Fashion 買ったモノ

【2018年ベストバイ】FASHIONSNAP.COM社長 光山玲央奈が今年買って良かったモノ

 

JIL SANDER ニット

光山:「ジル・サンダー(JIL SANDER)」は、デザイナーがルーシー・メイヤー(Lucie Meier)&ルーク・メイヤー(Luke Meier)に変わってから素晴らしく良くなったと思っています。

F:これはそのファーストシーズンですね。

光山:伊勢丹メンズ館でポップアップショップが出ていて、何気なく入って着てみたらすごく良かったんです。これとクロップドパンツを買ったんですけど、値段にビックリしました。

F:どれくらいしたんですか?

光山:ニットとパンツで30万円弱かな。

F:それは結構いきましたね!

光山:ただやっぱり、同じシーズンのものをセットで買うとハマりが良いんですよ。シャツも再定義していてMONDAYからSUNDAYまで1週間着回すように7型あって、それぞれ8万円くらい。価格はおいおいって思ったんですけど、"ジル・サンダー帰ってきたな"と。

F:どういう意味ですか?

光山:そもそもそういうブランドだったよねって。新生ジルがミニマルかと言われたらそういう感じではないんだけど、ある意味で原点に戻っているというか。とにかく極上の素材、それを実感させるプライス、だけど普通、みたいな。そのシャツも明らかに生地が良くて、今年見たシャツで一番良かった。ストレッチが効いてなかったから買わなかったけど、今でも着たときのこと覚えています。うおぉぉぉぉって。

F:へぇ〜そんなに。

光山:細かいですがタグもちょっと変わって初期型っぽくなっているんですよね。個人的にラフシモンズ時代のジルが好きだったんですけど、あれが「ジル・サンダーか?」と言われたら少し違うかも。

F:どのあたりが違いますか?

光山:ラフの時は、ブランドをより広い解釈でデザインしていて「ジル・サンダーってこうだよね」という過去を忘れさせるようなコレクションだったんですよね。でも今は、ジル・サンダーの原点を思い出させてくれる感じというか。

F:ストリート系の「オーエーエムシー(OAMC)」も手掛けているデザイナーですよね。

光山:モードブランドがストリート文脈からデザイナーを招聘する流れの嚆矢がジル・サンダーだったと思うんですけど、ちょっと心配でした。まだ早くないか?って。進化として新しい文脈を引っ張ってくるのはいいけど、再構築でそれをやると結構ややこしくなるというか。賭けに出たなぁと思っていました。でも見事にハマりましたね。恐れ入りました!

F:業界内の評判も良さそうです。このニットについては、選んだ理由は?

光山:どことなく軍物の匂いのするデザインが好きで。この布帛部分はニットの上から叩いているのではなくて、切り替えなんですよ。素材はもちろんですけど、裏の処理も綺麗で作りが細かい。肩周りが伸びないから少し着にくいんですけどね。

F:最近ミリタリーテイストが増えてきたようです。

光山:ミリタリーってしばらく忘れられてたというか。そのうち発展してサファリとか、冒険系に行くのかもね。

 

OAKLEY BY SAMUEL ROSS ショルダーバッグ

光山:これは周りから「お前はいったい何系なんだ」と言われた一品です。でもこのシルバーが気に入って買いました。なかなか無いんですよね。それとブランドネームの上にタグを縫い付けるというやり方とか、クラシックなブランドだと、まあないですよ。

F:大胆というか斬新!購入はいつ頃でしたか?

光山:10月かな。少し夏っぽいけど冬に使おうと思って。今年は巾着型が多く出ているから、小さいバッグを一つ買ってみようかと。普通だったら重いし機能と関係ないから敬遠するような金具使いとか、内ポケットのファスナーが逆についていたり、よく見ると面白くて今っぽいなと。

F:サミュエル・ロス(Samuel Ross)のような、いわゆるストリート系もチェックしているんですか?

光山:結構見ますよ。サミュエル・ロスが手掛けている「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL*)」は好きなんですけど、自分には服を合わせるのは難しそうだから、小物だったらいけるなって。

F:ルイ・ヴィトンのコートを買ってこれも買うって、守備範囲が広いですね。他にも気になるブランドはありますか?

