Hiroshi Ashida

【ゆるふわ東コレ日記3-5】──キュレーションの意味と意義

蘆田裕史

京都精華大学ファッションコース講師 / 批評家

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キュレーション、あるいはキュレーターという言葉を聞いたことがあるでしょうか。最近ではキュレーションメディアとかキュレーションマガジンとかいう使われ方が多いようですが、もともとは美術用語でした。ある時期から、美術館・博物館の学芸員──つまり展覧会の企画をする人──のことをキュレーターと呼ぶようになったのです。一方で、「キュレーションサイト」のような言葉の場合、キュレーションは「選択」とか「編集」くらいの意味で使われています。

でも、本当はそんな軽いものではないと思うのです。選択だけなら誰でもすることができます。ご飯屋さんでメニューを見て、注文するものを選択できないひとはいませんから。キュレーションという行為において重要なことのひとつに「文脈づくり」があると思います。ある作家がいたとして、その人を歴史のなかに位置づけたり、同時代の別の作家との関係性を見出したり。そうすることが作家の価値づけにもつながっていきます。

このような行為は、展覧会企画者としてのキュレーターだけでなく、たとえばセレクトショップのバイヤーにも通じることです。ただし、先に述べたように「選択」するだけではキュレーションにはなりえません。ただブランドや商品を選んだだけでは文脈をつくることはできないからです。

なぜこんな話をするかというと、昨日取り上げた「ハツトキ(hatsutoki)」のようなブランドが増えるためにはキュレーションを行うことのできるバイヤーが増えることも必要だと思うからです。昨日の日記で、名前がないと認識が難しくなるという話をしましたが、それはそのまま文脈形成の難しさにつながります。セレクトショップのブランドのラインナップはえてして似たようなものになりがちですが、それは既存の文脈に乗っているためです。そういうセレクトショップばかりになってしまうと、分類が困難なブランドはなかなか買い付けられることはありません。

このことはバイヤーだけでなく雑誌の編集者、あるいはストリートスナップを撮る写真家などさまざまな職業にも言えることです。なにかを選択する立場にある人がキュレーション、すなわち文脈づくりを意識すると、多様性に満ちた刺激的なものがもっと現れるのではないでしょうか。


【批評家蘆田裕史のゆるふわ東コレ日記】
【ゆるふわ東コレ日記3-1】──ファッションショーの時間性
【ゆるふわ東コレ日記3-2】──ファッションショーの時間性(その2)
【ゆるふわ東コレ日記3-3】──時間のデザイン
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