ファッションを取り巻く人の趣味を深掘りする連載「ファッションに関わる人の偏愛白書」。第2回となる今回ご登場いただくのはお笑い界きっての服好きとして知られる、お笑いトリオ 四千頭身の都築拓紀さん。蒐集する洋服コレクションの中でも最大の点数を誇るブランド「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」について語ります。デザイナー マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)を「人生の師匠」として崇める都築さんの偏愛と、自慢のマルジェラコレクションとは?
目次
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マルタン・マルジェラは「人生の師匠」、都築拓紀が語るブランドの魅力
ジャーマントレーナーを購入してどハマり、マルジェラとの出会い
「マルジェラについて語る」なんていうと何十年来かのマルジェラフリークかのように思われるかもしれないんですが、ブランドのアイテムをガッツリ蒐集し始めたのは割と最近で、3年前くらいからなんです。だから「ファンを代表して」とか言うつもりは毛頭なく、あくまでマルジェラが好きな都築拓紀という人間のいち意見として聞いてもらえると嬉しいです。
美容師をしているマルジェラ好きの友人の影響でジャーマントレーナーを買ってからブランドの魅力にハマって蒐集を始めました。自分で集めるようになるまでは、経済的に余裕のある人や格好つけたい大学生が背伸びして買っているような、「古着を中心に着る自分とは縁がないキラキラしたブランド」といったイメージだったんですが、実際にアイテムを手に取ってみるとデザイナー マルタン・マルジェラの古着へのリスペクトと情熱が伝わってきて親近感と感動を覚えましたね。そこから主に彼が手掛けたマルジェラのアイテムの蒐集を始めて、現在までに30点ほどを買い揃えました。大体1月あたり1点くらいのペースで買っている計算ですね。「マルタンがデザイナーを退いてからのアイテムは買わない!」みたいな突っ張り方はしていないつもりなんですが、自分が着たい服やワードローブとの相性を考えた時に、どうしても2000年代以前のアイテムに偏ってしまう傾向はあります。
「『好き』を追求する無邪気な少年」都築拓紀がマルジェラに惹かれるワケ
僕はマルジェラの中でも特に「アーティザナル(Artisanal)」が好きなのですが、僕が感じるアーティザナルのアイテムの魅力は、トレンドや他ブランドの服を全く気にせずに自分のクリエイションを突き詰めているところにあります。例えば、同時期に活躍した「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」の1996年春夏コレクションで言えば「花と少年」をテーマに、グラフィックやシルエットなどを通して「服をデザイン」しているのですが、アーティザナルコレクションの場合は言ってみれば古着屋。誤解を恐れず言えば古着を買い付けてリメイクして売っているだけなんです。通常のコレクションブランドの服を美術作品に例えるなら、アーティザナルの服は図工作品のようなイメージですね。テレビ番組の収録でスベって何ヶ月も引き摺ってしまうこともある自分から見ると、どこまでも我が道を征くマルタンのスタンスにはある種の憧れというか「スゴ味」を感じざるを得ません。もちろんこういった好きなことを追求する「無邪気な少年」のような姿勢は他のラインにも共通していて、だからこそ自分はマルジェラというブランドに惹かれるんだろうなと思います。そういう意味では、マルタン・マルジェラは僕にとって「人生の師匠」のような存在ですね。今日は僕のマルジェラのコレクションの中から、特に気に入っているアイテムをいくつか紹介させてください。
歴代唯一のエイジング加工「2002年秋冬コレクション ハの字ライダース」
最初に紹介するのは、マルジェラの定番アイテムの一つ、通称「ハの字ライダース」。1999年秋冬シーズンから現在に至るまで毎シーズン継続して展開されているアイコニックなアウターですね。正面のジップの形が「ハ」の字のように見えることに由来している呼び名は、服好きなら誰もが知っていますよね。
購入したのは2〜3年前くらいの蒐集初期なんですが、「マルジェラを集めるならライダースは外せないな」といういわゆる「ミーハー心」で買いました(笑)。でも、ライダースを買うとなったらきっと一生モノになると思ったので適当に決めることはできないなと。そこで、インターネットや詳しい友人などから情報を集めて、一番デザインが好みだった2002年のモデルを買いました。歴代ハの字ライダースで唯一予めエイジング加工が施されているモデルなんですが、探した時に丁度フリマサイトでマイサイズが見つかったのは本当にラッキーでした。当時30万円くらいで購入した記憶がありますが、初期のマルジェラのアイテムはどんどん相場が高くなっているので、今購入しようとしたら50万円くらいはするかもしれません。
Image by: FASHIONSNAP
サイズは50。僕の体型からすると50サイズは大きめにはなるのですが、アウターなので中にパーカーやスウェットなどを着込むことを考えるとこれくらいのサイズがベストです。ヴィンテージはサイズアウトして着られなくなったアイテムが出回ることが多いので、大きいサイズが出回るのは珍しい。そういった意味でもこのライダースとの出会いには運命的なものを感じますね。