光山:ヴァージル・アブローがルイ・ヴィトンを手掛けているんだから、今そういうのは普通なんじゃないかな。あとはまあ、シュプリーム。主に小物系ですが。

F:今年は脚立を買っていましたね。

光山:3台買いました。かといって、服ってなるとそこまで惹かれないんですよね。ロゴモノは裏原時代に着まくったからかも。

 

Maison Margiela マネークリップ

F:以前もこの企画でマネークリップをセレクトしていましたよね。

光山:マネクリ派なんです。ひっそり色々と試しているんですが、2014年に紹介した「ストラス(STORUS)」のスマートマネークリップが秀逸すぎて、結局いつも戻っちゃって。

F:こちらはどうなんでしょう。「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」とのことですが。

光山:ここに丸囲みで「11」とひっそり刻印されているだけなので、誰にもマルジェラだと思ってもらえないシロモノです。

F:本当だ、よく見たら刻印ありました!11番はアクセサリーコレクションを意味する数字ですね。知らなかったら普通に“スプーン曲げ”を連想していました(笑)。

光山:みんなから「自分で曲げたの?」と聞かれて「どう思う?」と返すのが定番です。マルジェラって服のイメージが強いんですけど、実は小物が面白くて良いものがあるんですよ。個人的にはタグの四つ糸、通称“ちょんちょん”が無い方が好きなんですが。

F:それがマルジェラの証だったりしますよね。切っちゃうんですか?

光山:モノによりますけど切ったりもします。個人的には"ちょんちょん"があった方がいいものと、そうじゃないものがあって。これ見よがしに"ちょんちょん"を打ち出してるアイテムとかは、無くていいんじゃないかなっていつも思います。

F:これは付いてないようです。

光山:まぁシルバーなので、縫い付けできたら逆にすごい(笑)。これは刻印があっても本当にマルジェラなのか信じがたいというか。

F:パッと見では信じがたいけど本物......そういう遊び心なんですかね。

光山:ちょっとした発想の転換が上手だなと思います。ブランドネームで勝負していないところが、逆にマルジェラっぽい。

F:それにしても、なんでスプーンなんでしょう。

光山:なんでですかね。「すくってやるぞ、このマネークリップ市場を」的な?

 

POOL トートバッグ

F:「プール(POOL)」。あまり聞かないブランド名でした。

光山:インテリアショップのイデー(IDÉE)が出しているオリジナルのエコバッグなんです。色合いが好きで、1個2,800円くらいなのでまとめて買いました。ぷらっと銭湯に行く時に使ったり。意外と容量もあって、ポイントはこれ中にポケットがあるんですよ。ちょっとした違いなんですが使いやすいんですよね。

F:まとめてみるとカラバリが綺麗ですね。口は安全ピン仕様なんですか?

光山:ボタンとかが無くて開いちゃうので、家にあった「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」の安全ピンで止めてます。

F:ハイ&ローのギャップがすごいんですけど.......。それとエコバッグはナチュラル感そのもので、先ほどのサミュエル・ロスのバッグとは対極にあるのでは。

光山:そうですね。機能性はハイテク素材にはかなわないんですけど、コットンやウールのような天然素材がやっぱり好きなんだと思います。落ち着くというか。最近のストリートは化繊の一辺倒になってきていて、機能性やスタイルにハマるのはわかるんですけど、ちょっと疲れちゃうこともあって。

F:確かに天然素材だと、服はTシャツやスウェットくらいかも。

光山:銭湯に行くとか軽く散歩する時は、こういうアイテムのほうが気が楽だしね。

 

HERMÈS デニムパンツ

光山:今気が付いたけど、結構色落ちしてきたなぁ。

F:見比べると確かに。今年めちゃめちゃ履いていましたから。

光山:今年は本当に、5月くらいからこれしか履いていないんじゃないか疑惑が。よって今回のラインナップでパンツが他に登場しないという。本当にここ10年のジーンズベスト1です。

F:昨年のベストバイにはリーバイス501XXが入っていましたよね。

光山:あれはヴィンテージだから別モノです(笑)。やっぱりヴィンテージってシルエットとかも違うので。いわゆる新品で買ったジーパンでは、これがぶっちぎりだと思います。

F:絶賛のポイントは?

