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【2022年ベストバイ】音楽家 渋谷慶一郎が今年買って良かったモノ

 今年のお買い物を振り返る「2022年ベストバイ」。9人目は、「アンドロイド・オペラ®」や「xxxHOLiC」の映画音楽でも知られる音楽家の渋谷慶一郎さん。今年は「グッチ(GUCCI)」のキャンペーンフィルム「KAGUYA BY GUCCI」の音楽を担当し、新生アンドロイド・オルタ4との共演も話題になりました。渋谷慶一郎さんが2022年に買って良かったモノ10点。

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Tesla モデル3

FASHIONSNAP(以下、F):ベストバイ1品目は、「テスラ(Tesla)」のモデル3。15インチのタッチスクリーンですべてのドライブコントロールにアクセスできるという、アメリカのEV(電気自動車)です。フロントガラスから繋がるオールガラスルーフで運転しやすそうですね。

渋谷慶一郎(以下、渋谷):今まで全く車に興味なかったんだけど、これは初めて欲しいと思って買った車です。ボディカラーはホイールも全部黒にした。白はリセールバリューが高いとか言われたけど、白い車って家庭的だからなんか嫌なんだよね(笑)。

F:運転席はハンドルとタッチスクリーン以外何もなくて広々としています。テスラを選んだ理由は?

渋谷:車が欲しいというよりも、テスラに乗ってみたかったんです。デザインもいいし、体験として新しいと思って。あと僕の友だちがテスラ本社の役員でイーロン・マスク(Elon Musk)とも仕事をしているんだけど、彼に一回助手席に乗せてもらった時に「これはいいかも」って思ったんです。免許を取ってから30年くらい運転していなかったけど、これだったら自分でも運転できると思った。要するに、普通の車の運転のノウハウが必要ないから。普段乗っているキックスクーターと同じように運転できるなと思ったんです。

F:オンラインで注文して数ヶ月で手に入れられたらしいですね。

渋谷:テスラってディーラーがいないから、サービスが何もないんだよね。車も届けてくれないから、有明の駐車場まで自分で取りに行かなきゃならない。イーロン・マスクのお母さんですら、iPhoneで注文しないと買えないらしい(笑)。

F:実際、日常的に使ってみてどんな印象ですか?

渋谷:機材を積んで仕事先に乗って行くことが多いから、基本的にはマネージャーが運転してるけど。電気自動車はガソリンが必要ないから維持費も安いし、万が一横転したとしても最低限の被害で済む。あと、アプリでどんどんバージョンアップできるからiPhoneみたいな感覚でいいですね。

F:テスラのサウンドシステムはいかがですか?

渋谷:悪くないと思う。今、ほとんどの人がスマホで音楽を聴いているから、一般的なレベルだと、車の中が最上級のサウンドシステムな気がする。僕も移動中に仕事の音源をチェックしたりします。iPhoneにデータを入れているからそれを繋げるだけだし、EVは音が静かだからリスニングとかチェックにも適していると思いました。

KUWAHARA BIKE WORKS E.T.40

F:渋谷さんのもう一つの「足」は「クワハラバイクワークス(KUWAHARA BIKE WORKS)」のBMX。映画「E.T.」公開40周年記念モデルだそうですね。主人公のエリオットとE.T.が乗っている自転車が空を飛ぶ場面は、映画史に残る名シーンです。

渋谷:これはカゴはついていないけど(笑)、劇中でエリオットが乗っていたのとまったく同じもの。ちゃんとフレームに「E.T.」って書いてあるし、赤から白のグラデーションがポイントです、とか言ってるとマニアック過ぎるんだけど......。

F:どうして興味を持ったんですか?

渋谷:映画の公開当時、小学校5年生だったかな。僕はへそ曲がりだったからこれじゃないBMXを買っちゃったの。でもこの「E.T.」のモデルを買えばよかったなー、って思い続けていて。この復刻モデルは10年に1回しか発売されないから、次だと50周年記念。僕が59歳になった時にこんなのに乗ってたら不気味じゃない?(笑)だから今回がラストチャンスだったという。

F:クワハラは1918年創業の大阪のメーカーで、オールドスクールなBMXで知られていますね。

渋谷:スピルバーグ監督が「E.T.」を撮る時に、近所の子どもたちに「BMXは何がいい?」って聞いたらみんな「クワハラ」って言ったらしくて、それで採用が決まったらしいです。クワハラのBMXはデザインを含めた無骨さがいい。普段キックスクーターもテスラも乗ってるし、テクノロジーに囲まれているから、こういう超重くて、スピードも出しにくいものが逆に欲しくなるときもある。これに乗って走ってると、生の喜びがあるというか(笑)。

F:映画としても「E.T.」がお好きなんですか?

