ターゲット ウエストウッドヴィレッジ店
■ターゲットが17日に発表した第1四半期(2月~4月期)決算では、既存店ベースの成長が6年ぶりに止まった。
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長期化する物価高に景気の不透明さで消費者購買がターゲットが主軸とするアパレル等から離れている。また組織的犯罪による盗難が店舗売上を妨げ、昨年以上に大きな問題になっているのだ。
店舗数が前年から20店以上にも増加したものの、売上高は前年同期から0.6%の増加にとどまり253.2億ドルだった。
純利益は前年同期の10.1億ドルから5.8%減となる9.5億ドルの減益となった。
粗利益率は前年同期の25.7%から0.6ポイント増加したものの、一般販売管理比率が前年同期の18.9%から0.9ポイント増加し、19.8%になったことで相殺した。
これにより営業利益率が前年同期の5.3%から5.2%となり、純利益を下げた形だ。
既存店・売上高前年同期比は横ばいとなった。これによりターゲットの既存店ベース、は前期の第4四半期まで23四半期連続で前年を上回っていたが、ついに成長が止まったことになる。
ターゲットの既存店ベースの内訳は客数が0.9%の増加だったが、客単価は0.9%の減少と相殺した。
既存店ベースのうち店舗によるものは0.7%の増加だったが、オンラインを介しては3.4%の減少となった。
ターゲットのネット販売でも店頭在庫から出荷されるオンライン売上は97.2%を占めた。
これには当日宅配サービスや店舗の専用駐車スペースで受け取るカーブサイド・ピックアップ・サービス「ドライブ・アップ(Drive Up)」、ネット注文品を店内のカウンターで受け取るボピスの「オーダー・ピックアップ(Order PickUp)」がある。
売上全体に占める店売上は82.5%(前年同期は81.8%)と売り場での買い物にシフトしていることが伺える。これによりオンライン売上は全体の17.5%(前年同期は18.2%)と前年同期から減少している。
ターゲットのプライベートブランドカードの「レッドカード(RedCard)」利用率が減少しており、クレジットカードやデビットカードのレッドカード普及率は19.0%だった。前年同期の20.3%から1ポイントも減少している。
ターゲットは国内に1,954店を展開しており、その内訳はスーパーセンター業態など4,760坪以上の大型店が274店(前年同期・前期から変わらず)、1,400坪~4,760坪未満の通常のディスカウントストア・フォーマットは1,530店(前期から3店舗増、前年同期からは11店舗の増加)となっている。
「フレキシブル・フォーマット(flexible format)」と呼ばれている1,400坪以下の小型店は前年同期から10店舗増やし150店舗となった(前期から3店舗の増加)。
ターゲットCEOのブライアン・コーネル氏は「将来を見据え、私たちは今年の収益性が前年に比べて5億ドル以上減少すると予想しています」とし「在庫の縮小には多くの潜在的な要因がありますが、盗難や組織犯罪がこの問題の重要な要因となっています」と述べている。
組織的な略奪がターゲットの店舗運営に大きな足かせとなっており、これらの防止策で大規模投資をおこなっているとしているのだ。
競合でチェーンストア最大手のウォルマートは盗難多発の影響で今年に入って20店舗も閉鎖している。
最大5,000坪もあるようなスーパーセンターを閉鎖しなければならないほど甚大な被害となっているのだ。
盗難・略奪が小売り大手にとって破壊的な状況を招いている。従業員の安全確保を目的に万引き犯を呼び止めることを禁じている。スタッフによる万引き防止が容易ではないのだ。
したがって、それまでオープンだった商品棚が強化ガラスに覆われ施錠されたショーケースに変えている。
市販薬の風邪薬を購入しようにもスタッフを呼び止め、ロックされたショーケースを開けてもらわなければならない。
こういった商品棚の施錠はスタッフに開けてもらうため手間や時間もかかり、15~25%の売り上げ減少を招くとの調査もある。
ターゲットが施錠されたショーケースなど盗難防止策に投資すれば逆に売上の低下のリスクもはらんでいるのだ。有効な打開策がないと2017年2月~4月期以来となる既存店マイナスになりそうだ。
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