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【ゆるふわ東コレ日記4-2】──主体と環境(その2)

蘆田裕史

京都精華大学ファッションコース講師 / 批評家

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写真提供:パナソニック 汐留ミュージアム

 現在、パナソニック 汐留ミュージアムで「モードとインテリアの20世紀」展が開催されています。この展覧会は、おそらく日本で唯一ファッションを収集対象としている「普通の」(ファインアートの、という意味です)美術館である、島根県立石見美術館の収蔵品で構成されたものです。

「ファッションとインテリア」というテーマは、昨日キーワードに据えた「主体と環境」にまさに当てはまるものです。私たちの日常生活では、家具などのインテリアも服にとって環境のひとつとなります。そのため、歴史的な服を見るとき、それがどのようなインテリアのなかに置かれていたのか知ることは重要です。たとえば、18世紀や19世紀のドレスを見て、「これどうやって椅子に座るの?」と疑問を持ったことがある人は少なくないでしょう。

もちろん、そうしたインテリアとの関係だけでなく、服そのものだけでも見る価値があるものばかりです。ポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオネからイヴ・サン=ローランやクリストバル・バレンシアガまで、1900年代から1960年代のデザイナーの作品が30数点見られます。今回の東コレではそこかしこにデムナ・グヴァサリアや、彼がデザイナーを務めるバレンシアガの影響が見られ色々な意味で驚いていますが、もしグヴァサリアのバレンシアガに興味を持つのなら、クリストバル・バレンシアガというデザイナーのことを知った方がより理解が深まるでしょう(逆にグヴァサリアのバレンシアガを理解できなくなるかもしれませんが)。

と、展覧会の話ばかりになってしまいましたが、今日も昨日に引き続き環境の話をしたかったのです。ファッションショーで音楽や場所という環境が大切だということは昨日書きましたが、服にとってはモデルもひとつの環境です。その大切さはおそらく誰もが理解していると思いますが、モデルがどのような役割を持ちうるのか、きちんと考えているデザイナーはそんなに多くないようにも思います。もちろん、服をきれいに見せるというのは役割のひとつですが、モデルは服にリアリティを与えるものでもありえます。

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そのことが顕著にあらわれているのが「コーシェ(KOCHÉ)」のショーです。プロだけでなく原宿のストリートにいるような一般の人もモデルとして使うことで、「私たちの服はこういう環境で着られるものです」というメッセージが含意されます(モデルや芸能人に詳しくないので、もしかしたら皆一般人ではないのかもしれませんが...)。ジャンルやテイストを問わず、あらゆる服は日常で着られるものです。それゆえ、ブランドが自分たちの服がどのような環境に置かれるか提示することで、受け手も想像力を働かせやすくなるはずです。また、BGMにも日本の曲が使われていたことから、しっかりリサーチもしていたことが推測されます。正直なところ、今まで欧米のブランドが東コレでショーをする必要性があまりわからなかったのですが、今回のコーシェのような、日本で開催する意味が考えられたショーはもっと増えてほしいと素直に思いました。

>> KOCHÉ 2017年春夏コレクション

【ゆるふわ東コレ日記】
4-1──主体と環境

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