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【ゆるふわ東コレ日記5-2】── 古着というデータベース

蘆田裕史

京都精華大学ファッションコース講師 / 批評家

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 前回、服の形には制約があるという話をしましたが、形やシルエットのみならず、色や柄、ディテールも歴史を振り返ってみれば、ほぼすべてが既に存在していると言っても過言ではありません。言い換えれば、ファッションやファッションデザインの歴史は服を構成する要素のデータベースなのです(ちなみに、このデータベースは1960年代のミニスカートによってひとまず完成したと言えるでしょう)。そうすると、このデータベースに直に触れる人、すなわち古着を生業としている人には服作りにおいても大きなアドヴァンテージがあるはずです。そのためか、近年ヴィンテージショップで働いている人たちがブランドを立ち上げるという動きが散見されます。服作りをはじめるにあたって、パターンの原型をまず学ぶというやり方が基本となっていますが、まずは膨大なデータベースにアクセスして知識を積み上げていくのも理にかなっているのだろうと思います。

 ファッションの世界ではよく「創造性」とか「創造力」といった言葉が使われますが、むしろ大事なのは「想像力」ではないでしょうか。自分のブランドを着る人たちが何を求めているか、彼/彼女がどのような生活をしているのかなど、想像力を働かせなければお客さんが満足する服を作れるはずもありません。そして、想像力を働かせるには知識や経験が必要になります。人は自分の知らないことを想像するなんてことはなかなかできませんから。古着をリサーチするファッションデザイナーは少なくありませんが、大量の資料に触れられる古着屋のバイヤーは、ひょっとすると単なる技術教育を受けた人よりも服作りに向いていると言えるかもしれません。

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 「Amazon Fashion Week TOKYO」2日目にショーを行った「ティボー(thibaut)」もそのひとつで、「メランジェ(MELANGE)」という古着屋のディレクターである伴芽衣子さんが立ち上げたブランドです。恥ずかしながらこのブランドのことを知らなかったのですが、事前にちょっと調べてみて、ヴィジュアルの作り方がとてもうまいという印象を持ちました。ショーでは古着とブランドの商品をミックスしており、どれが商品でどれが古着なのかわかりにくかったのがちょっと残念でしたが、このブランドのように古着屋から出発するデザイナーの服は色々見てみたいな、と思わせられました。

>>thibautの2018年春夏コレクション

【ゆるふわ東コレ日記】
5-1──「らしさ」の表現
5-2──古着というデータベース
5-3──二つのターゲット

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