ヴィンテージ総合プラットフォームとして、ECモールの運営やリアルイベントなど手掛ける「VCM(Vintage Collection Mall)」。ファッションを中心にライフスタイル、インテリアを扱う、全国各地200店舗以上のヴィンテージショップとタッグを組み、世界中から集められた価値あるヴィンテージの1点物を展開している。そんなハイセンスかつ良い意味でクセのあるショップを束ねているのは、自身でも古着屋を経営する十倍直昭(とべなおあき)氏。10代からバックパッカーとして世界中を旅し、その中で得た感性や知識、経験を元に、かねてより興味のあったレディースの古着屋をオープンさせた人物だ。海外セレブや芸能人にも愛される店舗を作った十倍氏が、この秋日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催する。古着屋をオープンさせた男が、日本では初といっても過言ではない規模のイベントを開催するまでに至った経緯とは!?ヴィンテージへの愛と共に大いに語っていただく。
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十倍 直昭さん/Grimoire inc.代表取締役、VCM(Vintage Collection Mall)代表
2008年 Select Vintage Shop 「Grimoire(グリモワール)」をオープン。15年のヴィンテージショップ経験や海外経験を基に2021年6月、日本最大級のヴィンテージプラットフォーム VCMを立ち上げ、10月22(土)、23(日)にはパシフィコ横浜にて全国から130店舗以上のショップが参加する、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」 を開催する。
Instagram:@vintagecollectionmall
経験ゼロからのスタート!自分にはなじみのないレディース古着を扱った理由とは?
― ご自身の古着屋をオープンした経緯を教えてください。
古着屋をオープンしようと考えていた2008年当時、様々なヴィンテージショップが展開されていたメンズとは違って、レディースヴィンテージの専門店は少なかったんです。そもそも女性が日常的にヴィンテージアイテムを着るということが今よりは少なかった。海外のヴィンテージ市場に行ったときもメンズアイテムの需要が多く、日本に新たなヴィンテージのジャンルを作りたいと思ったときに、レディース専門店ということに可能性を感じました。
それに、女性モノのヴィンテージアイテムは、柄やデザインが面白かったことも理由の一つでした。 ただ、学生時代から古着を愛用していたので、メンズヴィンテージに関しての知識はある程度持っていたのですが、レディースヴィンテージの知識についてはまだまだでした。 当時は買い付け先などもわからずに、海外に行っても3、4箱しかバイイングできませんでした。現地のガソリンスタンドで店員さんに「ヴィンテージってどこに売ってるの?」と聞いたりしていました(笑)。
― 始めるにしても古着屋としてのノウハウや資金調達も必要ですよね?
幸いなことに、原宿や渋谷などで雑誌やWEBでストリートスナップに出ているような、今でいうと“インフルエンサー”にあたるような子たちと交流が深かった事もあり、スタッフとしてお店で働いてくれました。その子たちのファンの方々が来店してくれたこともあって、宣伝部分では大変助けられました。ですがお店を開店するにあたり、資金調達については苦労し、色々と工夫しました。当時の自分には特別な技能があったわけではなく、様々なバイトを5つぐらい掛け持ちしていました。ただ、そのときに明治公園や代々木公園のフリーマーケットで売られていた商材をネットオークションやフリマサイトで売ったりもしていて、それが生活費になっただけでなく、バイヤー人生の原点にもなったんです。
― オープンしてから大きなトラブルや苦労はありましたか?
海外の買い付けトラブルはたくさんありました。最初はどういう風に買い付けて、それをどう日本に発送するのかすら分からない。国によって発送方法も違いますし、そもそも買い付けた荷物がなくなるなんてことも・・・(笑)。また、お店を作る事自体初めてのことだったので大変な事ばかりでした。当時は今ほどオンラインショップが伸びていたわけではなく、実店舗を作るのが主流だったため、その中で他店舗との差別化を図る為に内装やブランディングを作る事に多くの時間を費やしました。
― そんな苦労を経て海外セレブも来店する店になったんですね。
最初の店は賃料がそれほど高くない、渋谷にある雑居ビルの7階にオープンしました。今までに誰も創ったことがないような隠れ家をコンセプトにした空間にしたくて、入口からいきなり“異世界”に入り込んだようなお店を創ったんです。そういった世界観や、雑居ビルの7階という「こんなところに店あるの?」という部分もたくさんの方々に興味を持っていただけたきっかけになったのだと思います。
そしてある日突然、NIRVANAのフロントマン、カート・コバーンさんの奥様でもあったコートニー・ラブさんにご来店いただいたんです!滞在先のホテルのコンシェルジュの方からお電話いただき、店を貸切にしてくれませんかと突然の電話。「あなたのヴィンテージショップをアメリカからネットでずっと見ていてファンだった」と言って下さり、わざわざ滞在先のホテルにスタッフ総出でお部屋にご招待いただき、食事までご馳走になり、朝まで語り合いました。今思うと夢のような話でしたね(笑)。
次の来日の時にも六本木のお寿司屋さんにスタッフみんなを招待いただき、とても良くしていただきました。古着業界に携わる者として、コートニーさんはもちろん、NIRVANAというバンドは思い入れの強い特別なバンドなのでその奥様に認めていただけたのは、忘れられない経験になりました。
古着屋だけでなくヴィンテージの総合プラットフォームサイトも開設!日本のヴィンテージ業界を牽引する存在に
― 今はさらに新しいチャレンジもされているんですよね。
「VCM(Vintage Collection Mall)」というヴィンテージの総合プラットフォームサイトを運営しています。オンラインでモノを売るECサイトとイベント開催の両軸で動いていて、最近ではリアルイベントにより力を入れています。現在は、約200ショップほどの方々と一緒に、お取り組みをさせていただいております。様々な商業施設さんからお声かけいただき、ポップアップショップやイベントを開催し、ヴィンテージの新しい価値を伝えていくような活動をしています。
― なぜ「VCM」主催で大きなイベントを始めようと思ったんですか?
