Jennyfax 20年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP.COM

Mariko Nishitani

「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.4- モテ服から遠く。東京の実験精神。

西谷真理子

ファッションエディター

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Jennyfax 20年春夏コレクション
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東京コレクションが進行するにつれて、いつまでも「モテ服」に毒づいている自分が嫌になってくるが、もう少し。これまでいろいろなデザイナーをインタビューした時に、ファッションの世界とかかわろうと思ったきっかけを聞いてきたが、かなり多くの人(ほとんどが日本人男性)が、「モテたいから」と答えたのがおもしろかった。そしてそう答えた人の作る服が世に言う「モテ服」ではないところも興味深い。「モテ服」という概念は、決して斬新さや実験精神とは繋がらない。セクシーの置き換えとして登場した言葉かもしれないが、たいていの「モテ服」は、体を露出する服でもなければ、けばけばしい色彩の服でもない。日本の男性小市民を脅かさない、ほどほどに上品で、奇抜でない常識的な服である。この延長線上に、「ノームコア」は登場して、あれほど定着できたように思える。

が、ファッションは変化する。爆発的な流行も、永続しないのである。ノームコアの流行で広告や雑誌の誌面を飾った「シンプル」で「シュッとした」「クール」なファッションも、サラリーマン男性をスマートにしたという成果は残しつつ、ファッションの最前線からは消えつつある。

Jennyfax 20年春夏コレクション

10/18のシュエ・ジェンファンのJennyfaxの会場は、高田馬場のゲームセンターMIKADO。古びたビルに所狭しとおびただしいゲーム機が並ぶ、ゲーセンのメッカのようなところ。その通路を使ったショーは、なぜかこの空間に溶け込んで、古さが新しいとでもいう奇抜なものだった。モデルたちは崩れたポンパドールのようなヘアスタイルで、ギャザーやフリルや付け襟や胸飾りで装飾したドレスライクのコレクションをまとって歩くのだが、白やピンクがあれば、黒や紫、赤があり、小花模様とレースやオーガンジー、ブルーデニムにビニールなど素材もてんこ盛り。途中からモデルたちは口の周りにケーキの食べかけのようなものを付け、スタイリングもスカートが脱げかけのようだったりする。

シュエ・ジェンファンが、このコレクションの着想を得たのは、ノルウェーの小さな島を旅した時だという。店もあまりない村を歩いて目にしたのが、思い思いに飾られた家々の小さな窓。レースや花柄のカーテンに宝物を並べた窓に止まった時間を感じたのだろうか。そこからふくらんだ想像を彼女は、独特の解体可能なドレスにまとめた。このコレクションをガーリーとか、かわいいとかの言葉でまとめたくない。スタイリングは今回もヴェトモンのロッタ・ヴォルコヴァだった。

>>NATSUMI ZAMA:2020年春夏コレクション

最後に、東京の実験精神のまた方向の違う一つの例、NATSUMI ZAMAをご紹介したい。デザイナーの座間なつみは、文化服装学院の2部を卒業後、渡英。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに入学し、2009年の卒業制作時にブランドを立ち上げ、イギリスのメディアに取り上げられる。ロンドンのブランドで縫製を担当しながら、コンセプチュアルな作品を作りWEBで発表、2011年に帰国。2014年からNATSUMI ZAMAとして展示会での発表を続けてきたが、ブランド設立10年を機に、小さな実験を開始した。「Symmetry」というタイトルで、アイテムはシャツ、コート、スカート、ジャンパースカート。「左右2つで1つの服」がテーマ。どのアイテムも、前後左右の概念がないのが特徴。とは言え、違和感がないようにパターンは研究されている。いわば、半分ずつになる服で、片身ずつ購入することが可能でその場合、値段は半分。それを素材違いや丈の違うアイテムと組み合わせて着ることができる。ボタンが前にも後ろにも並ぶため、ボタンを軽くするなどの工夫がされている。同じボタンがついているものは組み合わせ可能で、シャツやコートとは別に、ウェストまでのスカートとジャンパースカートの組み合わせもある。

これがどのくらい需要を喚起できるのかは不明だが、座間さんは、小さいブランドだからできることを探っていくという。販売は自身のウェブサイトから始め、継続していくという。丁寧に作られたベーシックな服ではあるが、こんな実験精神も東京からは生まれている。

■NATSUMI ZAMA:公式サイト
■ファッションウィークの最新情報:特設サイト

【ファッションエディター西谷真理子の東コレポスト】
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.1-
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.2- マメとマラミュート
「モテ服」からの脱却――東京ウーマンが見えてきた。-vol.3- mercibeaucoup,の新しい挑戦

西谷真理子

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