下地毅氏
Image by: TSIホールディングス
TSIホールディングスの代表取締役社長に、3月1日付で下地毅氏が就任する。上野商会で取締役社長を務め、メンズブランドのデザイナーとしても長年活躍していた経歴をもつ。2021年2月期第3四半期の決算説明会で「ファッションの力を信じている」と話した下地氏。TSIホールディングスでグループ内の現場からの出身者が社長に就任することは珍しいが、抜擢に至った理由とは。
沖縄県出身の下地氏は1985年に文化服装学院マーチャンダイジング科を卒業。1990年に上野商会に入社し、ファッション業界でのキャリアをスタートした。入社後はオリジナルブランド「DOG FIGHT」のデザインを担当。1992年から「アヴィレックス(AVIREX)」のチーフデザイナーを務め、2018年からは取締役社長を兼任していた。上野商会では当初、アヴィレックスに関しては輸入事業のみを手掛けていたが、下地氏の貢献により本国とライセンス契約を締結し、タウンユースウェアのラインを拡大したことで現在の基盤を作ったという。その後は上野商会の完全子会化に伴い、2019年からはTSIホールディングスの執行役員を務め、現在は第4事業カンパニー長、5月から取締役に就いている。メンズファッション一筋で、フライトジャケットやミリタリーウェアに精通しているという下地氏は上野商会時代、社長就任後も店頭に立ち、セールやイベントでは自ら先頭を切って販売を行い、社員とのコミュニケーションを図ってきたというエピソードもある。
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今回の抜擢について同社は「判断力、統率力、意思決定力に優れ、事業のマネジメントも企業経営の経験がある上に、その資質が高い。未来志向で大胆な決断が必要な今の時代にふさわしいと判断した」と起用理由を説明。現任の上田谷真一代表取締役社長は下地氏について「フラットでフェアな性格が経営者の資質として重要。それを発揮して難易度の高い業務もスピード感をもって解決してくれているのを見ており、安心して任せられる」とコメントしている。
同社では、組織構造のスリム化による事業スピードの向上や、法人統合での仕組みの一体化によるマインド変革を目的に、3月から段階的に組織再編を実施していく。会見で下地氏は「商品の価値を高めるために、適正な量を生産し、セールを行わないこと、商品を新鮮な状態で届けることが最大のミッション」と話しており、社内のこれまでの"古い体質"を抜本的に見直していく考えだ。同社は2021年2月期第3四半期(2020年3月1日〜11月30日)に111億円の赤字を計上しており、新体制では経営の立て直しも大きな課題となる。
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