業界イメージ刷新を目指す、「OKURA」店長のリユース業界っぽくない店作り
石川泰之/OKURA 新宿歌舞伎町 時計専門店/店長 2021年に株式会社OKURAに入社。OKURA新宿駅東口店に配属され、2022年4月より現職。お気に入りの時計は、ロレックスのオイスターパーペチュアルデイト。次に狙っている時計ブランドは、カルティエのタンク ルイカルティエとジャガー・ルクルトのレベルソ。
石川泰之/OKURA 新宿歌舞伎町 時計専門店/店長 2021年に株式会社OKURAに入社。OKURA新宿駅東口店に配属され、2022年4月より現職。お気に入りの時計は、ロレックスのオイスターパーペチュアルデイト。次に狙っている時計ブランドは、カルティエのタンク ルイカルティエとジャガー・ルクルトのレベルソ。
業界イメージ刷新を目指す、「OKURA」店長のリユース業界っぽくない店作り
石川泰之/OKURA 新宿歌舞伎町 時計専門店/店長 2021年に株式会社OKURAに入社。OKURA新宿駅東口店に配属され、2022年4月より現職。お気に入りの時計は、ロレックスのオイスターパーペチュアルデイト。次に狙っている時計ブランドは、カルティエのタンク ルイカルティエとジャガー・ルクルトのレベルソ。
年々、市場規模を拡大しているリユース業界にあって、なんとなく漂う怪しげなイメージを払拭せんとするのが、株式会社おお蔵ホールディングス。
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「価値あるものが、循環する社会をつくる。」を使命に掲げ、2004年に設立以来、ラグジュアリーブランドのバッグや時計などのリユース買取・販売を行っています。コロナ禍以降も大きく伸長し、社員の増員や海外事業部の本格的な発足など、「圧倒的な攻め」を意識した拡大を継続中。リユース業界のイメージを変えるべく、ファッション業界出身の方たちも迎え入れ、ノウハウやセンスも積極的に取り入れているのが同社の特徴です。
この記事では「OKURA 新宿歌舞伎町 時計専門店」で店長を務める石川泰之さんに、ファッション業界からリユース業界へ転職した理由、買取販売の魅力、今後のビジョンなどを聞きました。
「リユース業界の現状を変えたいと強く思った」と話す、石川さんの思いとは?
リユース業界の現状を変えたいと、強く思った。
ーーまずは、これまでのキャリアについて教えていただけますか?
大学卒業後に、小売業を営む会社に就職しました。当然、店舗の運営をする中で、小売というものを学ばせていただいたのですが、単価の低い商材を扱っていたこともあり、ある日突然、営業利益の少なさに愕然としてしまったんです。「1ヶ月頑張って、これか…」と。そこに面白さを感じられない自分がいることに気づきました。
その後は、もともと興味のあったファッション業界に関わろうと思い、ナポリのブランドネクタイをメインに展開する店舗に在籍しておりました。
ーーイタリアのブランドですね。単価が高そうです。
単価はだいたい2〜4万円でしょうか。
アパレルだとサイズ展開のある商材が多い中で、ネクタイはその概念がほぼないんです。その点、かねてから問題意識のあったロスや廃棄に関してもクリアしていると。
結果、店長も務めながら11年ほど働きましたね。
ーーそこからリユース業界へ。やはりロスや廃棄といった環境問題に関心があったからでしょうか。
それもあったのですが、コロナ禍でファッション業界が一時元気がなくなったということもあります。ただ、一番はもっと高額な商品や今までとはタイプが異なるお客様に会ってみたかったということですね。
ブランドビジネスって、世界観を売りにするので、良くも悪くも相手にするお客様や商品が限定的になってしまうんです。もちろん店長としてブランドを背負うという、ものすごく良い経験をさせてもらえました。ただ、自分にとってはより関われる対象を広げたかった。
その点、リユース業界は扱う商品の幅が広いですし、業界としての勢いもある。11年と長い間在籍していましたが、思わず転職を決めてしまいましたね。
ーーひとくちにリユース業界といっても会社は様々です。OKURAに入社した理由は何だったのですか?