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通気性の欠片もない肉厚ボディ。「絶対に風を通さない」という意志を感じますね。一応脇部分には申し訳程度に穴が空いていて空気が通るようになっています。
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購入した時から革もそれなりに馴染んでいて、即戦力としてワードローブに加わってくれたのも有り難かったですね。もちろんライダースの革を自分の手で育てていく楽しみ方もあると思いますが、僕は割とすぐ着たいタイプなので。普段から古着を頻繁に買うこともあり、使用感については全く抵抗がなかったです。とはいえ、もちろん古着しか買わない訳ではなくて、最近は国内のデザイナーズブランドにも手を出しています。今個人的にアツいのは「エムエーエスユー(MASU)」ですね。2024年春夏コレクションの展示会も自分でアポイントを取って、全部で10型以上購入しました。・・・すみません、話が脱線してしまいました(笑)。
マルジェラの定番「アーティザナルコレクション 2000年代 ペンキデニム」
次は、2000年代アーティザナルコレクションの通称「ペンキデニム」。2年前くらいにフリマサイトで買いました。僕はヴィンテージ品を買うときフリマサイトやオークションサイトを利用することが多いのですが、オークションサイトよりもフリマサイトの方が数は充実している一方で、骨董品的なアイテムはヤフオクに落ちていることが多い印象です。
ペンキデニムは、先ほど紹介したライダース同様マルジェラの定番アイテムの一つなので、やっぱり確実に押さえておきたくて。ペンキの色はホワイトのほかにブラックやシルバーなどもありますが、僕は自分のスタイルとの兼ね合いもあり絶対ホワイトにすると決めていました。新しいペンキデニムはもっと満遍なくペンキが塗られていてデニムの質感も硬い感じ。2次流通市場に出回っているものも比較的新しいものが多かったんですが、わざと少しくたっとした状態のものを選んで購入しました。デニムの硬さやペンキの剥がれ具合などを考えると、ある程度使い込まれたものの方が個人的には都合が良いんです。購入価格も8万円程と、状態が良い物に比べて格安で入手できました。
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そのほか、気に入っているポイントとしてはサイズ感ですね。ペンキデニムは古着のデニムの上にペインティング加工を施しているのですが、それぞれ古着のデニムをベースに作っているのでサイズ感にバラつきがあるんです。もちろんS〜Lの括りはありますが、「なんとなくSかな!」みたいな感じで適当に決められているようです(笑)。シルエットも細身でテーパードがかったようなものが多いんですが、このパンツはしっかり太さもあって形はドストレート。ペンキの重さでストンと落ちる生地の質感も、野暮ったさを感じられて好きです。
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ペンキデニムはパンツだけでなくジャケットもあるので、ゆくゆくはデニムジャケットを購入したいですね。今26歳なので、もう少し大人になってからでも良いかなと思っています。
原点にして頂点「アーティザナルコレクション ドッキングTシャツ」
いくつものTシャツを解体してドッキングした、アーティザナルコレクションのアイテム。時々お世話になっている古着屋「エレメンツ(ÉLÉMENTS)」で15万円ほどで購入しました。こういったドッキングのTシャツ自体は今探せばたくさんあると思いますが、やはりアーティザナルのTシャツは原点にして頂点で。
よく見かける量産型のTシャツと比べて舌を巻くポイントが、ドッキングのプリント部分。もし僕がドッキングTシャツを作る立場だったら、なるべく全部のプリントがしっかり見えるようなバランスで調整してしまうと思うんですよ。例えば、この青い部分。もっと見せたいと思ってしまうような部分をほんの少しだけチラッと見せて堪える「我慢」が、なんともいえない「奥ゆかしさ、上品さ」を感じさせてくれます。ドッキングというポイントで遊び心を出しているから、それ以外の主張は抑えるといった絶妙なバランス感覚がなんとも粋ですよね。
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実は、このTシャツとは別に、同じ形でネイビーベースのものも所持していたんですよ。同じくエレメンツで購入したアイテムで、右袖と左袖がそれぞれシングルステッチとダブルステッチだったりで気に入っていたんですが、気付いたらどこかにいってしまったんです。洗濯時に色々なものをまとめて洗うので、もしかしたら干している時に風に煽られて飛ばされてしまったのかもしれません。前にも一度「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」のTシャツが飛ばされて1階に落ちていたことがあったので...。ロストしたことに気付いてから少し時間が経っているので若干諦めている部分もありますが、見つかることを願っています。
希少性の高いグリーンカラー「アーティザナルコレクション クローバーTシャツ」
