センターステージの様子
IMAGE by: FASHIONSNAP
9月4日から7日までの4日間、香港最大のファッションイベント「センターステージ(CENTRESTAGE)」が開催されました。今回は同イベント初となる全日程での一般客の受け入れを実施し、会場は連日大盛況。4日間でバイヤーが8500人超、一般来場客が1万5000人の計2万3500人が来場しました。そんなイベントの様子を現地レポート! 華々しいランウェイショーや参加ブランドの展示の様子を振り返ります。
■センターステージとは?
香港で毎年開催されるファッションイベント。ファッションブランドやデザイナーにバイヤーや関係者との商談やコレクション発表の場を提供しています。今年は、新たにサーキュラーファッションやアスレジャーファッションをテーマにしたゾーンを追加し、過去最多となる17の国と地域から250のブランドが集結しました。
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ロバート・ウンのランウェイショーで幕開け
センターステージでは毎年、開幕を飾るランウェイショー「CENTRESTAGE ELITES」を実施。昨年は「フェティコ(FETICO)」が参加し、初の海外でのショーを成功させましたが、今年は香港を故郷に持つオートクチュールデザイナーのロバート・ウン(Robert Wun)が、自身の名を冠したブランド「ロバート ウン(Robert Wun)」のホームコレクションを披露しました。
Image by 香港貿易発展局
舞台となったのは、香港の文化的ランドマークである香港故宮博物館。メディア関係者をはじめ、ファン・ビンビンなどのセレブリティも来場し、同氏初の故郷でのショーを見届けました。
出展者は過去最多、日本からの出展者も
今年は、過去最多となる250ブランドが合同展示会に出展。香港だけではなく、世界各国からバイヤーや関係者、また初の一般公開により学生なども多く訪れました。香港を拠点とするブランドでは、香港のヤングデザイナーズコンテストを受賞した経歴を持つ「ハリソン・ウォン(HARRISON WONG)」や、マカオを拠点にニットウェアやオーガンジー素材のドレスを展開する「NO.42」、マウンテン・ヤン(Mountain Yam)が手掛ける自立した都市生活者のためのウィメンズブランド「112 mountainyam」、おとぎ話をテーマにしたジュエリーを展開する「ラブ・バイ・ザ・ムーン(Love by the Moon)」などが新作を披露しました。
112 mountainyamの展示
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日本からは、ユニセックスブランド「リース(lees)」と、大阪の上田安子服飾専門学校が出展。リースは2021年にスタートしたブランドで、今回発表した2025年春夏コレクションをもって、ブランド名を変更。サッカー用語で「敗者復活」の意味を持つ「レペスカーゼン(REPESCAGEM)」に改め、心機一転、ブランド認知度の拡大を図ります。会場では、ポケットや袖にネットをあしらったアイコンアイテムを中心とした新作コレクションを展示しました。
レペスカーゼンの展示
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上田安子服飾専門学校からは、同校の3年生によるブランド「UCF」が参加。毎年2回、パリのプルミエールクラスにも出展している同ブランドは、群馬の桐生で生産された生地や、愛知の有松の伝統である鳴海絞りなど、日本の産地に限定したものづくりを行っています。日本の伝統と学生の若さあふれるクリエイションをかけ合わせたものづくりで、現地バイヤーの注目を集めました。
次世代のデザイナーを発掘する合同ショー
同イベント恒例となっている、香港発の次世代デザイナーによる合同ショー「ファッション 香港」には、「ANGUS TSUI」「röyksopp gakkai」「selfFab.」「ZIDI」の4ブランドが参加。香港出身の映画監督 スティーブ・チャン(Steve Chan)が各ブランドのコンセプトに合わせて制作したオリジナル映像作品「In the love of_」とともに、最新コレクションを披露しました。同4ブランドは期間中、会場ブースにも出展。デザイナー自ら在廊し、来場者とのコミュニケーションを楽しんでいる様子でした。
ZIDIのショーの様子
ロクサンダ・イリックがトークショーに登壇、デザイナーを志す若者にエール
2日目には、ロンドンを拠点としたブランド「ロクサンダ(Roksanda)」を手掛けるロクサンダ・イリック(Roksanda Ilincic)がヴォーグ 香港(VOUGE HongKong)とのコラボレーションによるトークイベントに登壇。
同氏の視点から見た香港のファッションカルチャーについて聞かれると、「香港の人々は新しいもの、フェミニンなものに対してとてもオープンで、常にファッションの最先端を行っていると思います。また、今は若いデザイナーがどんどん増えてきて、とても良い変化だと感じますね。ロバートのショーも素晴らしかったです。多くの工芸品や職人技は中国から受け継がれてきているという側面もあるので、この土地が長年培ってきたレガシーを現地に訪れて見直すことで、私にとっても大きなインスピレーション源になりますし、もっと世界中に伝えていくべきだと思います」とコメント。
今日、活躍する女性デザイナーに対してのメッセージを求められると、「忍耐強く、各々のストーリーを広げ続けること。何かをモノにするには一朝一夕ではないし、計算したレシピ通りに物事が運ぶこともありません。常に自分自身のスタイルを信じて辛抱強く時間をかけて発信し続けることを心がけてほしい」と話し、「近年はソーシャルメディアの影響で、人々の生活スピードが劇的に変化しました。コロナも経て、買い物の仕方も変わったり、スポーツウェアと思われていたものがレッドカーペットでみられるようになったりと、5年前には常識だったことがどんどん覆されています。だからこそ今、ファッションはすごく面白い岐路に立っていると思うし、ファッションは常に私たちを遠く、思いもよらないところに連れて行ってくれるものだと思うから、それを楽しんで」とエールを送りました。
会場にはロクサンダをはじめ、イギリス発のブランドが集結したブース「A Fashion-Forward UK」も登場。サステナビリティの観点から、アップサイクルアイテムを中心に展開する「パトリック マクドーウェル(PATRICK McDOWELL)」や、デニムブランド「E.L.V. デニム(E.L.V. DENIM)」が出展しました。同ブースには、インスタレーションとして、香港出身デザイナーのトビー・クリスピー(Toby Crispy)がアップサイクル素材で制作したユニオンジャックのドレスが展示されました。
トビー・クリスピーが手掛けたインスタレーション
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また、開幕前夜にショーを披露したロバート・ウンも、最終日にトークショーに登壇。ホームコレクションを振り返りながら、香港で過ごした幼少期のエピソードを中心に話を繰り広げました。「ロバート ウンのチームに入るには何が必要か」という学生からの質問に対しては、「スキルや学習意欲はもちろん不可欠だけど、最も重要なのはチームワーク」とし、「今、僕のチームにいるメンバーは皆、とても勇敢で、常に市場に出て学ぼうとしている。この業界では、自分のための努力を重ねながら、チームとして働くことを第一に考えると良いと思う。応援しているよ」と笑顔で回答。同氏のコレクションの一部は期間中、会場の入り口付近に展示。会場に訪れる人々の視線を集めました。
■センターステージ:公式サイト
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