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5年で売り上げ倍増へ チャンピオンやリーボックを擁するABGが描く日本市場攻略

山田耕史

山田耕史

 オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)は、ファッションやスポーツ、エンターテインメント、キャラクターなどのブランド管理を手がける企業だ。2010年に米国で創業した同社は、「チャンピオン(Champion)」や「リーボック(Reebok)」、「ブルックス ブラザーズ(Brooks Brothers)」などのブランドや、マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)やデビッド・ベッカム(David Beckham)、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)といった著名人の商標権や知的財産(IP)を保有。各国・地域で現地市場に詳しいパートナー企業と組み、ブランド運営の実務を委託し、その対価としてロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを展開している。現在50超のブランドを抱え、全世界における売り上げは380億ドル(約6兆859億円)、SNSでの総フォロワー数は9億8000万人を誇る。

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 今回ABGは、日本での新たなパートナーシップ構築を見越し「日本市場戦略発表会」を開催した。登壇した同社のウェスリー・チュウ(Wesley Chu)APAC(アジア太平洋)プレジデントに、日本におけるブランド拡大戦略やキャラクターIPの可能性、Z世代攻略の鍵などを聞いた。

チャンピオンやリーボックの成長に期待

 チュウプレジデントによると、保有する50超のブランドのうち日本では27を展開し、日本市場の売り上げは約8億ドル(約1280億円)。2023年時点での日本での売上高は当時の為替換算で約700億円だったという報道があり、3年で1.8倍の成長を遂げている計算になる。同氏は日本での本格的な事業展開はまだ初期段階であることに加え、為替などの問題もあると前置きしたうえで、今後の売り上げ目標として「5年以内に現在の倍の売り上げを達成できる」と語った。

プレゼンテーション画面

ABGが保有するライフスタイルカテゴリーのブランド(発表会の投影資料から)

 今後日本で特に成長が期待できるブランドとしては、リーボックやチャンピオン、「エディー バウアー(Eddie Bauer)」といったブランドを列挙。それら既存ブランドの成長に加え、新規で獲得したブランドも成長に寄与すると見込む。2026年には老舗デニムブランド「リー(Lee)」と、カナダ発のライフスタイルブランドでラッパーのドレイク(Drake)が立ち上げた「オクトーバーズ ベリー オウン(OCTOBERS VERY OWN)、以下OVO」を傘下に収める。

データマーケ企業と共に描くチャンピオンの成長戦略

 同社のグローバル売り上げの7割を占めるのが、ファッション・ライフスタイル分野だ。主力ブランドの1つであるチャンピオンは、2026年6月に日本のパートナー体制を刷新。これまで日本市場でABGと強いパートナーシップを築いてきた伊藤忠商事と、データマーケティング企業であるイングリウッドがタッグを組んだChampion Japanが運営を担うようになった。イングリウッドに関してチュウプレジデントは「徹底した消費者視点でデータ収集・分析することに長けた企業で、Z世代の消費者も深く理解している」と評価。「今はコンテンツが購買を動かす(Content drives commerce)時代。さまざまなプラットフォームを通じて、Z世代をはじめとした多様な消費者にコンテンツを届け、いかに次世代のビジネスを生み出すかが、われわれの成長の鍵。イングリウッドはその役割を果たしてくれる」と語った。

展示会

 チャンピオンはスポーツウェアブランドとして始動したが、現在の日本においてはアメカジファッションや古着・ヴィンテージのイメージが強い。チュウプレジデントは、この日本でのブランドイメージを「変えるつもりはない」と明言。「チャンピオンは非常に豊かな歴史を持つスポーツブランドで、日本の消費者はそれを適切に理解しているとともに、ファッション的な魅力も感じている。ブランドの歴史から逸脱するのではなく、そのストーリーテリングを力強く増幅させていくことが、これからの成長戦略だ」と、展望を語った。拡販に向けて外部ブランドとのコラボレーションも強化する考え。

コンテンツを最速で消費するZ世代への向き合い方

 ABGのグローバル売り上げの3割を占めるのがエンターテイメント領域だ。日本ではエンターテイメント領域についてはまだあまり知られていないが、サッカーやバスケットボールの元有力選手、デヴィッド・ベッカム(David Beckham)やシャキール・オニール(Shaquille O'Neal)もABGには個人株主として名を連ねるとともに、ABGが彼らのIPを管理。また、ABGは映像作品を制作するスタジオも持ち、バズ・ラーマン(Baz Luhrmann)監督による「エルヴィス(ELVIS)」などの制作も手掛けている。

プレゼンテーション画面

ABGがIPを保有する著名人(発表会の投影資料から)

 エンターテイメント領域は日本でも今後注力するといい、特に強化するのがキャラクターIP部門だ。2026年には同社初のキャラクターIPとして「ケアベア(Care Bears)」を取得、日本市場で大きな成長の余地があると期待する。

キャラクター

Image by: ABG

 キャラクターIP戦略において欠かせないのが、Z世代やその下のアルファ世代に対するアプローチだ。チュウプレジデントは「私にもZ世代の子どもがいるが、彼らは心変わりが早く、マーケティングが非常に難しい。ただ、Content drives commerceの考えのもと、多くのコンテンツを展開していくことに非常に向いているのがケアベアのようなキャラクターIPだ。既にケアベアでサンリオとのコラボレーションを行ったが、チャンピオンや『ハンター(HUNTER)』などわれわれの傘下ブランドとのコラボも考えられる。消費のスピードが早いZ世代に対しては、常に新しいコンテンツを提供することが有効だろう。さらに、キャラクターIPは、Z世代だけでなく幅広い世代にリーチできる側面もある」と語った。

人物

ウェスリー・チュウ オーセンティック・ブランズ・グループ APAC プレジデント

最終更新日:

文・山田耕史

Koji Yamada

FASHIONSNAP 編集記者

1980年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部、エスモードインターナショナルパリ校卒。ファッション企画会社、ファッション系ITベンチャーを経て、主夫業と並行してフリーランスとして活動した後、FASHIONSNAPに参加。ファッションを歴史、文化、経済などの多角的な視点から分析し、知的好奇心を刺激する記事を執筆することが目標。

1ドル=160.16円

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