KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション

Mariko Nishitani

非日常的で演劇的な「ケイスケヨシダ」-違和感が新しい?vol.4 -

西谷真理子

ファッションエディター

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KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション

 違和感と一口に言っても、ファッションにおける表現はさまざまだ。 女性デザイナーたちがショーに盛り込む違和感には、概してリアリティがある。日常における差別、セクハラ、人間関係などへの不満がファッションという形をとって表出していることを、観客は肌で感得できる。

 一方、孤独な違和感もある。今シーズン私が見たショーの中で、いちばん違和感を感じたのは、3日目に発表されたKEISUKEYOSHIDAのコレクションだ。何かトゲが刺さるような、覚醒を強いられるような、そんな暴力性があった。KEISUKEYOSHIDAは、鮮烈な印象を残したエスモードの卒業ショー以来、ショーという形式の効果や訴求力を理解して、独自の表現に挑戦してきた。初期の若者を取り巻く情けない現実を、ストリートキャスティングで集めたモデルたちを使ってあぶり出した現実感と対照的に、今回のショーは、とても非日常的、演劇的だ。それも、最近よく語られる「物語性」などというメルヘン的なものではなく、ゴシックロマンだ。

KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション
KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション

 バッハのミサ曲が流れる中、赤い照明で照らされたランウェイに現れるのは、包帯で頭を包んだ少女たち。身体を文字で覆ったようなドレスや、美しく仕立てられたスーツに合わせたのは、ボンデージの装具のようなブーツ。

KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション
KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション

パンクファッションのシンボル、有刺鉄線に見えるのは、ダッフルなどに使うトグルだ。ホラーのような演出をかき分けて服を見ると、現代性と、工夫を凝らしたカッティングが見えてくる。

KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション
KEISUKEYOSHIDA 2019-20年秋冬コレクション

 中世のシンボリックなモチーフ、薔薇模様のコートに合わせたのは、アウトドア的なポケットがたくさんついたベストだったりする。 今やスポーツ、ストリート、古着は現代ファッションを表現する必須アイテムになっていて、その通俗性に対する抵抗として、吉田圭佑は、このような手の込んだ演出をしたのでは、と思ってしまった。音楽もパンクロックではなく、べートーベンのピアノソナタやグレゴリア聖歌などを使い、浄化したかったのかもしれない。

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
Jenny Faxは不幸を抱えている日本の女の子たちの気持ちを訴えている? -違和感が新しい? vol.1-
違和感のあるファッションを求めて SHUSHU/TONG 、kotohayokozawa -違和感が新しい?vol.2-
メンズ追加でいい結果を生んだANREALAGE -違和感が新しい?vol.3-

西谷真理子

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