malamute 20年春夏コレクション
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Mariko Nishitani

「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.2- マメとマラミュート

西谷真理子

ファッションエディター

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malamute 20年春夏コレクション
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女性デザイナーが女性に歓迎される服を作るとは限らないが、少なくとも、おしなべて女性作家たちは、コレクションとしての強さよりも、一つ一つの服の着心地や、細部の仕上がりの繊細さ、あるいは配色にこだわり、そこに他にない共感のツボを感じとったユーザー=着手は、誠実なファンになり、ブランドが育っていくための少なからぬ力になる。欧米のファッションビジネスから見ると、日本のこういった箱庭的、近親的なファンの構造は生温く見えるのかもしれないが、今日取り上げるマメもマラミュートも創作の種を丁寧に育てて、厚みのあるブランドに成長してきたのだと思う。

「Mame Kurogouchi」展示会の様子

黒河内真衣子のマメ(Mame Kurogouchi)は、2018-19年秋冬からコレクションの発表はパリに移していて、東京コレクションの期間中に展示会を行っている。その展示会に行った。
今シーズンからはパリコレの正規のカレンダーに参加することができ、マリーン・セルやラフ・シモンズも手がけるPRコンサルティング・パリがプレスを担当。いわば目利きのファッションのプロたちが加わったことで、マメは、マメらしさを残しつつも、大胆に剪定されたように見える。先シーズンまで、どこかに感じられた「戦闘服」(かつて黒河内がよく口にした)の名残が消えた、というのは私の印象だが、過剰なデザインディテールが削ぎ落とされ、素材の細部に目が向かうようになった。レースや刺繍、織(銘仙を思わせる絣も!)、ニットなどが作り出すオリジナル素材が独自の装飾となっている。しかも今回のテーマは「EMBRACE」。抱擁する、というか、包み込むというニュアンスで、ヴェール越しに精緻なテキスタイルが見える、という奥ゆかしさを持った、しかしさっぱりと小気味よいコレクションだった。鮮やかなグリーンが他の色と重なることで、薄められ、印象的だ。

Mame Kurogouchi 20年春夏コレクション Image by: Mame Kurogouchi

>>Mame Kurogouchi:2020年春夏コレクション

小高真理のマラミュート(malamute)は、誰にも作れないような凝ったニットを使った実にささやかなコレクションから始めたブランドだが、そのニットに関する本気ぶりと、独特な探求心が生み出すユニークなコンセプトが少しずつ実を結んでいる。今回は、ファッションウィークより一足早い、10月11日のショーだった。会場の京都造形芸術大学東京校の中庭には、謎の巨大な黒い物体が置かれ、その周囲を囲むように座席が設置された。自身の日常の二つの相反する気分――スポーツ観戦の高揚感と、室内で読書や音楽を聴くときの内向的な感覚。それを波打ち際の状態に例えて、海と陸がテーマでもあるという。多少意味不明の説明だが、コレクションの内容は素晴らしいものだった。ニットに向かい合ってきたからできる遊びや華やかさがこもっている。マラミュートもまた、面倒を厭わない素材の細やかな作りが、人の心を打つ。全体に装飾的でフェミニンなデザインを今の気分に締めているのはヘアメークと足元だろう。靴は、今回もまたトリッペン。そのデザインだけでなくサスティナブルな姿勢にも共感しての協力は美しい。

malamute 20年春夏コレクション Image by: FASHIONSNAP.COM

昨日(10/16)は、ヒカリエを抜け出して、クラスカで開催されたトレンドユニオンの2021SSシーズンセミナーに参加した。来年の流行予想だが、豊富な映像とリー・エーデルコート女史の説得力のある時代分析で、思わず聞き入ってしまう。今回のタイトルは「GREEN WAVE」。グリーンのワンピースを着て、TIME誌の表紙を飾るGretaさん(地球温暖化に反対して行動するスウェーデンの高校生)の画像に始まり、ファッションにおける緑=植物や自然、農業などの表象の膨大な写真を鑑賞した。

そういえば、マメもマラミュートも中心のカラーはグリーンだ。自身の感覚で時代をつかむと、トレンド予想に先行することができるのかもしれない。

トレンドユニオンの会場
■ファッションウィークの最新情報:特設サイト

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.1-
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.3- mercibeaucoup,の新しい挑戦
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.4- モテ服から遠く。東京の実験精神。

西谷真理子

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