Image by: Hiroyuki Ozawa(FASHIONSNAP)
2024・25年秋冬シーズンのミラノ・ファッションウィークで話題を集めた「アヴァヴァヴ(AVAVAV)」。ベアテ・カールソン(Beate Karlsson)がクリエイティブディレクターを務め、毎シーズン前代未聞なショーで来場したプレスや観客だけでなく、SNSなどを通じて多くの人々を驚かせています。今シーズンはバナナの皮や紙クズといったごみやジュースなどが、観客席からランウェーを歩くモデルに次々と浴びせられるといった演出。これは「愛とヘイト」をテーマに、インターネット上の誹謗中傷に対する風刺を表現したというもので、ルックは中世の魔女狩りへの言及として、その時代をイメージする十字架のようなネクタイやテーラードスーツがスタイリングされていました。この“奇抜”なコレクションをメイクアップ「M·A·C(メイクアップ アート コスメティックス)」とヘア「ウェラ プロフェッショナル(WELLA PROFESSIONALS)」がサポート。ショー直前のバックステージで、それぞれのリードアーティスト、Michele Magnani氏とValentino Fai氏にメイクアップとヘアのポイントについて聞きました。
「M·A·C」はメイクアップでSNSの影響をどう表現した?
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ーAVAVAは今回もとてもユニークなコレクションでしたが、Magnani氏はどう思いましたか?
Michele Magnani:Beateはソーシャルメディア(SNS)の影響について意識を向けさせたかったんだと思います。SNSでは度々、人々は間違ったことすることもあります。例えば、われわれの美への認識を変えてしまうようなコメントがあったりしますよね。それらのコメントは自分のパーソナリティに怒りを覚えさせるようなものかもしれません。そんなSNSの弊害について一石を投じるコレクションだったのではないでしょうか。
ー問題提起をするコレクションをメイクアップではどうリンクさせましたか?
顔に傷やアザを作って、コレクションが問題定義する、言葉を含めSNSで誹謗中傷を受けた時の悲しみなどをリンクさせました。例えば、鼻の近くや目の周りにアザを、またマスカラが落ちたときに黒い涙や汗が流れたような表現や、目から血がにじみ出ているようなことでも表しました。
ー具体的にはどうやってメイクを施したのでしょうか?
目元にはパレット「PRO PALETTE PAINTSTICK X 12」をメインに作り上げました。これはとても特別なアイテムで、ボディペインティングにも使えるのですが、今回はアザを再現するために、写真の下段の左から3番目のブルー、薄紫、紫と、上段の赤、そして黄色を使用しました。目の周りは「マキシマル シルキー マット リップスティック」の「フラミンゴ」も活用したんです。
ーリップを目周りに使用したのですね。
そうですね。「リップ ペンシル」も使いましたね。血をイメージして目の下を赤のペンシルで血が滲んだように、また黒のペンシルで“涙”を描きました。
ーでは口元はどうですか?
(誹謗中傷の表現で)大きな唇を演出するためにリップ ペンシルのグレーブラウンなどを唇のコントゥアリングとしても使っています。もちろん、マキシマル シルキー マット リップスティックも。このリップは素晴らしいテクノロジーが加わり進化しましたから。口元は「カフェモカ」「ハニーラブ」を使ってます。そして最後はグロスを加えて唇のボリュームを強調したんです。
ー肌作りはどうでしょうか?
あまりコントゥアリングで表現するのではなく、まずはセラム「ハイパー リアル セラマイザー」で整え、「スタジオ ラディアンス セラム ファンデーション」でセカンドスキンのように軽く仕上げました。
このメイクアップを通して伝えたいのは、「意識してほしい」ということです。大事なのは、リアルの生活上だけでなく、SNSでも親切であってほしいということ。この世界中で起こっている状況にもっと注意を払うよう、多くの努力をすることが大事だと思っています。
ー2024年秋冬のメイクアップトレンドを教えてください。
「多くのショーでは肌質に焦点を当て、メイクしていないかのようなクリーンは肌を目指していたね。コントゥアリングは控えめで、チークも薄づきでナチュラル。一方でリップはリベンジの年になり、2年ぶりにマットリップが登場しています。M•A•Cからも、誕生以来初めてリニューアルするマキシマル シルキー マット リップスティックが発売になったけど、リップケア成分が配合されていて、マットにありがちな乾燥から守り、うるおいが続くアイテムです。目元はアイライナーをキーに、アイシャドウなどの使用は少なく新鮮に演出されています。マスカラもつけてますが、これまでのシーズンほどではないですね」。
「2024年秋冬シーズンは、女性だけでなくすべての性別の方が、もっとナチュラルでクリーン、エレガントなメイクアップで自分を表現できるような機会が増えていくのではないではないかな。今の人々は自己主張が強く、受け身ではないと思います。個人的に今回のファッションウィークはこれまでと少し異なり、環境だけでなく他の人に対するサステナアビリティに意識を向けていると感じたよ」。
「WELLA PROFESSIONALS」が表した3つのヘアスタイル
ーヘアについて、Beateからはどんなオーダーがあったのでしょうか?
Valentino Fai:Beateからは3つの異なるイメージのヘアスタイルを再現して欲しいと。1つは自然でありながら無造作なハイパーウェイビーな世界観で、トップは艶やかでボリュームを出さないように仕上げました。2つ目はフードで髪を部分的に覆っているにも関わらず無造作な質感を持ったスタイルに。3つ目は顔の輪郭や頭頂部にジェルをたくさん使用して作るヘアです。
ーコレクションコンセプトとどう結びついていますか?
ヘアスタイルからも愛とヘイトの二重解釈が見て取れると思います。「アイミィ(EIMI)」の「ジャストブリリアントクリーム」を使用したスーパーウエットなルックは、愛を表現するブランドのファンを象徴しています。トップにだけスタイリング剤を使用しミラーエフェクトを再現し、トップから下はナチュラルに仕上げました。一方ヘイトサイドは、無造作ウェーブで乱れたスタイルを表し、ヘイトのコンセプトを強調させました。
ー上記以外で使用したアイテムは?
アイミィの「パーフェクトセッティング」や、「セバスチャン・プロフェッショナル(Sebastian Professional)」の「テクスチャライザー」や「シャーパー ゼログラビティ」、「ダークオイル」などです。
ー2024年秋冬のヘアトレンドを教えてください。
「トレンドが多くのもの、人を巻き込むものである限り、もはや流行りのカットやカラーはひとつではなく、ファッションにおけるヘアスタイルでは、誰もが自由に持てるディテールや形、参考になるものがあります。それはさまざまなカットスタイルに現れていて、重めの前髪もあれば、シャギーカットで言えばウルフやマレットヘアは依然としてとてもトレンドですよね。とはいえ最近のコレクションショーでは軽いヘアスタイルが増えていて、このスタイルは持続すると思います。だからよりトレンドへの効果はあるかな」。
「もしコレクションのヘアスタイルを真似するとしたら、うねりはストレートアイロンで伸ばして、次にワイドな櫛で整えて、最後に頭頂部にジェルを大量に使ってボリュームをフラットにすればできると思います」。
◾️M•A•C:公式オンラインストア
◾️WELLA PROFESSIONALS:公式サイト
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