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通称「クローバーTシャツ」と呼ばれるアーティザナルコレクションのアイテム。古着Tシャツのフロント部分を四角く裁断し、別のTシャツをドッキングした上にクローバー型のサテン生地を縫い付けて製作しており、非常に手が込んだ造りとなっています。
「クローバーTシャツ」のボディには様々な古着のTシャツが使われますが、僕が愛用しているこちらはフランス製のTシャツをベースにしています。身幅と袖口がタイトで、襟ぐりは広く設計してあるのがフランス製Tシャツの1番の特徴ですね。着用してみると、身体のラインは綺麗に出て襟ぐりは適度にルーズ。このバランスが好きで、このほかにも日頃からフランス製Tシャツを愛用しています。
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このTシャツも先ほどのドッキングTシャツと同じく古着屋「エレメンツ」で15万円ほどで購入しました。「クローバーTシャツ」は全部で3着持っていますが、これ以外は全て黒。これまでのコレクションを見てもほとんどの「クローバーTシャツ」はブラック系のTシャツをベースにしていて、グリーンはほとんど見たことがありません。希少性という観点でも価値を感じるアイテムですね。
世界で1番カッコいい!「アーティザナルコレクション 落書きジャーマントレーナー」
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次に、個人的に世界で一番の出来だと思っている「落書きジャーマントレーナー」を紹介します。僕が初めて手にしたマルジェラのアイテムで、10万円くらいで購入しました。マルジェラが定番として展開しているジャーマントレーナーではなく、ノーブランドのジャーマントレーナーを買い付けて、落書きをして販売したアイテムですね。日焼けで紫っぽくなっているところをみると、ボールペンで落書きしているような気がします。
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もちろん全ての落書きをマルタンが描いている訳ではないと思いますが、僕は自分のジャーマントレーナーに関してはマルタン本人の直筆だと思い込んでいます。理由としては、汽車だったりハートだったり女の子だったり、描かれているイラストの量が他に出回っているモデルと比べて段違いに多いんですよ。絵のタッチも統一されているので、おそらく複数人で回して描いた感じでもないと思う。個人的には、イラスト系の落書きを配したモデルに関してはマルタン本人が手掛けていて、文字の落書きだけのモデルはデザインチームで手分けしているのではないかと考察しています。これまでネットや古着屋などで色々なジャーマントレーナーを見てきましたが、僕の「落書きジャーマン」が一番カッコいいですね。これについては自信があります。
ジャケットとパンツにセパレート可能「10ラインコレクション 2000年代 ツナギ」
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このツナギは古着を再構築したアーティザナルコレクションではなく、マルタン自身がデザインを手掛けたメンズ向けのいわゆる「10ラインコレクション」のアイテム。ご存じの方も多いかと思いますが、マルジェラのアイテムはカレンダータグの丸がついている番号によって、どのラインなのかを判別することができます。このツナギは「10」に丸がついているので10ラインコレクションのアイテムですね。ちなみに、アーティザナルコレクションはウィメンズで「0」、メンズで「0」「10」に丸が付けられています。
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2〜3年前の蒐集初期に、日頃からお世話になっている神戸の「楽園」という古着屋で購入しました。お店には黒とこのベージュの2色があったんですが、黒の方はサイズがややタイトだったこともありベージュをチョイス。こういったワーク系のアイテムはピッタリとしたシルエットで着用すると作業員そのものになってしまうこともありますから。
気に入っているポイントは、ジップでジャケットとパンツにセパレートして着用できるところです。特にパンツのどストレートなシルエットがものすごくカッコよくて、単体でもよく着用しています。生地が軽くて柔らかいので履いていてストレスがない上、作業着風なので汚れを気にせず使えるのも嬉しいです。野暮ったいシルエットやワークテイストの生地感など、随所に古着へのリスペクトを感じられるアイテムですね。
レッグウォーマーを着用したような佇まい「アーティザナルコレクション コーデュロイパンツ」
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次はアーティザナルコレクションのドッキングコーデュロイパンツ。古着のコーデュロイパンツを組み合わせて、膝と裾部分で切り替えているアイテムです。フリマサイトで6万円ほどで購入しました。年代的には2000年代初頭のもので、前に紹介した「ペンキデニム」と同じくらいなんですが、相場的にはこちらの方が随分お手頃ですね。
