今年も早いものでもう3分の1が終わろうとしている。
気候を振り返ってみると、1月上旬は久しぶりに寒波が訪れたものの、下旬から気温が上がり、2月は稀に見る高気温だった。3月も高気温が続き関東くらいまでの桜の開花は平均よりも早く、3月下旬となった。
4月は気温の高低の差が激しいと感じる。
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報道によると今年はラニーニャ現象が見られなかったので、夏の猛暑は避けられる可能性があるとのことである。
個人的な話をすると(いつも個人的な話しかしていないが)、湿度や晴れているか曇っているかの差はあるが、だいたい最高気温23度になると、少し動くと汗ばむ体質であるということを自覚してきた。
そんなわけで、最高気温が30度くらいでも汗をかくことは変わらないが、やはり35度を越える猛暑は、苦痛の度合いが異なる。夏でも最高気温が33度くらいなら、我慢できなくもないが、35度を越えるともうダメである。苦痛でしかない。
ワーキングユニフォーム業界で、夏服の最大のヒット商品は「空調服」「電動ファン付き服」の類である。
存在自体を知ったのは2010年代前半だったが、昨年あたりから普及率が加速したように感じる。例えば、商業施設の駐車場の誘導係の人は昨年くらいからほぼ空調服を着用しているようになった。
また街を歩いていても空調服を着用している作業員が増えたと感じる。
一説には、夏に着用すると涼しくて手放せなくなるとのことで、これが事実なら普及するのも当然だろうと思う。またバッテリー内蔵型なので、通常の夏用作業服に比べると高額で、最低でも1万円は越える。
夏の作業服というのは今までならTシャツやらポロシャツが主流だったので、単価は1000円くらいしかならなく、夏場の客単価は低下せざるを得なかったが、空調服は最低でも1万円くらいはするので、夏の客単価は格段に上がった。
オシャレは我慢だとおっしゃる方がおられる。その思想は否定しないが、こちらにもそれを求めることはやめてもらいたいと思う。勝手に一人で我慢していてもらいたい。
夏場のメンズスーツスタイルはもとから我慢の産物だが、カジュアルでも暑いものは暑いから、汗っかきの自分としてはできるだけ涼しくしていたいと思う。
で、昨年あたりから空調服を夏にカジュアルとして着用できないかとおぼろげながら考えていたのだが、空調服の多くは、スイッチを入れるとひどく膨らんでしまう。
遠目から見ていると、それこそ異様なほどモコモコしているように見える。夏場に分厚いダウンベストを着ているように見えてしまうという難点がある。
作業現場で着用しているなら「ああ、仕事中なのね」という感じだが、カジュアルとしては着用しにくいと感じる。
それでも何とか活用できないかなあとぼんやりと考えていたら、先日、「ケレン」というカジュアルブランドが電動ファン付きの半袖ジャケットを2021年盛夏向けとして提案していた。
「電動ファン付き服」は作業服分野以外にも広まるか? – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)
スイッチを入れてもなるべく膨らまないように工夫はしているらしい。
面白いアイデアだと思ったが果たしてこれが他のブランドにも広がるかどうかは疑問だと思っていた。実際、ケレン以外で提案しているのを寡聞にして知らない。
そうすると先日、こんな記事が掲載されていた。
ヤヌーク初の空調ベスト「Wear The Wind」発売 特殊染色とユーズド加工で独特の風合いに (fashionsnap.com)
ヤヌークというとかつての高額プレミアムジーンズブームの一角を担ったが、現在はカイタックインターナショナルがライセンス生産しているカジュアルブランドである。
初の空調ベスト「Wear The Wind」を6月10日に発売する。ブラックの1色展開で、価格は税込4万6200円。M・Lの2サイズを用意し、ブランド直営店とオンラインストアのほか、「メンズ メルローズ(MEN’S MELROSE)」と「メンズビギ(MEN’S BIGI)」の各店で取り扱う。
とのことである。
直営店とネット通販以外には、他社店舗であるメンズメルローズとメンズビギにも卸すようで、このあたりは驚きである。
メルローズとビギは2000年前後、店舗内見会で何度か本部スタッフに短い取材をさせていただいたことがあったが、いかに「ファッション命」みたいなイキった本部スタッフが多かったのだが、あの彼らがよく電動ファン付きベストの仕入れを決断したものだと思う。
もちろん、あれから20年は経過しているし、2018年にビギは三井物産に買収されたので、中の人はすっかり入れ替わったのだろう。
ヤヌークというブランドの影響力はかつてのプレミアムジーンズブームのころほどではないし、ビギ、メルローズの影響力も2000年頃ほどではない。
そのため、この取り組みをもって、電動ファン付き服がカジュアルにも一気に広まるかどうかはわからない。もしかしたら来年夏には忘れ去られている取り組みになっているかもしれない。
それでも面白い取り組みだと思うし、今の国内市場のマス層に訴求するには、もう「リネン混のナンタラ」とか「吸水速乾素材のナンタラドライ」とかそういう物では通用しなくなっていると感じる。
リネンもドライも様々なブランドから出ているし、どれを着用しても汗をかく量が減るわけではないし、暑さそのものを軽減してくれるわけではない。
そのため、マス層もそうだし、散々いろいろなリネンやらドライを着用してみた中老たる自分にも響かない。まあ、洗濯を繰り返して色が褪せて生地が擦り切れてきたから買い替えるか、程度である。
しかし、炎天下の作業員が愛用するほどに圧倒的に涼しいのなら、電動ファン付き服は一度試してみたいと思う。そしてそれがデザイン的にタウンユースカジュアルとしておかしくないものであればなおさらである。
さて、ケレン、ヤヌークに続く導入ブランドが現れるのかどうか、個人的には期待しながら待ちたい。
こんなご指摘をいただいたので感謝をしつつ訂正の意味も含めてご紹介させていただく。
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