渋谷:大好き。何回見ても泣いちゃう。映画音楽もよくできてると思うけど、あの未知の存在とだんだん心が通じ合っていくみたいな世界観に僕は弱くて。アンドロイドもE.T.もさ、ちょっとパッと見、気持ち悪いじゃない? でもそれがだんだんよく見えてくるわけ。だからこのBMXはとにかく手に入れたかった(笑)。完売していたけど、ラッキーなことに買えたんです。すごくレアだから、飾っておくだけの人が多いらしいけど、僕は普通に乗っています。

CELINE レザージャケット

F:次に登場するのはエディ・スリマン(Hedi Slimane)が手掛ける「セリーヌ(CELINE)」のレザージャケット。深みのある色合いが美しいですね。

渋谷:僕はエディがデザインしていた頃の「ディオール オム(DIOR HOMME)」も「サンローラン(SAINT LAURENT)」も着ていたけど、このレザージャケットには彼の集大成的な完成度を感じます。レザーの質も、縫い目も、ジッパーといった付属品もすごくしっかりしてて。ジャージのような柔らかさがあるから、スキニーなデニムにもワイドパンツにも合うし、使い勝手がいいんだよね。

F:エディのクリエイションは昔から好きなんですか?

渋谷:好き。あと、サイズ感が合う。これは自慢なんだけど(笑)、デニムのレングスをまったく直さないでいいんです。ジャケットもサイズがばっちり合うから、そのままで着られる。やっぱりハイブランドと言われるものは形が勝負だから、意図した形のまま着られないのなら、あんまり買っても意味がないと思う。だから、サイズ感が合うブランドはよく買うことになるんです。

F:このレザーは使い込んでいくと、いい風合いになりそうですね。

渋谷:そうそう、ちょっと汚れてもいい感じ。少しくたっとしたり、エイジングが効きそうなものは買っちゃう。サテン素材とかは、何かに引っ掛けちゃったら終わりじゃない? 大事にしなくちゃいけない服とか人とかは好きじゃない。荒々しく使えるのが好きです(笑)。

HERMÈS キャップ

F:「エルメス(HERMÈS)」のキャップ、すごくシンプルですね。渋谷さんがキャップを被っているイメージはなかったです。

渋谷:帽子はときどき被るけど、キャップがあまりにも似合わなくて。ずっと「キャップを被りたいなー」と憧れていて。これはパリのエルメスで購入したんだけど、これならいけると思ったキャップなんです。黒地に「H」のロゴが小さく入っているだけのシンプルなデザインで内側はスカーフっぽい柄になってる。

F:被ったショットは撮らせてもらえないんですか?

渋谷:それはそのうち(笑)。

F:派手さはなく、質の高さが伝わってきます。大人のブランドならではですね。

渋谷:でも僕は年齢に抗ってるから(笑)、シャツもちょっと変わった素材のとか、あんまり“ぽく”ないものを買う。今日のシャツもキャップと同じ時に購入したものなんだけど、“いかにも”な感じがしないのがいい。

F:普段、どういう時に買い物していますか?

渋谷:一番多いのは、何か人前に出なくちゃいけない時。僕、スタイリストをつけないから、全部衣装は自分で買ってコンサートや撮影で着て、あとは普段着として着ている。日本で店舗に行って買い物することはほとんどなくて、仕事の合間にネットで海外のECサイトで買ったり。あとはパリに行った時とか、海外公演で少し時間が空いた時とか。

F:ちなみに先日のBMWのジャパン・プレミアで披露した「アンドロイド・オペラ®」で着用していたのは?

渋谷:あれは「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のジャケット。パリの本店にいる超優秀なスタッフにリクエストを伝えたら、前シーズンの在庫の中から見つけて出してくれて。向こうでは「こういうものが欲しい」って店員に伝えると「じゃあ見つかったら連絡する」って言って「ワッツアップ(WhatsApp)」で写真が送られてきたりする。そういうコミュニケーションはいいよね。

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