長年通ったロサンゼルスで開催されているローズボウルマーケットのような、ヴィンテージのマーケットを日本でも開催したいと以前から思っていました。日本には現在、様々なフリーマーケットや蚤の市のようなイベントはありますが、価値あるヴィンテージに特化した大型のヴィンテージマーケットはないなと考えていて。VCMを立ち上げてから、様々なショップ様とお取り組みをさせていただいている中で、人気のヴィンテージショップが全国から集まる”ヴィンテージの祭典”を日本に作ろうと決意しました。価値あるヴィンテージが集まる事では世界トップレベルのこの日本に、ヴィンテージの祭典がないことがとても勿体ない事だと思ったからです。
― どのように出店店舗を募っているのでしょうか?
僕とスタッフで話し合い、1件1件ご連絡をさせていただいております。また、VCMに出店しているショップ様からおすすめのお店をご紹介いただいたりもしています。大型イベントでは、一般募集を行い募集を募る事が一般的かと思いますが、VCMでは価値あるヴィンテージをご提供されているショップ様とお取り組みさせていただきたいと考えておりまして、そのようにさせていただいております。
パシフィコ横浜で大型のヴィンテージの祭典を開催!様々なジャンルのヴィンテージアイテムが一同に集結する
― ついに10月に大型イベント「VCM VINTAGE MARKET」が開催されますね。
10月22日(土)、23日(日)パシフィコ横浜に、130以上の店舗が集まることになりまし た。全国のヴィンテージショップが一堂に会する、日本最大級のヴィンテージイベントになります。「ヴィンテージのコレクション発表の場」がコンセプト。単なるフリーマーケットではなく、各店舗の個性あるセレクトで集められた、貴重な1点物が勢揃いするとっておきのイベントとなります。
世界中から集められたヴィンテージファッションを中心にジュエリー、インテリア、ライフスタイル、ハイブランドヴィンテージ、などの多くのジャンルが集まる予定です。
― ヴィンテージ初心者でも楽しめますでしょうか?
はい。もちろんです!ヴィンテージって慣れていないと買い物するのが少しハードルが高い、とおっしゃる方も多いと思うのですが、知識や年代等わからなくても感覚的に選んでいただいて全く問題ないと僕は思っております。
感覚的に買った物を通じて、そこから国や文化や時代に興味を持っていただけるきっかけにしてもらえたら、僕らにとってこれ程嬉しい事はありません。ヴィンテージというのは「時代と文化の結晶」だと思っているので、生活の中に一つでも ヴィンテージを取り入れるきっかけになっていただけたらと思っております。今まで、今回程多くのヴィンテージアイテムが一同に集まることはきっとなかったと思うので、会場で起こる熱気を体感して欲しい。価値ある1点物が多数揃うので、普通の買い物では感じることのできない楽しさも体感していただきたいですし、ここにしかないモノや人との出会いを経験していただきたいです。
― 最後に「VCM」の今後の展望を教えてください。
今回の「VCM VINTAGE MARKET」を定期的に開催していき、且つ日本の一つの観光地にもなり得るイベントに成長させていきたいです。 今の日本のヴィンテージ市場は世界からもとても注目されているので、いずれは世界中からたくさんの方々にお越しいただける、日本を代表するヴィンテージマーケットになることを目標に頑張っていきたいと思います。
ヴィンテージを愛する方々がそれぞれに繋がれる場所を作り、長く物を愛して使い続けていくことでSDGsに少しでもヴィンテージ業界が貢献出来たらとも考えております。あとはヴィンテージの価値について少しでも多くの方に知っていただけたらと思っているので情報発信をしていく事の重要性はあるなと考えております。ヴィンテージがなぜ高いのか、歴史や知識や背景を知っていただく事でもっと身近に感じていただけるかなと。ヴィンテージアイテムの作りの良さ、今にはないデザインや貴重性を知っていただきヴィンテージ愛好家の方だけではなく、一般の方々にも気軽に取り入れていただけるような価値観を作る事が今の目標ですね。誰かの家に眠っているデニム等を鑑定したりして、「なんでも鑑定団」のヴィンテージファッション版もやったら面白そうですよね(笑)。
VCM VINTAGE MARKET
日時:2022年10月22日(土)23日(日)10:00~19:00
場所:パシフィコ横浜 展示ホールA
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1丁目1−1
チケットのお求めはこちら:https://vcmvintagemarket.peatix.com/
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