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King Gnuのヴィジュアルなど制作、ペリメトロン所属の荒居誠が初の個展開催

 King Gnuやミレニアムパレード(millennium parade)などのヴィジュアルを手掛けるクリエイティブレーベル「ペリメトロン(PERIMETRON)」に所属するアーティスト 荒居誠が、初の個展「SUPER PRIVATE ― 事実無言―」を開催する。会場は神楽坂のオルタナティブスペース「Space√K」で、会期は7月4日から28日まで。荒居が「ごく私的な出来事(スーパープライベート)をさらけ出すことで、むしろ自分が外に開かれていった」と振り返る、全10点の新作を披露する。

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 荒居は1989年生まれ。高校時代に油絵を学び、大学ではインダストリアルデザインを専攻した。2018年からペリメトロンに所属。King Gnuやミレニアムパレードのアートワーク、空間デザインなどを手掛け、直近では「THE MILLENNIUM PARADE」(2022)や、「SPECIALZ」(2023)、「AIZO」(2026)といった楽曲のヴィジュアルデザインを担当した。2021年に俳優の森田剛、宮沢りえ、映像作家のOSRINと共にクリエイティブコレクティブ「MOSS STUDIO」を発足。アートワーク、アパレル、ジュエリー、飲食までインディペンデントに活動の幅を広げている。

 同展は、荒居が「かつて自身の心身が大きく揺らいだ時期の体験とそこに刻まれた記憶、感覚」を具現化する試みとして企画。同氏がこれまで発表してきたクライアントワークでは、生と死、祝祭と破滅、美しさと恐ろしさ、秩序と崩壊といった相反する要素が同時に存在した。今回は自身初の個展らしく、荒居自身が内包する矛盾する感情や記憶が“純粋に同居する状態”を落とし込んだ作品を展示する。展覧会のテーマ「事実無言」には、「自分自身が実際に経験、記憶したことでも、言葉で説明しようとすると“意味の隙間”からこぼれ落ちるものがある。言葉で語り得ないなら、無言と同じなのかもしれない」という思いを込めた。

 会場展示は、「事実無言」をかたどったネオン作品でスタート。続く9点の油絵では、自身が経験した一場面(シーン)を描いており、荒居の記憶や感覚の断片を、映画のシーンのように辿る構成となっている。プロローグに相当する油絵作品「Scene 0 観念奔逸(善・欲求・恐怖)」は、他者と自分の“些細な選択の不一致”によって、敵と味方に分かれてしまうと強迫観念のように信じていた感覚を描写。この作品を起点に、荒居の物語(≠経験)は、敵が相対した時に荒居が何を感じ、そして事実とどのようなギャップを孕んでいたのかという切り口で語られていく。

 例えば、「Scene 3 表裏一体(信念・覚悟)」は、警察が自宅を訪問した際、玄関へと向かうエレベーター前で荒居と当時の彼女(真衣・現在は妻)が抱き合っている様子を描いた。荒居の記憶では、彼女を安心させるために「大丈夫」と言い聞かせていたつもりが、実際は危険な状態にあった荒居を保護するために彼女自身が警察を呼んでいたというギャップがあり、そうしたすれ違いを、スクラッチやぼかしによって表現した。

 会場最後の油絵「Scene 8 疎外空間(静寂)」は、経過観察のために準隔離室で過ごした記憶に着想を得て制作。明るい黄色の壁紙に鮮やかなブルーの扉、光が差し込む様子は希望を感じさせるが、荒居は当時を「窓は開閉不可で、実際には目の前の光の下には行けず、風にも当たれない。生殺しのような息苦しさに狂いそうになった」と振り返っており、朗らかな作風が、むしろ絶望的な感情を浮き彫りにしている。

 ある種“黒歴史”のような出来事を、オートフィクションのように表現した同展は、荒居にとっては決してネガティブなものではないという。「『あの時、確かに自分にはこんな感情・感覚があった』と捉え直すのは、自分にとってポジティブなこと。緊迫した場面で『なんだこれ、おもろいな』と思ってしまうとか、憤りと愛おしさを同時に感じたりとか。そういう複雑な人間味を振り返ることができた」と語る。

 一連の油絵作品の後に展示したエディション作品には、そうした荒居の飄々としたキャラクターも落とし込まれている。油絵のデータを写真の「ネガフィルム」のように反転させた作品では、一人称の視点とメタ認知的な他視点が表裏一体であることを映し出したという。「今回の物語が、自分にとってネガ(ティブ)なものも、視点を変えればポジ(ティブ)になるという反転性を表現した。そこにフィルムの“ネガ”も掛かっていて、面白いかなって(笑)」と説明した。

 荒居にとって同展は作家としての新たな一歩であるとし、今後も制作を続けていく考えだ。「個展に向けて、いろいろなギャラリーに行ってみて、貫いてる人はやっぱりカッコいいなと。自分も、一過性のトレンドに影響を受けないブレないものづくりを見つけて、続けていくのが理想」と意気込んだ。

最終更新日:

■荒居誠 個展「SUPER PRIVATE―事実無言―」
会期:2026年7月4日(土)〜7月28日(火)
休廊日:日曜日・月曜日
会場:東京都新宿区南町6 Space√K(√K Contemporary地下1階)
時間:13:00〜19:00
入場料:無料

■トークイベント
登壇者:荒居誠(作家)× OSRIN(映像作家)× 高橋洋介(キュレーター)
日程:7月4日(土)15:00〜16:30(予定)

登壇者:荒居誠(作家)× 野崎萌香(モデル、タレント、俳優)× 高橋洋介(キュレーター)
日程:7月10日(金)17:00〜18:30

荒居誠:インスタグラム

平原麻菜実

Manami Hirahara

FASHIONSNAP 編集記者

埼玉県出身。横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程卒業後、レコオーランドに入社。国内若手ブランド、国内メーカー、百貨店などの担当を経て、2020年にビューティチームの立ち上げに携わる。ポッドキャストやシューティング、海外コスメレビュー、フレグランス、トップ取材など幅広い観点でファッションとビューティの親和性を探る企画を進行。2025年9月より再びファッションチームに所属。映画、お笑い、ドラマ、K-POP......エンタメ中毒で万年寝不足気味。ラジオはANN派。

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