リユース業界に転職すると決めてから、いろいろなリユースの店舗を回ってみました。そこで驚いたのが、素晴らしい物を扱っているのに、店舗としての体制が追いついてないということです。高額の商品が山積みにされていたり、お店によっては挨拶もない。そんな現状を変えたいと強く思ったんです。
そんなときにお店や接客を大事にする風土が感じられる、OKURAに出会いました。募集要項に「お客様に寄り添うだけでなく、サービスの半歩先を常に考えないといけない接客をしてみませんか?」とあり、そこに強く惹かれたんです。人事の後藤が作ったらしいのですが、自分と考え方が似ているなと思いましたね。
後藤をはじめ、OKURAには同業他社と異なる会社にしたいという強い意思を感じます。もともとOKURAは腕時計の卸専門の会社だったので、小売業に関してのノウハウがあまりなく、体制として整っていない点も多々あったようで。後藤はそこに対して、的確に問題点を指摘し、改善に努めてくれる人です。
「モノだけでなく、スタッフの人柄や接客の力でもお客様に貢献をしていく」とは、後藤の口癖です。どうしても商品が手放しで売れていく業界にあって、「人」を売上の主軸に据えた会社にしたいといつも言っています。人事という枠に収まらず、店舗の運営部分にも気をかけてくれていて、頼もしいなと思いますね。
そんな後藤に「一緒に会社を変えていきましょう」と誘われて入社したというわけです(笑)。
最終的なモノの価値は自分たち次第で決まる。
ーー現在の業務内容について教えてください。
時計を専門に扱う「OKURA新宿歌舞伎町 時計専門店」で店長職に就いています。具体的には、店舗のマネジメントや、現場での接客販売や買取査定などです。それに加えて、東京と大阪で月に1回の接客研修もしていますね。
ーー店舗での買取販売業務は、お客様からの買取はもちろんのこと、販売やVMD、EC出品など幅広いですが、どんなところに面白さを感じていますか?
定価がないところです。一般的に商品の売価は、AというブランドのBという商品があったとしたら、Bの売価はどこのお店でも基本的に同じじゃないですか。定価があります。でも、リユース業界には定価がないんです。仕入れ値などに変動があるので、最終的な売価を決めるのは自分たち。仕入れから値付け、販売まで一気通貫でできるのはこの仕事の面白いところだと思いますね。
ーー店舗スタッフの一人ひとりが商売人として自立しているのですね。
はい。そこがすごく魅力的ですし、刺激的です。今の時代は流行や消費の回転が速い時代なので、良い物を市場に循環させて、次の人に繋いでいく。そんなことを意識しながら仕事しています。]
特に、買取の際にお客様の物語を聴きながら買取をできたときはうれしいです。持ち込まれる商品は誰かが使っていた物なので、商品一つひとつには必ず物語がある。販売をする際には、次のお客様に物語含めバトンタッチするようにしています。
ーーこれまでの接客の中で印象的だったエピソードはありますか?
ある日、腕時計をお持ち込みされたお客様がいらっしゃいました。しかし市場で出回っている商品だったので、お客様のご希望額には寄り添う事が難しく、お客様も迷われていたんです。
でも、その時計のブランドは、修理に出してオーバーホール(機械製品を分解・清掃し、新品時の性能状態に戻す作業)をすると、中に入っているムーブメントという機械だけでなく、文字盤もセットで交換しなければいけない時計でした。なぜなら昔の腕時計にはトリチウムという今は使用されていない夜光塗料が使われているから。
本来、正規店では、トリチウムの文字盤はルミノバという新しいものに変えなければいけません。でもそうすると、文字盤で時計の雰囲気が変わってしまう。中やケースはすごく綺麗で、ヴィンテージっぽさが出ているのにも関わらずです。
ーーそのお客様がトリチウムによる時計の雰囲気を残すため、あえて正規でない修理店に持ち込んだのですね。
そうです。なので、「お気持ち、すごくわかります。この年代の商品だったら、この文字盤がいいですよね」というお話をしたら、「ここまでこの腕時計をわかってくれてたのは店員さんだけだから、ここに置いて行くよ」と言ってくださったんです。
ーーなんて素敵なエピソード。
お客様のご希望額にどうしてもお応えする事が難しかったのですが…、そう言っていただけてすごく嬉しかったですね。
そんな思い入れがあったので、少しだけ強気の値段を付けて店頭に置いたんです。その1週間後、その時計を気にされて見ているお客様がいらっしゃったので、「オーナーの方がこういう思いがあって、状態はバッチリで見た目はヴィンテージのように仕上がっていますよ」とお伝えしたら購入してくださいました。商品を通して人と人とを繋げることができたと実感できた、とても印象的な出来事でした。
ーーリユース業界の店舗で、そんな出来事が起こっているとは正直意外でした。
おそらくそのイメージをお持ちの方が大半だと思うんです。でも1人、2人でもこういった 仕事に共感してくれる人が増えればいいなと思っています。
そうなってくると、人事の後藤も言っていたように、やっぱり「人」でしかないんです。微力ながら業界のイメージを変えていけるよう尽力していきたいですね。
ーーそのために取り組んでいることはありますか?