ベースには畝が細いコーデュロイパンツを採用。同じく膝の切り替え部分も細畝なんですが、裾部分だけ畝が太いコーデュロイを使用しています。裾で突然畝が太くなっているので、着用してみるとレッグウォーマーを履いているようにも見えて、なんだかセクシーなんですよね。膝の切り替え位置を左右で微妙に変えているところにもマルタンのこだわりを感じます。
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先ほど紹介したツナギやペンキデニムなんかもそうですが、ど直球なストレートシルエットのパンツがすごく好きで。もちろん昨今よく見かけるワイドテーパードなども履くんですが、太すぎもせず、細すぎもしないストレートシルエットのパンツって探すとなかなかないんですよね。でもマルジェラのアーカイヴを探すとちょうど良い塩梅のものを見つけることができるので、痒いところに手が届くというか、流石気が利くなあと思っています。
着て伝えることに意味がある「10ラインコレクション エイズT」
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当時、エイズが大きな問題になっていた社会に対してのメッセージを込めた通称「エイズT」。フリマサイトで1万円前後で購入しました。シンプルに着やすいのと、マルジェラの中では比較的手頃な価格帯ということもあり、色違いで7着くらい持っています。
記載してあるメッセージは「THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T-SHIRT BUT IT’S A GOOD START」。直訳すると「エイズと闘うためにすべき活動はもっとあるが、Tシャツを着ることは良い始まりだ」という感じです。マルタン曰く、パッと見たときにはエイズについてのメッセージだと分からないので、他人から「なんて書いてあるの?」と聞かれて初めて意味を持つんだとか。1994年秋冬コレクションからカラーなどを変えて継続的に毎シーズン展開しているアイテムですが、初期のものはフランス製やイタリア製が多いので、僕はその辺りで作られたエイズTを意地になって蒐集しています。カラーバリエーションも多いので、コレクター心をくすぐるシリーズでもありますね。
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僕が特に気に入っているのはこのブラック。茶色のようにも見えるかもしれないですけど、日焼けで黒が色落ちしてこの色合いになっています。二次流通市場で購入した時からこの状態だったんですが、前の人が着込んだ感がビシビシ伝わってきて魅力的なんですよね。着て伝えることに意味があるTシャツだからこそ、これまで多くの人にメッセージを伝えてきたという「歴史」に、ある種の美学を感じます。
唯一無二の存在感「10ラインコレクション レザーベルト」
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最後はあまり語るところがないんですが、シンプルに気に入っているレザーベルトを紹介します。初期の「10ラインコレクション」のアイテムですが、フリマサイトに3万円くらいで転がっていたのを運よく見つけて即購入しました。大きなバックルと太いベルトが絶妙に無骨な印象で、ただただカッコいいんですよね。インスタとかYouTubeでも「そのベルトどこのですか?」みたいに質問を受けることが多いです。
シンプルで合わせやすいのに唯一無二の存在感があるベルトなので日頃からヘビロテしているんですが、マルジェラのアイテムとの相性はやはり抜群に良いですね。エイズTにペンキデニムを合わせて、ベルトして、ジャーマントレーナー履いて、全身マルジェラスタイルで外出すると「自分、ファッションを楽しんでるな」といった高揚感を覚えます。
ファンが繋いだ、マルタン・マルジェラの「夢」
蒐集を始めてから今まで、マルジェラのアイテムをたくさん買ってきて、自分の中でまず押さえておきたい「定番」はあらかた集められたと思っているので、今後はもう少しニッチなところというか、自分がまだ手を広げられていないマルジェラのジャンルに挑戦したいと思っています。具体的には、まだカレンダータグが登場していない時期、「白タグ」を使用していた1995年前後のワイドパンツが欲しいですね。たまに市場に出回っているのを見つけても60万円以上だったりとかなり高価なので、買うときは気合いを入れないといけないかもしれません(笑)。
それはさておき、マルタンがデザインを手掛けたアーカイヴの価値が高騰するのは想像しやすいですが、アーティザナルコレクションのアイテムまでここまで高くなっているのは凄いですよね。僕が15万円で購入した「クローバーTシャツ」にしても、元はただの古着ですから。でも、マルタンはその古着に価値を見出して、コレクションとして世の中に送り出した。それらが20年の年月を経て、ここまで高価なものになっているというのは、ある意味ファンがマルタンの「夢」を現実にしたようなものだと思っています。もちろんマルタンの真意は僕には分かりませんが、いちファンとしてマルジェラの歴史を作ってきた全ての人たちに「ありがとう」と言いたい気持ちです。今後も僕の蒐集は続いていきますが、ブランドへのリスペクトを忘れずに、マルタンの「夢」を未来に引き継ぐ一助になれたら嬉しいですね。
(聞き手:村田太一)
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