Nobuyuki Hayashi

デザインとアートのはなし ― 日の出、温泉、アートが楽しめる別府の新ホテル「Galleria Midobaru」

林信行

ジャーナリスト/コンサルタント

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12月18日(金)、別府の山腹に新しいランドマーク、「Galleria Midobaru」が誕生。Beppu Projectの山出淳也さんキュレーションの12組の注目アーティストの作品と別府湾の日の出と温泉が楽しめる美しいホテル

Hotel Galleria Midobaru opens Friday, December 18, 2020 on the mountainside of Beppu, Oita Prefecture.It features artwork by 12 cutting-edge Japanese artists, a guest rooms with private Onsen bath and sunrise view, a restaurants that brings out the best of the ingredients and a bar that commands the view of Beppu bay and artworks.

 別府の山腹と言えば巨大な杉乃井ホテルがよく知られるが、さらに登った静寂なエリアに不思議な存在感を放つ土色の巨大建造物が出現。建築設計は地元のDABURA.m(ダブラム)社。広大な土地を贅沢に生かした格子状の面で構成された建造物だ。

 面に開いた穴をくぐると、その向こうからアート作品だったり、広い吹き抜けだったり、エントランスホールが現れ、まるで洞窟巡りのような楽しさがある。別府湾に向けて開かれた開放感あるエントランスホールには大巻伸嗣の巨大作品、Gravity and Grace -ゆだま-が吊るされ、横の壁にはその光を月のように反射するEchoes of Crystalizationが飾られている(ちなみに「ゆだま」は1日に数回光のパフォーマンスを披露する)。

 奥に進むと階段が現れ、その脇に別府に立ち登る湯煙のような鈴木ヒラクの「ゆらぎから光へ」という作品。その隣に西野壮平が別府の街中で撮影した2万5000枚の写真をコラージュして作った「別府温泉世界地図」が飾られている。いずれも、このホテルでしか見れないサイトスペシフィックな作品だ。

 2階には大阪graf社のオリジナルファニチャーが並ぶ洞窟に出現した異空間「HOT SPRING BAR」(HOT SPRINGは「温泉」の意)。オリジナルカクテルや別府湾の景色と一緒に草本利枝の「Another Water」というカラフルな写真作品も楽しむことができる。

 ホテル外には、水の流れがあり、池の中央にはまばゆく輝く青木美家のガラス作品「Vessel of Genetic Code」、そして向かいには中山晃子が別府の鬼石坊主地獄で撮影して作った映像作品「Medium」も展示されている。

 洞窟のようなホテルを巡ると、そこかしこに現れる小さな人の彫刻は大分県竹田市のオレクトロニカの作品。こちらは客室のエントランスも飾っている。客室にはもう1つベッドの上に泉イネの絵も飾られている。一方で、2つだけあるスイートルームには、重ね合わせた写真を彫って作品にする人気作家、Nerholや不確かで広大な宇宙を描いたような目 méの作品が掲げられている。

 ホテルを運営するのは関屋リゾート。廃業しかかった老舗旅館「関屋旅館」を、現代表の林太一郎とその父が立て直し銀行の信頼を得て「お客様の人生の質を高める」を方針に、別府の街の価値を高めるべく、既存の画一的な旅館とは一線を画す3施設を展開していた会社で、Galleria Midobaruでは温泉、食、空間、アートを贅沢に楽しむことを目指したという。長期滞在で外食も楽しみたい海外旅行客のことも考えて、食事の提供はあえてレストラン(とBar)で提供するスタイルを選んだという。

 そんな林代表がレストラン「The Peak」を作る際に考えたのが、日本でしか味わえない本当の食の魅力。ニューヨークやシンガポール、香港などにも魅力的な日本の食が楽しめるレストランはあるが、それらのレストランでも食材の質の高さでは日本に叶うことはない。ならば、食材のその味を徹底的に楽しめるレストランをと東京のメーカーと一気に600度まで加熱できるここだけにしかないオーヴンを開発し、それを中心にレストランを作り、食のメニューを完成させた。出される野菜の一つひとつから、そして豊後の牛や鶏の肉からジューシーな汁がしたたる。ほとんど味付けしない素材の魅力を楽しむうちに、確かにこれこそが世界のどこも真似できない日本の食の強さだ、と確信せずにいられなかった。

 当然、レストランにもアート作品がある。素材の魅力を引き立たせるような外装も内装も黒いレストランの壁には勝正光の素描が並び、2階のあるテーブルには島袋道浩が大分の大地が放つエネルギーにインスピレーションを得てつくった作品、岩の「イワオ」がお誕生日席に鎮座している。岩と一緒の食事なんて、まさにここでしたできない一生の思い出になるのではないだろうか。

 35の客室の平均価格は4万円で、スイートルームは10万円。客数に関係ない部屋単位の料金と考えるとかなりお得だ。なお、予約の際は、同じ関屋リゾートが運営するお隣の宿、インドネシアリゾート風のテラス御堂原とお間違えなきよう…(そちらもステキそうでした!)。

■Galleria Midobaru
住所:大分県別府市堀田5組
公式サイト

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