クロエ 2024年春夏コレクションのフィナーレ
Image by: © Chloé
3年にわたり「クロエ(Chloé)」を率いたクリエイティブ・ディレクターのガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)のラストショーとなった2024年春夏コレクション。「気候変動問題の解決策」を探求するファッション・アンソロジーを締めくくる今回のテーマは「環境擁護の一形態としての個人の行動力」。一人一人が地球と自然環境のために立ち上がれば、集団としてポジティブな変化をもたらす強い力となる。そんなガブリエラのヴィジョンが反映されたショーとなった。
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ギリシャ語で「クロエ」を直訳すると「若い緑の芽」という意味になるという。今回ガブリエラが着目したのは、重要な酸素供給装置でもあり、生命そのものの輝きを表現する草花のモチーフだ。花々の繊細で曲線的なシルエットを取り入れ、柔らかなドレープを描く花びらスリーブや、雄しべを思わせる何千ものビーズで飾られたタートルネックドレスなどが登場。革製の花をあしらったサマーサンダルや、フラワーモチーフのジュエリーなどもアクセントに加えられた。
また、彼女が得意とするウィングシルエットのブラックドレスも登場。翼を持つギリシャ神話の女神ニケをイメージし、風合いのあるリネンをカットしたデザインに。ドレスの肩部分にはゴールドメタルで作られた花びらが覗く。同じデザインを踏襲した姉妹ルックも、エレガントかつ強烈なインパクトを放った。
バッグには、創業者ギャビー・アギョン(Gaby Aghion)と孫娘ミカエラ・アギョン(Mikhaela Aghion)へのオマージュが込められた。ボックスレザーのクラッチは、ミカエラのお気に入りだったというクロエのバッグを再解釈したもの。ほかに、園芸のテーマを反映した新作のカルメラ(Carmela)バッグも登場。隆起したシルエットと金属製のスタッズが、サボテンの弾力性と頑丈さを思わせるデザインとなっている。
ショーの最後には、リオデジャネイロのサンバスクール「マンゲイラ(Mangueira)」のメンバーがクロエの特注デザインを身に着け、サンバを披露。マンゲイラは、女性が参加できるスペースを提供した初のサンバスクールであり、「女性の前進」というクロエの目的を体現する存在だという。このパフォーマンスは、ウルグアイで育ったガブリエラが体験したリオのカーニバルを再現するものでもあり、また、今回のコレクションのインスピレーション源となったルピ・カウル(Rupi Kaur)の詩「太陽と彼女の花」の一節を思わせるものでもあった。
「肺に息がある限り、私たちは踊り続けなければならない(for as long as there is breath in our lungs – we must keep dancing.)」
陽気なサウンドとフェスティバルのような雰囲気。それはまさに地球環境をより良い方向へシフトする、女性たちのポジティブなパワーに満ちていた。フィナーレでのガブリエラの弾けるような笑顔からは、クロエでの使命をまっとうした達成感が感じられた。
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