ステファン・マンとタロウ・レイ
IMAGE by: FASHIONSNAP
ブランド立ち上げ3年目にして世界の有力セレクトショップで取り扱われている「アフィックス ワークス(AFFIX WORKS)」(以下、AFFIX)。そのメンバー構成はユニークだ。スタイリストでコンサルタントのステファン・マン(Stephen Mann)、セントラル・セント・マーチンズ在学時から注目を浴び、卒業後ストリートシーンに一気に名を広めたキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)、キコと共に「マッキントッシュ 0001(MACKINTOSH 0001)」でヘッドデザイナーを務めるタロウ・レイ(Taro Ray)、そして、過去にキム・ジョーンズ(Kim Jones)も所属していたブランド「ギミー・ファイブ(Gimme Five)」の創設者でイギリスのストリートシーンの重鎮マイケル・コッペルマン(Michael Kopelman)の4人が関わっている。なぜこの4人が出会い、そしてブランドを始めることになったのか。来日したステファンとタロウに聞く。
AFFIX WORKSとは?
ロンドンを拠点にステファン・マン、キコ・コスタディノフ、タロウ・レイ、マイケル・コッペルマンの4人が立ち上げたクリエイティブグループ。元々はインターネットラジオ局「NO WAVE」の1プログラムから始まり、アパレルラインをスタートさせる。ワークウェアからインスピレーションを得たジャケットやTシャツ、パーカ、スウェットなどベーシックアイテムを基盤にしたアイテムを展開。リフレクターやビッグポケットなどインダストリアルで実用的な要素をウェアに落とし込んでいる。「ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)」、パリの「ザ・ブロークン・アーム(The Broken Arm)」、日本の「グレイト(GR8)」「エリミネイター(ELIMINATOR)」「吾亦紅」などで取り扱いがある。
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―AFFIXの結成のきっかけは?
ステファン:キコは僕のアシスタントとして働いていて、タロウとキコはセントマで一緒に学んでいたんだ。マイケルと僕は10年以上の付き合いがあって、自然と4人が繋がったってわけさ。もともとは個々で活動していたんだけど、お互いのアイデアを持ち寄って何かできないかというところから、3年ほど前にAFFIXが始動したんだ。
―4人でどのようにコミュニケーションを取っているのですか?
タロウ:僕たちはロンドンを拠点にしていて、同じ建物内で作業しているから毎日会う仲だよ。以前はワンフロアでみんな一緒だったけど、今は2フロアに分かれて仕事をしている。
―それぞれの役割は?
ステファン:とても流動的なんだ。皆が異なったバッググラウンドを持っているからね。キコとタロウはデザイン専攻だから、服のデザインは2人が担当している。僕はスタイリングやクリエイティブが中心。アイデアを汲み取って取りまとめて編集すること、いわゆるキュレーティングのような仕事の割り振りなどは僕の担当だよ。
―AFFIXのロゴの下には「New Utility」というフレーズが4ヶ国語で表記されていますね。
ステファン:これは、僕ら4人のバックボーンに関わる国の言語なんだ。キコの出身であるブルガリア語、マイケルはドイツ系だからドイツ語、タロウは日本の血を引いているから日本語、そして僕はイギリス人だから英語。傍から見たらAFFIXはミステリアスなブランドかもしれないから、この4つの言語で表記されたワードが僕らを紐解くちょっとしたヒントになればと。
―日本語訳は「新しい活用性」です。この意味は?
タロウ:AFFIXの服は作業着やユニフォームなどインダストリアルのワークウェアがベースにあるんだけど、決まった用途のために作られた服を"そうじゃない"シーンで着ることで、新しい着方や予想外の使い方が生まれる。文脈に応じて別の目的で使用できるという側面性をアイテムに持たせるために、このワードを使っているんだ。日本人の知り合い何人かに聞いてこの言葉にしたんだけど、変じゃないかな?(笑)
ステファン: 「AFFIX」という言葉も既存の物事に新しい変化を与えることを意味するから、僕らがブランドを通して提示したいことが、ブランド名と「New Utility」というワードに集約されているんだ。
―今回は「アシックス」との協業モデルの発売で来日しました。これまで2シーズンにわたり展開していますね。
ステファン:アシックスはプロからも支持されるハイパフォーマンスのランニングシューズを作ることで知られている。元々ランニング仕様で作られたシューズに、タウンユースという別の用途を持たせることは、僕らがAFFIXでやっていることにも共通していて、今回はそれに加えてゴアテックスを初めて採用したから、「雨の日」というシーンでの新しい使用目的がプラスされているんだ。
タロウ:僕たちと同じ属性を持つブランドより、スポーツ、特にパフォーマンスに特化しているブランドとコラボすることが面白いと思ったし、僕たちらしいと感じるね。
―日本での今後の展望は?
ステファン:AFFIXとして日本にくるのは2回目。初めての時はまだブランドを立ち上げて間も無いタイミングだったけど、当時から多くの人が興味を示してくれたことに驚いたし、とても嬉しかった。ドーバー ストリートマーケットやGR8など良いパートナーに恵まれたのもラッキーだったね。今後もさらにパートナーシップを強めていけたらと思う。
タロウ:個人的な思い入れを含めてブランドにとって日本は相互的なコネクションがあるし、何よりブランドを理解してくれるファンが多いと感じている。ブランドはまだ若くて新しいからコレクションを継続していくことでどんどん進化していけたら。これまでコラボレーションはあまりしてこなかったけど、面白い取り組みがあればこれからもやってみたいね。
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