
FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ビューティ業界にはどんな職業があるのか。名前は聞いたことがあっても、実際にはどんな仕事をしているのか。そんな疑問を解消すべく立ち上がった連載企画。業界の最前線で活躍する人に、リアルな職務内容や必要なスキルをファイリング。ビューティ業界への理解を深めるとともに、将来この分野を志す人にとって、進路や就職活動を考える際の手がかりとなることも目指す。
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第9弾は、化粧品会社PR編。「コーセー(KOSÉ)」のPRとして、「ワンバイコーセー(ONE BY KOSÉ)」や「メイク キープ ミスト」などの商品PRを担当する平井祐未氏の協力を得て、この職業を魅力を探る。

◾️平井祐未 大学在学中は政治経済学部に在籍、卒業後2012年に入社。営業部門で3年間経験を積んだのち、人事異動で現職。現在は「ワンバイコーセー」をはじめ「コーセー」を冠するブランドのチームで商品PRを担当する。
目次
化粧品PRってどんな仕事?
ブランドの思いや商品の特徴を、正しく魅力的に社会へ伝える仕事。メディアやインフルエンサーと接する機会が多く、相手に合わせて商品の情報をわかりやすく伝えることが求められる。PRが一般消費者と直接関わる機会は少ないが、百貨店や直営店などで店頭に立つスタッフとも密にコミュニケーションを取り、伝える情報に相違がないよう確認するのも業務の一環。また、新商品の発表に合わせてリリースを制作する、発表会やイベントの運営、さらにメディア掲載情報の校正確認も行う。

メディアや関係者との信頼関係の構築を大切にしています。「この人が関わっているから信頼できる」と思ってもらえるような関係を築き、しっかり話を聞いてもらえる環境を作ることを意識しています。そのために発表会のプレゼンテーション内容の整理など、事前準備にも多くの時間を費やしていますね。

化粧品PRになるには?
特定の資格やスキルは不要。大学卒業後、新卒採用試験に合格し、入社後のジョブローテーションを経てPR部署に配属されるのが一般的。企業によって違いはあるが、入社すぐにPRに配属されることは少ない。

就活時の面接でキャリアプランを話す際、「いつかPRに携わりたい」という話をしました。入社後3年間は店舗営業として店頭スタッフのマネジメントや量販店との仕入れ交渉などを行っていました。当時は日中ほぼ車で外を駆けめぐっているような日々でしたね。その後、人事異動で今の部署に至りました。
性格や得意分野の観点から、PRに向いている人の特徴はありますか?

FASHIONSNAP

言語化する力があると、とても役に立ちます。商品リリース等で化粧品を説明する際には「薬機法」という法律に則り、ルールの中で効果や効能をアピールする必要があります。薬機法の内容は都度更新されるので、去年まで使えたワードが今年はNG、なんてこともよくありますね。
ルールの中で商品の魅力を言葉にするのはすごく難しそうですね。学生時代の経験で、役に立っていることはありますか?


言語化に関しては、もっと読書をしておけばよかったと、初めは思いましたね。それからPRは、社内の開発者や研究者と連携することもあれば、社外のメディアやインフルエンサーと関わることもあり、とにかく多くの人とコミュニケーションを取る仕事です。これについては学生時代のダンスサークル活動やアルバイトでの接客経験が役に立っている印象です。そして、新商品が毎月のように出るので、臨機応変に対応する力もあると良いですね。
化粧品PRのある日の1日スケジュール


勤務体制はフルフレックスで、お休みはカレンダー通りが基本です。リモートワークも可ですが、コミュニケーションが重要な業務が多いので、ほとんど出社しています。
やりがいは?

担当した商品がベストコスメなどを受賞したときには、大きな達成感を感じます。ブランドとしての思いが世の中に伝わり、評価されることはモチベーションにもつながる一方で、この盛り上がりが冷めないよう、新たな戦略を考えるという次のタスクも意識しています。
チーム体制は?

社内で展開するブランドごとにPRチームが分かれています。それぞれが4〜5人で編成され、PR全体では現状約20人が働いています。
チームによって担当するブランドや商品が異なるわけですね。


はい。ただ、全員に共通して、担当するブランドへの愛をすごく感じます。我が子のようにその商品と向き合っているので、説明させたら熱く語るスタッフが多いのではないでしょうか。単に商品内容だけでなく、商品がキレイに見える角度まで把握していますね。

想像していた"化粧品PR"と現実にギャップはあった?

雑誌などにも取り上げられる華やかに見える職種ですが、当たり前ですが華やかさはほんの一部。多くの時間を商品知識を覚えたり、書類を作成したりする時間に使っています。なので外に出る時間がすごく少ないですね。営業をしていたときに外出が多かったぶん、初めはギャップを感じました。
多くの人と関わりがあるといえど、その大半が社内でのやり取りやメールでの連絡だからですか?


そうですね。デスクで資料制作をする時間も多いですし、メディアとの連絡はメールが主です。ただ、地道な作業の積み重ねが大切ということは営業時代に心得ていたので、そのギャップをネガティブに捉えることはありませんでした。

新商品の発売にあたり、PRが稼働を始めるタイミングは?

基本は商品が完成してからです。開発者と情報のすり合わせをして、薬機法に基づきどのようにプロモーションしていくかを検討します。場合によっては、商品の開発段階から入り、PR目線で訴求の仕方などを提案し、商品開発に役立ててもらうこともあります。
プロモーションする先は、主に国内ですか?


国内ですね。海外は法律や販売ルールがまた異なるので、私たちが作ったリリースを海外チームにパスし、お任せしています。
繁忙期は?

新商品は毎月のように出ますので、1年の中で何月というような繁忙期はありません。ただ、大型のプロモーションを行う商品の発売時やイベント準備期間はバタバタしがちですね。
化粧品PRの収入はいくら?
収入は会社や経験年数や役職によって変動。厚生労働省による職業情報提供サイト「ジョブタグ(job tag)」によると、類似職種のPR・広報の平均月収は約23万円(※令和6年賃金構造基本統計調査を元に加工して作成)となっている。
「広報」との違いは?

PRは特定のブランドや商品をどう広めていくかを考える、商品マーケティングの要素を含みます。そのアプローチ先としては前にも述べたようなメディアやインフルエンサー。一方で広報は、会社全体の情報管理や周知がメインで、報道関係者からの取材対応などを行います。
今後の目標は?

会社やブランドとしても色々な目標がありますが、個人的には、1つでも多くのヒット商品を生み出すことが目標です。担当した商品がベストコスメを受賞したときのやりがいは何度経験しても嬉しいですし、商品の良さがしっかりお客さまに届いているという実感がPRのモチベーションにもつながります。仲間と協力しながらブランドの価値をより高めていきたいです。
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