ファッション・カウンシル・ジャーマニー(Fashion Council Germany/FCG)が主催するプロジェクト「Berlin Fashion X International」が、東京で初開催された。ベルリンをはじめドイツ国内を拠点とする新進ブランド9組が来日し、合同展示会を通じてコレクションを披露。日本のバイヤーやプレスとの交流も行われ、多様性に富んだ“ドイツファッションの現在地”に触れる貴重な機会となった。
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プロジェクトは、ベルリン州経済・エネルギー・公共事業局の支援を受け、ドイツブランドの海外展開を後押しする取り組みの一環として実施。参加ブランドは公募によって選ばれ、サステナブルな姿勢や独自性のあるデザインでビジネスを展開する9組が選抜された。
FCGのCEO スコット・リピンスキー氏(Scott W.J. Lipinski)は「ドイツデザイナーには海外のマーケットに挑戦したいという強い需要があり、日本や韓国は特にブランドの背景や世界観を深く理解してくれる市場だと思っています。私たちは教育・ネットワーキング・ビジネス開拓まで一貫して支援し、若手のデザイナーたちが次のステップに進むための橋渡しを行っています」とプロジェクトの背景を語る。
欧州ファッションサーキットに合わせ年2回開催されるベルリンファッションウィークは、コペンハーゲンファッションウィークと協業し、サステナブル基準を満たしたブランドのみが参加できる仕組みを採用。サステナブルファッションが次世代の共通言語となるなか、元「VOGUE Germany」編集長でプロジェクトを率いるクリスティン・アープ(Christiane Arp)氏は、「持続可能性への強い意識と、一つのスタイルに縛られない多様性こそが、ドイツブランドの大きな特徴」と語る。
アープ氏は、自身のキャリア初期に「ヨウジヤマモト(Youji Yamamoto)」など日本のデザイナーから強い影響を受けたという。東京を訪れる意義について、「文化背景や価値観、ブランドがどう受け止められるかを、“実感として”掴むことは非常に重要です。日本には、ファッションを自分の言語として対話する文化が根付いています。それはとても貴重で、多様性あるドイツブランドの価値を理解しようとするオープンなマインドを持ち合わせています。デザイナーにとって自身の世界観を伝え、適切なパートナーと出会う場として日本は最適なマーケットなのです」と強調する。
セントラル・セント・マーチンズを卒業し、「グッチ(GUCCI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」でも経験を積んだゲリット・ヤコブ(Gerrit Jacob)は2022年にブランドをスタート。エアブラシで大胆にペイントされたグラフィックアイテムは、ベルリンのストリートやクラブカルチャーを体現。日本ではファーストコレクションから「GR8」で取り扱いがあり、世界的なアーティストやK-POPアイドルをはじめ、YOASOBIやXGなどがカスタムメイドのアイテムを着用したことでも知られる。ファッションにとどまらず、ペインティングや映像作品など様々のプラットフォームで創作を行っている。
パノス・ゴッツィス(Panos Gotsis)は元内科の医者で、テキスタイルへの情熱からデザイナーへ転向、独学でファッションを学んだという異色の経歴の持ち主。自身のルーツでもあるギリシャ・エルピス地方で伝統的な手織り機により制作されたテキスタイルを、クリーンでタイムレスなパターンのアイテムに取り入れたコレクションを展開する。
2022年にマリオ・カイネ(Mario Keine)により設立された「マーケ(MARKE)」は、様々な時代背景を参照し、折衷主義的な視点でコンテンポラリーファッションへと昇華。上質なイタリア製の余剰生地と肌触りの良い機能的な素材を組み合わせたテーラード仕立てのアイテムをユニセックスで展開する。ベルリンファッションウィークでもコレクションを発表しており、ジャケットやパンツに配されたくるみボタンがアイコニックなディテール。
唯一のジュエリーブランドとして参加したキャロリン・ディーラー(Carolin Dieler)はファッションデザインを学んだのち、ジュエリーデザインに転向し、2020年にブランドを設立。ジュエリーは100%リサイクル素材を使用し、ベルリンの工房で一点ずつ手作業で作り上げられている。海と自然への深い情緒的なつながりをインスピレーションとし、ロストワックスで鋳造した魚やインダストリアルなモチーフといった有機的/無機的なものを掛け合わせたジュエリーを展開している。





「エスター・パーバント(Esther Perbandt)」はドイツ国内で“Queen of Black”として知られ、黒のみで構成する前衛的な世界観で国際的に支持を集める。
来年は楽天ファッション・ウィークの開催時期に合わせ、新たなブランド選定のもと再来日を予定。ベルリンファッションウィークへの日本メディアやバイヤー招致も積極的に行うと同時に、今後もカルチャー、クラフト、サステナビリティといった創造性の核を持つドイツブランドを継続的に紹介し、両市場を結ぶビジネスチャンスを広げていく。
最終更新日:
◾️「BERLIN SHOWROOM」参加ブランド
Anne Bernecker | Carolin Dieler | Esther Perbandt | Gerrit Jacob | LUEDER | MARKE | Panos Gotsis | SF1OG | Vladimir Karaleev
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