2024年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウィーク(Paris Fashion Week)が9月25~10月3日(現地時間)に開催され、67ブランドがフィジカルなショーを発表した。サウナハット風ハットをモードに昇華した「ザ・ロウ(THE ROW)」をはじめ、「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」「リック・オウエンス(Rick Owens)」「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」など、パリコレ前半で注目を集めた新作発表を振り返る。
テクニカル素材を取り入れた「ザ・ロウ」の極上ミニマル
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アシュリー・オルセン(Ashley Olsen)とメアリー=ケイト・オルセン(Mary-Kate Olsen)の姉妹が手掛ける「ザ・ロウ(THE ROW)」は、ミニマルかつシックなコレクションを発表。ブラックやオフホワイトといったモノクロームを基調に、ヴィヴィッドなブルー、レッド、イエロー、オレンジなどをアクセントにプラス。「ウェルネス」を意識したタオルやスリッパ、サウナハット風の帽子が取り入れられ、ウィットを感じさせるスタイリングに。軽量のテクニカル素材が随所に用いられ、トランスペアレントのパッカブルレインコートの中に刺繍ドレスを着用するなど、手仕事との掛け合わせも見られた。
ブランドのコードのひとつであるトレンチコートを多様な素材で展開したほか、オーバーサイズのTシャツが登場。"ラグジュアリーなTシャツを作る"というデザイナーのプロジェクトからスタートしたザ・ロウならではの、ニューシルエットに仕上がった。人気のバッグ「マルゴー」のクラッチタイプも登場。
会場ではショー終了後、来場者に新鮮な果物や野菜、チョコレートなどを配布。サービスを提供するギャルソンたちもタイムレスなデザインのTシャツに身を包み、ブランドの世界観を表現していた。
「アクネ ストゥディオズ」は"女性らしいドレスコード"に着目
パリ天文台で開催された「アクネ ストゥディオズ」のショー。会場には、解体された巨大なディスコボールが設置されていた。今回のインスピレーション源となったのは建設現場といったインダストリアルなムードと、カテリーナ・ジェブ(Katerina Jebb)の作品「Physical Evidence of a Woman(女性の物的証拠)」だ。カテリーナは、伝統的に女性の必需品とされてきたストッキングやハイヒール、付けまつ毛などを調査し記録しているイギリス人アーティスト。今回はそんな「女性らしいドレスコード」を探求し、コレクションの随所に取り入れた。
シルエットはいずれも彫刻的で、スカートはまるでローウエストで浮いているように見える。モデルたちが歩くたびにふわふわと浮遊するドレスはどこか非現実的だ。また、ブランドが得意とするデニムは、白いペンキとひびの入った粘土のような加工で覆われて登場。ディンプル型のボーリングバッグやディスコボールのようなスタッズバッグなど、アクセサリー類もアート作品のような独特のムードを放っていた。
まだ愛を信じていると表明した「リック・オウエンス」
「リック・オウエンス(Rick Owens)」のショーではピンクやイエローのスモークが炊かれ、大量の花びらが天に舞い上がる演出の中、ダイアナ・ロス(Diana Ross)の「I STILL BELIEVE IN LOVE(私はまだ愛を信じている)」という歌声がリフレインされた。モデルたちは黒いコンタクトレンズを着用しており、ゴシックなムードを湛えている。
「今月初めにビョーク(björk)のコンサートに行き、彼女の知的で人生を肯定するエネルギーに、自分のモヤモヤした思春期の悲観主義が恥ずかしくなった」というリックは今回、厳格なエレガンスを通して喜びへの希望を表現。ルックはダークなブラックやグレーから、優しいピンクや歓喜に満ちたレッドへと変化していった。
細長いシルエットのレザードレスやバイカージャケット、肩を強調したディテールなどリックらしいアイテムは健在。昨シーズン登場したプラットフォームブーツはサンダルとなって登場し、レザーのクッションが足首を包むようなデザインにアレンジされた。 シルクのガザールを使ったボリュームたっぷりのガウンやジャンプスーツは風をはらみ、まるでパラシュートのように大きく膨らんで観客を圧倒した。
ノンシャランな欲望を呼び起こす「イザベル マラン」
「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は、アール・ヌーヴォーの曲線と輝きからインスピレーションを得たコレクションを発表。パレ・ロワイヤルを会場に、カズ・マキノ(Kazu Makino)とパーチェ兄弟(Simone & Amedeo Pace)によるロック・トリオ「ブロンド・レッドヘッド(Blonde Redhead)」のサウンドが響き渡った。チュールのトップスやドレスにあしらわれた刺しゅうやレースが、軽やかなルックを作り上げる。また、デニムルックには金色の糸で星座模様を施し、神秘的なムードを盛り上げた。
ボディラインを強調するシルエットが、ワイルドで煌びやかなイヴニングルックを構成。足元にはウェッジソールのクロッグサンダルを合わせ、イザベルらしいアクセントをプラスした。ショー終盤にはメンズ・ウィメンズともにメタリック素材のルックが登場し、ひときわ強い輝きをアピールした。
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