kotohayokozawa 19-20年秋冬コレクション

Mariko Nishitani

違和感のあるファッションを求めて SHUSHU/TONG 、kotohayokozawa -違和感が新しい?vol.2-

西谷真理子

ファッションエディター

フォローする:

kotohayokozawa 19-20年秋冬コレクション

 違和感というのは、見慣れないものに直面した時の拒否的な感覚だが、とりわけファッションでおもしろいのは、それが、短期間で変化することだ。新しさを標榜するファッションの世界では、受け手の側も常に新鮮さを求めている。そして違和感という第一印象が、のちに肯定的な新しさに化ける事例を過去にいくつも目にしてきている経験を積んだジャーナリストやバイヤーなら、むしろ違和感のあるファッションに関心を向けるはずだ。
それにしても、東京には、驚くようなファッションが生まれる土壌、ポテンシャルがあるのかもしれない。FRUiTSやTUNEを創刊してきたストリート編集室の青木正一さんは、ここ数年、ファストファッションやノームコアの流行で、原宿ファッションは死んだと落胆していたが、昨年あたりから、少しずつ新しいアンバランスなスタイルの若者が登場し始めたことに着目、5月ごろを目指して新しいメディアを準備しているという。タイトルは「discord」。コードを崩す、つまり違和感だ。そして青木さんが原宿の街でカメラに収めるのが、中国人や韓国人などのアジア系外国人旅行者が少なくないことも興味深い。東京がファッションの都市として再び世界の脚光を浴びるには、国籍や人種などの境界を崩す必要があるのかもしれない。

 コレクション2日目の最初に登場した、上海を拠点に活動するSHUSHU/TONGの力強いコレクションも印象的だった。明らかに、女子の生き方がテーマだ。アップテンポで進む明るいショーとは裏腹に、ライ・リュウジュとショウ・ウトウのデザイナーデュオがコレクションに盛り込んだのは、女性のあり方や美の固定概念を覆すことだった。

 上の写真は、今回のインビテーションカード。「愛しているって言わなきゃ殺す」というのは、戸川純が1985年に発表した「好き好き大好き」の1フレーズだ。女性の中の天使と悪魔を描くために、戸川純を引用する二人のセンス!明らかにコム・デ・ギャルソンの影響を受けたコレクションだが、戸川純共々、2019年の東京に降臨した。

SHUSHU/TONG 2019-20年秋冬コレクション
SHUSHU/TONG 2019-20年秋冬コレクション
SHUSHU/TONG 2019-20年秋冬コレクション
SHUSHU/TONG 2019-20年秋冬コレクション
SHUSHU/TONG 2019-20年秋冬コレクション

 しかし、東京のひねりの効いたファッションを見てきた目には、SHUSHU/TONGはむしろファッションの王道を歩いているように見える。それは多分、女性の社会的存在の仕方が中国や韓国では、少なくとも日本よりはマシなのではないか。日本の女性デザイナーたちの表現は、もっと屈折を含んでいる。例えば同じ日に発表した横澤琴葉のkotohayokozawa を見てみよう。

 kotohayokozawaがショーを通して可視化する女性像は、いつも意味深長だ。ことさらそれをテーマとして言わないだけに、表面には現れないオリや澱みが溜まっていき、その違和感が軽快で奔放そうなファッションに重みを与えているように思える。

kotohayokozawa 2019-20年秋冬コレクション
kotohayokozawa 2019-20年秋冬コレクション
kotohayokozawa 2019-20年秋冬コレクション
kotohayokozawa 2019-20年秋冬コレクション

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
Jenny Faxは不幸を抱えている日本の女の子たちの気持ちを訴えている? -違和感が新しい? vol.1-
メンズ追加でいい結果を生んだANREALAGE -違和感が新しい?vol.3-
非日常的で演劇的な「ケイスケヨシダ」-違和感が新しい?vol.4 -

西谷真理子

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング