Mitsuhiro Minami

ドラッグストアに差をつけられる百貨店

南 充浩

繊維産業ブログ

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昨年の3月に発表があったが、ドラッグストアの市場規模は6兆5000億円となり、百貨店の市場規模を越えた。
百貨店の市場規模は5兆9780億円まで下がっていた。
ドラッグストアの方が百貨店よりも5000億円も売上高が多いということになる。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15I8C_V10C17A3TI1000/

着物業界全体の売上高が3000億円弱なので、ドラッグストアと百貨店の市場規模の差は着物業界全体よりも大きいといえ、一昨年の時点でそれほどの大差がついてしまったといえる。

これは2016年度の業績で、2017年度業績ではさらにその差が拡大している。
百貨店はたしかに一部にインバウンド需要での売り上げ増があるが、一方で地方店や小型店の閉鎖が続いて店舗数は減っているからその分を差し引くと市場規模全体では良くて現状維持、悪くすると今後、さらに低下するということになるだろう。

一方のドラッグストアはまだまだ店舗数を増やしているから、昨年春に発表された6兆5000億円からさらに市場規模を拡大している。

実際に2017年度の市場規模を見てみよう。
まずは百貨店。

百貨店売上高、2年連続6兆円割れ
https://www.asahi.com/articles/ASL1R53H0L1RULFA02N.html

全国の百貨店の2017年の売上高は前年より0・4%減の5兆9532億円となり、2年連続で6兆円を下回った。

とのことだ。

一方、ドラッグストアの2017年売上高は激増している。

2017年ドラッグストア市場、5.5%増の6兆8504億円
http://www.syogyo.jp/news/2018/04/post_020814

2017年のドラッグストアの市場規模は、5.5%増の6兆8504億円と推計される。前年に続き、5%台の伸長率となった。
総店舗数は660店増の1万9534店と推計される。

とのことで、前年よりも5・5%増というと大したことがないと感じるかもしれないが、金額で見ると3500億円も増加しているということになり、まさに激増といえる。
アパレル業界に1社で3500億円もの売上高がある企業が一体何社あることか。

これで百貨店との売上高の差は9000億円も開いたということになり、2018年は、このままの調子を維持するならドラッグストアの市場規模は7兆円を越え、百貨店との売上高の差は1兆円を越えることになると考えられる。

百貨店との差は今後しばらくは開くばかりということになるだろう。

なぜ、唐突にドラッグストアの話をしたかというと、この伸びは大阪の心斎橋筋商店街を見ていても如実に痛感するからだ。
2015年ごろからジワジワと心斎橋筋商店街にドラッグストアが増え始めたが、気が付くと今ではファッションブランドショップはドラッグストアに駆逐されてしまっている。

今の心斎橋筋商店街はドラッグストアが軒を連ねている状態といえる。

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これまでも何となく薄っすらと知覚していたが、はっきりと気付いたのは今年の初めだった。

ユニクロの北隣にあったZARAが閉店してドラッグストアの「ココカラファイン」が今春オープンした。
ZARAはこれよりも南にもう1店舗あったから、そこへの集約だといわれているが、「好調」と言われていたZARAの跡地にドラッグストアが入店するということは、ZARAよりもさらに好調だということにほかならない。

また2014年に大型路面店として商店街内にオープンしたジャーナルスタンダードが昨年夏ごろ突然閉店した。
その後、同じベイクルーズが自社のアウトレット品を販売するBCストックとして店舗運営していたが、これも半年くらいで閉店してしまった。
その跡地にオープンしたのは関西初出店のドラッグストア「ピュマージ」である。

通常、店舗が撤退する場合は、売り上げ不振や不採算である場合が多いが、販売員仲間によると採算についてはわからないながら、売上高自体は比較的好調だったとのことで、理由は売り上げ不振ではないということになる。

まさに謎の閉店である。

恐らくは家賃が大幅に値上げされたのではないかと推測され、その家賃でも支払えるくらいにドラッグストアの売上高は高いということになる。
そこら辺のアパレルブランドショップでは太刀打ちできないほどの売上高をドラッグストアは稼いでいるということになる。

ドラッグストアの市場規模が6兆5000億円を越えたのを改めて実感した。

関西以外にお住まいの方からすると心斎橋筋商店街は、「ファッションブランドショップの並ぶ商店街」というイメージが強いのではないかと思うが、実際は紆余曲折があってそうなったが、それがまた崩れており、今はドラッグストア商店街となっているといえる。

これを踏まえて有料noteを書いた。

心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n2eb0ac5ccb54

そして、この傾向は何も心斎橋筋商店街だけではない。
長堀通を挟んだ北側の本町へと続く商店街も同じで、ドラッグストアが続々とオープンしている。
こちらはもともとは問屋街で、心斎橋筋商店街ほどのブランドショップはもともと出店していなかった。
小型問屋が減った跡地にはバッタ屋や在庫処分店の出店があり、コンビニの出店も続いた。
2~3年前から徐々にドラッグストアが増え、今はドラッグストアとコンビニの商店街となっており、その隙間をバッタ屋が埋めているという感じである。

フェイスブック友達によると名古屋も似たような状況だという。
栄の一等地のオールドネイビー跡地やゼニア跡地はドラッグストアが出店しているそうだ。

ドラッグストアの成長を支えている一つには、インバウンド需要がある。
もっとはっきりと言ってしまえば中国人観光客のドラッグストアでの爆買いが支えている。

中国人の爆買いは終わったと言われているが、ドラッグストアでは今も続いている。

今のドラッグストアの売れ行きを見ていると、家主・地主にしろ、不動産屋にしろ、チンケなアパレルブランドショップを相手にするよりはドラッグストアを相手にした方がはるかに儲けが大きい。
単純に計算して、ドラッグストアはアパレルブランドショップよりもざっと5倍から10倍くらい売上高が大きいと思われる。

そりゃ、当方が家主や不動産屋でもチンケなアパレルショップなんぞ相手にするよりもドラッグストアを相手にしたくなる。

だれだって儲けが大きい相手と取り組みたい。

現在、アパレル小売の市場規模は9兆円台で年々さらに低下している。
10年後・20年後もドラッグストアの勢いは続いているかどうかはわからないが、ここ3年くらいは今の勢いは持続するだろう。
そうなると、アパレル小売市場規模とドラッグストア市場規模の差は限りなく小さくなるのではないかと思う。

アパレル小売市場規模がドラッグストア市場規模に肉薄されることになるのもかなり可能性が高いのではないか。

南 充浩

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