ファッション業界のECを中心にサイズソリューションやささげ業務の効率化を提供する株式会社メイキップ。アパレル向けサイズレコメンドエンジン「unisize(ユニサイズ)」と、ECサイトに付随する撮影・採寸・原稿作成といった業務をAIを使って効率化を図る「SASAGE.AI(ササゲ エーアイ)」。これらは、コロナ禍で急成長するECの売上を支える今注目のサービスだ。大手ヘッドハンティング会社でのキャリアを経て、現在はメイキップの営業職として活躍するかたわら、米作りがライフワーク(!)という佐々木隼人氏に、キャリアの遍歴と今後の展望についてインタビューを行った。
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佐々木 隼人さん
株式会社メイキップ 営業
新卒でキャラクターライセンスを扱うコンテンツビジネスに従事。その後大手ヘッドハンティング会社、EC構築ベンダーにて人事責任者を経て2018年4月に株式会社メイキップへ参画。ファッションEC展開企業様への、サイズレコメンドサービス「unisize」とささげ業務改善サービス「SASAGE.AI」のセールスを担当。
―キャリアの大半は大手ヘッドハンティング会社だそうですね。
これまでいろいろな仕事をしてきましたが、大手ヘッドハンティング会社には9年在籍していました。入社したタイミングがちょうどIT案件が増え始めた頃で、SierやSESなどのシステム会社からweb制作会社、アプリ開発会社を中心に人材ヘッドハンティングを行っていました。
―当時の仕事で大変だったこととは?
業界に精通した人とのコミュニケーションが必須になるので、勉強は欠かせませんでした。特にIT・Web業界に関しては未知の領域でしたから、入社直後は単語一つとっても覚えるのに苦労しました。実際に、とある上場企業の部長さんから知識不足と叱られたこともあって、改善するために専門誌業界紙を読み漁って、会った方との会話はすべてメモして、わからないことは徹底的に調べて次のアポに臨むなどしました。結果、お叱りをいただいた部長さんとは知り合って10年以上が経ちますが、今でも個人的なお付き合いをさせていただいています。
―ヘッドハンティングで成功した秘訣は何でしょうか?
2つありまして、1つ目は採用難易度が高い会社のトップへ直接営業することです。当時は20代と若かったですが、ほぼ窓口でお話する方は社長が9割でした。2つ目は“活躍可能性を計算すること”。例えばですが、「300万円の人材を4名採用して1200万かかるより、1000万の人を一名採用するほうが活躍可能性が高い。なぜならば……」いうことを明確にプレゼン資料に落とし込んでいました。優秀な人材が1名入ることによってリターンがどれくらいあるのかなど明確に数値化し、提示していました。
―醍醐味はどんなところにありましたか?
当時思っていたのは、社長やトップの方々と“やらなきゃいけない状況”だったので、知識をつけないとやっていけない、努力しないと交渉できないので、そういう意味では常に勉強することや知識を吸収することを、若い時に経験できたのは良かったですね。
―大手ヘッドハンティング会社をやめたきっかけは?
人材ビジネスに携わる中で、単純に好きな会社がたくさんできたんですよね。仕事で会う人たちが皆、自分でプロダクトをつくっているとか、立ち上げている人が多くて。今まではそういった会社をサポートする側でしたが、段々と“つくる側”に興味が移っていきました。仕事で出会う会社のサービスを使ったり、実際にサービスが伸びているとすごく嬉しかったですし、これを自分でやったらもっと面白いんじゃないかと思ったんです。ヘッドハンティングの仕事も好きでしたし、今でも業界の人との繋がりはありますが、自分の人生の中で「自社プロダクト開発」に携わってみたいという意欲が出てきて、転職を決めました。
―ヘッドハンティング会社での9年のキャリアを経て、次に人事としてエージェントを利用する側のキャリアへ。両方経験して思ったこととは?
ヘッドハンターと企業側の採用担当、どちらも経験して僕が思ったことは“コミュニケーションの量”です。何かを発注する、される場合、すべて人任せにして成果を出せと言っているプロジェクトとは大体成功しないと思うんです。時には厳しいことを言うべき関係性が必要で、しっかりコミュニケーションをとっていかないと何事も上手くいかない。相互認識をどこまで理解できるかも重要だと思います。
―そこからスタートアップであるメイキップに参画するわけですが、IT×ファッションと、今までのキャリアとは大きく異なります。
実は一番大変でした(笑)。メイキップには大切にしている5つの行動指針がありその中の1つに「大人の組織」という言葉があります。メイキップではマネージメントをしない組織を目指しています。そのためには、各々がやらなければならないことを正確に理解し、自分を律しながら仕事を進める必要があります。空気を読めという話では全くなく、逆に言わなければならないことは空気を読まずにきちんと言わなければなりません。
会社を伸ばすために真剣に取り組んでいるので、はっきり意見交換し合う会議に最初は驚く人もいます(笑)。お互いに言いにくいことをお互いのためにはっきり言う。これが実現できているからこそ、ストレスなくビジネスに向き合うことができます。同時に「遊び心を忘れない」という行動指針もあり、張り詰めた糸は切れやすく、ガチガチな考え方に面白みはなく、そこから良い仕事は生まれません。自らを律し、余裕を持ち、良い仕事をしたいと思っています。
―メイキップのサービスの魅力とは?
大きく2つあります。主ににファッションECを展開する企業向けに「unisize(ユニサイズ)」と「SASAGE.AI(ササゲエーアイ)」を展開しています。
1)unisize(ユニサイズ)
ネットで洋服を買うときに、より身体に合ったサイズを推奨するサイズレコメンドエンジンです。国内外の洋服ブランドを対象に約3,000以上のブランドの洋服サイズを有し、入力されたユーザーのお気に入りブランド、サイズ、身体情報、特徴を元に最適なサイズを推定する独自のアルゴリズムでレコメンドを行っております。(※特許取得)EC利用者は身体に合う洋服や身体の特徴など、最短1分の簡単なアンケートに答えるだけで、メジャーで測ることなく自分に合ったおすすめのサイズを確認することができます。
2)SASAGE.AI(ササゲエーアイ)
アパレルECで販売する上でかかせない「さ(撮影)」「さ(採寸)」「げ(原稿)」業務をAIでサポートします。画像1枚から、モデル着用画像、洋服採寸、原稿生成を提供し、労働集約型のささげ業務をサポートし、業務効率を改善します。コロナ禍で、人が密集する場所でのささげ業務ですが、データのやりとりのみで業務が実行出来ます。
サイズレコメンドシステムの認知度シェアは業界No,1で、現在はベイクルーズ、シップス、ジュンなどのアパレル企業120社に導入いただいています。やはりコロナ以前に比べ需要が増えており、問い合わせが非常に多くなっています。
―気になる佐々木さんのライフワークのお米作りですが、現在のワークライフバランスについて教えて下さい。
実は今茨城県に住んでいて、オフィスは神楽坂(一軒家のオフィス)にあるのですが、通勤に往復3時間はかかります。コロナ以前からメイキップではリモートワークを導入していたので、非常に良いワークライフバランスで効率よく働くことができています。田舎暮らしを始めて、早寝早起き生活をして朝ごはんも家族と食べ、子どもの送迎をしてから仕事をします。自宅には薪ストーブもあるので、週末は薪作りをしたり、田んぼではお米作り、畑では季節の野菜や果物を育てながら生活しています。
―多忙を極めていた大手ヘッドハンティング会社時代とは大きくライフスタイルも変わったのではないでしょうか?
以前は始発、終電で働くことも多かったので、今の生活にはとても満足しています。メイキップで求められていることは成果なので、時間いっぱい働けばいいということではありません。通勤をしても気持ち的にも切り替えられるし、仕事の効率も上がります。
―最後に、今後のメイキップの展望についてお聞かせください。
メイキップはアパレル業界におけるサイズ課題解決のインフラを目指します。個人的にもまずはここの実現に注力しています。僕の場合でいうとアパレル業界での経験は少ないですが、この業界のことを知れば知るほど、可能性があるなと思っています。だからこそ、元気がないと言われているアパレル業界の皆さまの力になれるようなサービスを今後も新しく生み出していきたいと思っています。
―ありがとうございました。
長年ヘッドハンティング会社で多くの社長相手に仕事をしてきたからこそ、その経験が現在のキャリアでの成功に繋がっていると語る佐々木氏。その経験を経て、新たな可能性を秘めたアパレル業界を救いたいという思いは、きっと多くのアパレル企業に届くのではないでしょうか。
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