光山:ヴィンテージ感のある起毛した生地、細部までこだわったディテール、シルエット。ですかね。

F:これ前がボタンフライなんですね。

光山:そう。それでポケットのここ。普通だったら口がカーブしているけど、直線的にデザインされているんです。あとブランド名の皮パッチが内側に付いていて、ミミがエルメスのオレンジ色という。

F:正直ジーンズのイメージが無かったんですが、細かい部分で「さすが」という感じなんですね。シルエットは結構細身のようです。

光山:太めのもの出していたらしいんですが、今年の春夏から細身が販売されて。でも「これでジーンズの心配をしなくていいな」と思っていたら、この秋冬で廃盤になるみたいで......。これは定番になるぞと確信したものが、生産終了という悲しさ。

F:お察しします。それで2本買ったんですね。

光山:そうなんです。だからもう1本の秋冬で買った方はストック用。

F:よく定番物でもしれっと仕様変更とか微妙にアップデートされていることもありますが、こちらは変更が無さそうです。いくらくらいでしたか?

光山:これは税別で9万1,000円ですね。

F:やっぱり結構良い金額しますね。

光山:でも、最近のジーンズって高いじゃないですか。3万で普通、5万とか6万もあったり。それならこのジーンズを買ったほうが、納得感があるなと思うんですよね。

F:綺麗に色落ちしてきて良かったです。途中でどうなるかも心配していたようですが。

光山:ジーンズって自分との戦いですよね。これはワンウォッシュで販売されているものですが、洗濯したい、でもまだダメだ、という欲求のせめぎ合いで。まぁ、そこまで戦いながら履くのが格好良いのかはわからないんですけど(笑)。

F:バンバン履くとしたら、洗うタイミングは難しそうです。

光山:どうしようか考えているんですが、一回洗うとヒゲがリセットされるから、ある程度ハッキリ落ちた後かな。でも蜂の巣とかバリバリヒゲが入ったジーパンって、モノとして見ると格好いいんだけど、履いていると微妙なことが多いんですよね。

F:確かに。あまりにもユーズド感があるのは、トレンドではないかも。

光山:そう、クリーン&クールという方が今っぽいんですよね。ユーズドの方が格好いいという見られ方は少なくなりましたね。デニムと革って愛用して育てる素材の筆頭だったんですが、ファーフリーを皮切りに革素材も制限され始めたり。これからのファッションは色々と難しい面が出てくるのかもしれませんね。

 

今年のお買い物を振り返って

F:今年はどのくらい購入しましたか?

光山:結構買いましたけど、大物は今回のくらいですね。あと時計を何本かという感じです。

F:定番モノが少ないような気もしました。

光山:そうですね。定番をあまり買わなかった年かも

F:結構攻めましたか?

光山:そこまでじゃないと思う。シンプルなものを買ったつもりではいたんですけど、それが定番か?と言われると違ったり。個人的には定番アイテムが店頭に出るのが減った気がしているんですよね。ジル・サンダーの1weekシャツみたいな、新定番を作るために大幅な見直しに入ったんじゃないのかなと感じました。なので来年くらいに、新しく定番として作り直したモノが登場するのを期待しています。

F:デザイナー交代も多かったので、消費者の気分が変わっていっているのかもしれないですね。

光山:そうですね。ブランドが意図的に変えていこうというのが目立った年でしたし。これずっと作り続けているんですよって、オススメされることも少なかったかな。

F:個人的に気になるものはありますか?

光山:う〜ん、モノとしてはないけど、"揺れ"や"音"に着眼したアイテムが、そろそろメンズでも増えていいかなと思います。

F:例えば?

光山:動きやすさを追求した服はいっぱいあるんですけど、動いたときのエレガンスさを追求しているブランドって、メンズだとあまりないですよね。それと素材同士が擦れたり揺れたりした時に出る音。僕、ニットの上からナイロン物を羽織るときの音が好きなんですよね、シャカシャカって。あと革靴で大理石とかを歩いた時の少し重みのあるカツンカツンという音とか。マジックテープとかのバリバリって音は苦手ですけど。

F:マニアックですね(笑)。

光山:打ち合わせをしていて、相手が手帳をたたむ時にパタンて音がしたら「ああ、打ち合わせ終了だな」みたいに感じることとかあるじゃないですか。そういう音で記憶に残るアイテムっていいなと思っていて。きっと、みんなもなんとなく好きな音ってあると思うんですよね。

F:高級車も、ドアを閉める音をかなり研究しているっていいますもんね。

光山:なんかそういう新しい視点でアイテムを作っているブランドに、来年は出会えたらいいなと思っています。

F:期待しましょう。お疲れさまでした!

 

■光山玲央奈(Reona Mitsuyama)
FASHIONSNAP創業者。2009年に株式会社レコオーランドを設立し、代表取締役に就任。アウトドアに憧れるインドア派。

・光山玲央奈が購入したベストアイテム【2014年】【2015年】【2016年】【2017年】【2018年】【2019年

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