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「売上5兆円までの道筋はほぼ見えた」ファストリ、収益の柱多様化で過去最高業績を更新 3兆円目前

ファストリ、収益の柱多様化で過去最高業績を更新 3兆円目前

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 ファーストリテイリングが2023年8月期通期(2022年9月〜2023年8月)の決算説明会を実施し、海外ユニクロ事業が売上収益の連結業績に占める割合が初めて5割を超えたと発表した。北米、欧州、東南アジアのユニクロ事業が継続的に顧客層が拡大し成長ステージに入ったことに加え、コロナ禍からの回復が遅れていたグレーターチャイナも下期から業績が急回復するなど全地域で大幅な増収増益を達成。国内ユニクロ事業のほか、海外ユニクロ事業やジーユー事業など、収益の柱の多様化が進んだことで連結業績も過去最高となった。

 中国のほか台湾、香港を含むグレーターチャイナでは、2022年9〜11月に新型コロナウイルスの影響を受け売れ行きが低迷したものの、下期には同ウイルスの収束や高い気温が続いたことにより業績が回復。売上収益で前年同期比115.2%となる6202億円、営業利益で同125%となる1043億円と、過去最高の着地となった。北米では、戦略的に売り込む商品を明確にし、SNSなどの情報発信を強化したことでヒートテックインナー、ダウンアウター、ブラトップなどのコア商品が大きく伸長。欧州では、これまで好調だったカシミヤやメリノウールといった天然素材の商品だけなく、ヒートテックやエアリズムなどの機能性商品が動いたことが増収増益に寄与した。

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 国内のユニクロ事業は、7月に発表した2023年8月期第3四半期時点での業績予想を上回り、売上収益で前年同期比107.5%となる8904億円、営業利益で同127.9%となる1178億円で着地。期を通して比較的単価の高いアウターやボトムスの販売が好調だったことに加え、一部商品で値上げを行ったことで客単価は同111.1%と伸長した。2024年8月期には、接客を通した新規アプリ会員の獲得強化や店頭と連動したデジタルでの情報発信など、店舗とECが一体となった購買体験の構築を推進するとしている。

 ジーユー事業はほぼ第3四半期当初の業績予想通りに着地し、大幅な増収増益を記録。品番数を絞り込んだほか、マストレンド商品の数量を戦略的に確保したことが奏功し、期を通して好調に推移した。

 赤字体質に陥っていたグローバルブランド事業では、「セオリー(Theory)」と「プラステ(PLST)」の増益に支えられ、事業利益が黒字化。一方で営業利益は「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNERS)」事業の不採算店舗閉店による減損損失および事業再編に伴う費用を計上したため30億円の赤字となった。

 連結業績で「年間売上3兆円規模」を目標に掲げるファーストリテイリングだが、2023年8月期は売上収益2兆7665億円を計上。2024年8月期通期の業績予想では前年同期比110.2%の3兆500億円を見込んでおり、数年以内に売上規模5兆円、ゆくゆくは10兆円の売上規模を目指す。決算説明会に登壇したファーストリテイリング グループの柳井正代表取締役会長兼社長は「世界の主要都市にグローバル旗艦店を出店する現在の戦略を推進していくことで、売上規模5兆円までの道筋はほぼ見えている。あとはこれを2倍にするだけなので、売上規模10兆円というのは途方もない数字とは考えていない」とコメント。現在全世界で店舗数を増やしているが、「店舗がいくつでもやることは一緒。本当に良い商品を作り続けていけば目標は達成できるだろう」と自信を覗かせた。

 決算会見には、9月に就任したユニクロの塚越大介代表取締役社長兼COOも出席。「グローバルワン・全員経営」を掲げ、ファーストリテイリングのヴィジョンに共感できる次世代の経営者候補を世界中で発掘し、育成していく考えを示した。柳井氏は同社において代表取締役会長兼社長から代表取締役会長兼CEOに肩書きを変えたが、「今後もグループ全体の意思決定を担う」と力強く宣言。「私もまだまだ頑張りますので『会長』ではなく、『社長』と呼んでください。よろしくお願いします」とはにかみながら話した。

■ファーストリテイリング 2023年8月期通期累計連結実績
売上高:2兆7665億5700万円(前年同期比20.2%増)
営業利益:3810億9000万円(同28.2%増)

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