静隠」。シートに置かれた紙には「閑寂に秘められた鋭気、ネオクラシシズムの転成と鷹揚なる淑女像の提起」という、ちょっと難しい言葉が並んで居ましたが、登場したのは前シーズン2016年春夏コレクションのクリーンさとはまた別方向に振った、ハイウエスト、ロングスカート、ロングジレにブラウスをあわせるといったクラシックなスタイル。売れるかどうかという観点で見ると個人的には少し難しい部分もありそうな印象でしたが、さり気なく作りこまれた袖周りのディテールやパターンワークはランウェイで見てもそのクオリティが伝わってくる、その安定感は変わらず。そして、何と言っても今季のテーマを表現するべく、あえてこの会場を選んだんだなという意図が伝わってきました(とはいえ、これはLAMARCKに関しては毎シーズン言えることでもあるのですが)。

ショーが終わると大多数の方たちが囲み取材に。そう、招待されていた方たちは何らかのメディアに関係している方たちが殆ど。ここで、人数の制限と共に、朝一番という時間を選んだことにも、なるほどと頷けた気もしました。

オフスケジュール、というのはつまりMBFWTの公式スケジュールに載らないということ。それは、オフィシャルスケジュールに載せているショーとカブってしまう恐れがある、または何かのショーが押した場合にジャーナリストが間に合わない場合がある(オンスケジュールであれば、押した時間に合わせて、スタートを遅らせる等、配慮できる部分があるため)というリスクを孕んでいます。9:00からであればそんな心配はありませんし、オンスケジュールの最初のショー(10:30)に間に合うように、送迎の車まで用意されていました。

今シーズンは他都市のファッションウィークでも、ショーの在り方/目的自体を再考するべく、さまざまな試行錯誤がスタートしていました。MBFWTも一般のお客様を多く呼び込み、BtoBだけではなく、BtoCの側面も持ったファッションイベントとして進化をさせていくのだろう、という動きが見られます。

一般の方を沢山呼んで、広く知ってもらう/楽しんでもらうということも勿論大切なことですが、今回のLAMARCKのように、ブランドが表現したい世界感を明確にしながら、届けたいターゲットに実直にアプローチできる方法を取ったのではないかというその企画意図自体が、言葉ではなく、実際の取り組みから伝わってくる、その姿勢はとても評価したいところです。

深読みしすぎだったら、すみません(小声)。

そしてこんなおもてなしをされたら、やっぱりどこかに書きたくなっちゃうもの、なのですよね。

>>LAMARCK 2016-17年秋冬コレクション

最新の関連記事
Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング