重要文化財「京都国立博物館」がアートで満たされる3日間。第2回となる京都でのアートフェア、artKyotoが今日からスタート。四代田辺竹雲齋の巨大作品と京都のそこかしこに出現する野原邦彦作品に注目。
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The 2nd annual artKyoto starts today at Kyoto National Museum.
昨年、二条城で開催され大きな話題を呼んだartKyotoがよりパワーアップし、先進的なCOVID-19対策も取り入れて今日から開催されている。
メイン会場は京都国立博物館。明治30年開館の趣ある重要文化財の建物に全国の21のギャラリーが出展している。加えて昨年に引き続き四条河原町のモダンなコワーキングスペース、engawaKYOTOが5人の若手作家の作品を紹介。また昨日は国宝の二条城で早乙女太一と和楽器ユニットRin’による舞踏劇がほぼ無観客で披露された(12月5日から公式サイトにて配信)。同時に連動イベントとして京都伝統産業ミュージアムにて現代アート作家と京都伝統産業とのコラボ作品が展示。また市内のホテルにて出展ギャラリーがプライベートビューイング。京都の街がアートで満たされる3日間の始まりとなる。
総合プロデューサーの來住尚彦は「私の役割は京都の街の魅力とアートを一つに紡ぐこと」と語っていたが、参加している21のギャラリーが建物の魅力大きい京都国立博物館の場の力を生かして、まるで一つの美術展のような調和を見せ、心地よい空間を作っている。
なんといっても圧巻は一番奥に展示されている四代田辺竹雲斎の「Infinity」という巨大作品。ギャラリー「夢工房」の展示スペースの床を埋め尽くすような高知の虎がらの竹材、虎竹がうねりをつくって天に伸び最後には交わっているかのような力強い作品だ。
その手前には西洋風の近代建築にマッチしてあたかもそこに昔からそのままの体で展示されていたかのような「たけだ美術」が展示する有元利夫作品。
その向かいには会期中、唯一見える窓を生かした展示が美しい「思文閣」が出展。同ギャラリーが紹介するのは新野洋(しんのひろし)。自然界の植物や動物のかたちを抽出し再構成する、ウィーンで学んだ若手作家だ。実は窓の前の雪の結晶のような作品もよくみると動物の骨のようなかたちをしている。
その手前には、まるでギャラリーとオフィスがそのまま引っ越してきて十数年来そこにあるような独特の雰囲気の展示で名和晃平を含む多様な作家の作品を紹介するGalleria Col、縄文土器などを展示する井上オリエンタルアート、ジュリアン・オピー作品の存在感が光るMAHO KUBOTA GALLERYなどなど。
だが、今回、出展ギャラリーの中でも一番の存在感と勢いを感じさせるのが野原邦彦作品を展示するGallery UGだろう。ブースを埋める作品に加え、京都国立博物館の入り口や茶室、京都一のラグジュアリーホテルなど様々な会場で6つの会場で同時に展示を行い、マップまで作成している。ギャラリー代表の佐々木栄一朗氏によれば本当はさらに数会場を用意していたが、COVID-19の影響で会期がずれていたため、抑えていた会場を手放さなければならなかったそうだ。
COVID-19と言えば、今回のイベントはこのコロナ禍にあって来場者が少しでも安心できるようにと最新の設備を導入。登録時に顔写真を登録しておくと入り口で顔認証をしつつ熱がないかも同時に測って迎え入れてくれる(マスクしていても認識してるのはD-Scopeという製品。凄いです)。
そうやって会場に入ると、入り口のすぐ左はKOSAKU KANECHIKAギャラリー、舘鼻則孝さんの作品が来場者に歴史ある建物との強烈なコントラストで来場者にいかづちのようなショックを与える。ちなみに今年も大活躍だった舘鼻さんにとってはこれが年内最後の出品となるそうだ。
engawaKYOTOは、訪れたことがない人は是非とも訪れるべきコワーキングスペース。エントランス横の小ギャラリーを含め、東京などの他所で見かけるコワーキングスペースとは異なる落ち着いたゆったりとしたスペースと落ち着いた雰囲気が魅力だが、そのスペースのそこかしこ、河原町通りを見下ろす2階の窓辺まで若手の作品で埋め尽くされている。
京都伝統産業ミュージアムでは、野原邦彦の作品に金箔を貼ったものや、原画を元に描かれた京友禅の作品も展示されていた。
たった3日間の開催ではあるが、忘れることのない強烈な印象を残すイベント。時間のある人はぜひ訪問し、そして気に入った作品に出会えたら購入して、まもなく文化庁も移転する京都のアートシーンの盛り上げに貢献してもらえればと思う。
artKyoto
2020年12月4日(金)~12月6日(日)
[一般入場料]前売:5,000円(税込)
公式サイト
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