まずはスタッフの第一印象となる、スーツの着方ですね。OKURAに就職する前、リユース業界をリサーチしていた際に店舗の雰囲気や接客以外で気になっていたのが、服装面なんです。スーツの着方をブラッシュアップする余地がまだまだあるなと。
そのために現在は、店長職ですが自店だけでなく大阪の店舗に行って研修にあたっています。ネクタイの締め方だったり、シャツやスーツの選び方だったり、靴下の色合わせだったり。まずはベーシックから教えこんでいます。ベーシックを知らないとアレンジもできませんから。
インパクトとして小さいかもしれませんが、そうした目に見えづらい部分からリユース業界のイメージを変えていきたいですね。
お客様サービスに興味のある方とリユース業界を変えていきたい
ーー新卒採用を積極的に行っているとのことですが、新卒入社で働かれている方に共通することはありますか?
成長業界であるリユースという仕組みやビジネスに対して興味を持っている方が多い印象ですね。たぶん、若い方たちはリユースに対する抵抗感や胡散臭いイメージが僕たちの世代に比べてないんです。店舗でもいち商売人として売買するということを楽しんでいますね。
ーー中でも活躍している人の特徴は?
印象的な新卒社員が、一人います。その方は高価格帯のリユース業界に強く興味をもっているからこそ、いろいろなブランドや商品を触ってみたいという方なんです。入社して1ヶ月で全社の個人売上ランキングに名をあげるくらい売上も取っていて。
経験などはさほど関係なく、接客や商品に対してどれぐらい好きでいられるかが数字に直結するんだなと思いましたね。
ーー「好きこそ物の上手なれ」とはまさにこのことですね。みなさんは買取査定をどのように学んでいくのですか?
毎月、バイヤースタッフが買取に関する研修を行っています。基本的な知識や買取のフロー、真贋鑑定などのプログラムが受けられるので、ある程度の知識は積んでいけます。
あとは、いきなり買取査定をやることは絶対になく、まずはフォローから入り、一通り見てもらってからという流れです。真贋の難しい商品に関しては、本社の専門の方と写真などでやり取りをしてフォローできる体制も整っています。
ーー現場の人材を重んじるOKURAで、接客面で気にして教えていることはありますか?
好印象であろうとするのではなく、悪い印象を抱かれないようにするということですね。人間って悪い印象の方が結構記憶に残りやすいので、良い印象はその後からだと思うんです。また、接客のスタイルにも正解はないので、それぞれのキャラクターで挑んでいってほしいと。こういう場合はこうしてくださいといった決まり切った接客は教えません。
ーー最後に、ファッション業界に興味のある学生にリユース業界の面白さを伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
洋服やアクセサリーが好きな方でしたら、いろいろな物に触れたいと思う方もいらっしゃると思います。そういったことを日常的に体験できるのは、他の業界にはない面白いところです。
現状、リユース業界はイメージで損してしまっている部分があるので、物に対して人一倍愛情があり、お客様サービスに興味のある方と変えていきたい。少しでも興味をもってもらえた方は、是非OKURAの門戸を叩いてください。
取材・文/溝口駿介
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