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【成分連載】肌荒れ対策に注目の存在、「CICA」についてドクタージャルトの博士に聞いてみた

Image by: FASHIONSNAP

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 化粧品の成分を専門家が解説する好評の連載、第10回は「CICA(シカ)」を紐解きます。CICAの主な働きは「刺激を受けた肌を穏やかに整える」ことで、肌荒れや赤みに効果が期待できる成分です。韓国コスメに多いイメージがあるのは、韓国で国宝に指定されている韓方医学書「東医宝鑑(ドンウィポガム)」にも登場し、古くから韓国で活用されている成分ということからのようです。

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 今回は、CICA成分を多くの製品に取り入れている、「Dr.Jart+(ドクタージャルト)」プロダクト開発 シニアディレクターのソンヨン・キム博士に聞きました。

Dr.Jart+ プロダクト開発 シニアディレクター

ソンヨン・キム博士

理学博士。オーガニック化学博士。研究開発や処方設計、サイエンスストーリーテリングを専門に25年のキャリアを持つ専門家。数々のグローバル企業や新興ブランドにおいて、製品開発や戦略的ローンチに携わったのち、2021年にエスティ ローダー カンパニーズに参画。現在はドクタージャルトのプロダクト開発責任者として、科学的な効果と先進的なテクノロジーを重視した製品のローンチを主導している。

17世紀の医学書にも登場する薬草「ツボクサ」

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数年前からCICA成分が台頭してきましたが、そもそも何由来の成分なんですか?

CICAは「ツボクサ」(学術名 Centella asiatica<センテラ アジアチカ>)という、セリ科植物由来の成分です。別名「タイガーグラス」と呼ばれていますが、これは「傷を負ったトラが草の上を転がって傷を癒やした」という伝説に由来しています。

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キム氏

【ツボクサ】

ツボクサはアジアを中心に、熱帯・亜熱帯地域に広く分布する多年草。出典/ドクタージャルト

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「タイガーハーブ」とも呼ばれていますよね。人間にはどのように使われていたんですか?

古くから、アジア各国の伝統医学で用いられてきました。韓国で国宝に指定されている韓方医学書「東医宝鑑(ドンウィポガム)」にも、「積雪草(チョクソルチョ)」という名前で登場します。そこには肌トラブルに有効という記述があるんですよ。

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キム氏

【韓方医学書「東医宝艦」の写本】

許浚(ホ・ジュン)によって編纂された1613年刊行の「東医宝鑑」。中国や日本などに広く流通しており、写真は「内景篇」を日本で筆写した写本。出典/「東医宝鑑抜書 2巻(内景篇巻1・2)」一部 京都大学附属図書館所蔵

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昔から、薬草として使われていたんですね。

中国やインドの伝統医学では、強壮薬草としての記録があり、ハーブのヒーローといえる存在です。近年はその働きが科学的に研究されています。

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キム氏

CICAが敏感肌にいいとされる理由

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では、ツボクサ由来の「CICA」には、どんな働きがあるんでしょうか?

主な働きは「刺激を受けた肌を穏やかに整えること」です。敏感肌向けのスキンケアに用いられることが多いですね。

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キム氏

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どのような仕組みで敏感肌をケアしてくれるんですか?

肌が受けた紫外線などの外的な刺激は「情報伝達物質」を介して細胞に伝わります。すると、活性酸素や炎症が発生し、肌細胞にダメージを与えるんですね。こうした反応が続くと、肌の守りが弱まり、刺激に反応しやすい状態へ傾きやすくなります。CICA成分には、この情報伝達物質の働きを整える作用があるため、敏感肌の初期段階を防ぐ効果が期待できるんです。

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キム氏

CICA成分の働き】

CICA成分には、外部刺激を受けて発生する炎症を、初期段階から多面的にコントロールする働きがある。出典/ドクタージャルト

実際に過去の論文では、CICA成分が炎症に関係する各種情報伝達物質を減少させるという報告があります。

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キム氏

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ちなみに、他の敏感肌向けの成分とはどう違うのでしょう?

アラントインやセラミドなど、敏感肌向けの製品に配合される成分は、肌のバリア機能をサポートするものが多い印象です。一方CICA成分は、炎症の兆候を初期段階で防ぎ、過敏な肌の反応を落ちつかせてくれます。これらに加えてCICA成分には、抗酸化作用や抗菌作用なども確認されています。

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キム氏

マデカッソシドとCICAはどう違う?

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最近、CICAの仲間として「マデカッソシド」という成分をよく見かけます。CICAとはどう違うのでしょうか?

マデカッソシドは、ツボクサエキスから単離された、CICAに含まれる主要な成分の1つです。CICAは、「アシアチコシド」「アシアチン酸」「マデカシン酸」など、複数の成分から構成されているんです。

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キム氏

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CICA成分の中でもよく見かけるマデカッソシドが、一番効果を期待できるのでしょうか?

CICAに含まれる成分はそれぞれが複合的に働くので、一概にそうとはいえません。化粧品に配合する場合、目的とする機能に最適なバランスで処方されます。マデカッソシドが韓国において広く浸透した理由の1つは、「マデカソール」というお薬が関係しています。

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キム氏

CICA成分には、外部刺激を受けて発生する炎症を、初期段階から多面的にコントロールする働きがある。

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そのお薬、SNSで見たことあります! 確か、韓国の“オロナイン”と呼ばれているとか…?

そうですね。「マデカソール」は、アシアチコシドを有用成分とする傷薬ですが、これと名前の響きが似ていることに加え、創傷治癒のイメージがリンクすることから、韓国の生活者に「マデカッソシド」という成分が親しまれるようになったのです。

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キム氏

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マデカッソシド含め、CICAコスメというと「韓国」のイメージがありますよね。

韓国は前述のような文化的背景もあり、現在CICAコスメが数多く存在していますが、ツボクサ由来の成分自体は、20年以上前から化粧品に使われているんです。近年再びCICAが注目される理由は、「敏感肌への関心の高まり」があります。低刺激かつ効果的なスキンケアが求められる中で、世界各国でシカコスメのニーズが高まったのでしょう。

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キム氏

CICA成分には、色々な種類がある!?

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CICAは複数の成分を含むというお話しでしたが、それぞれ効果も違うんですか?

CICA成分に共通する主な働きは肌の鎮静ですが、「アシアチコシド」や「アシアチン酸」には、コラーゲンの生成をサポートする働きがあり、「マデカッソシド」にはメラニン生成を抑制する働きがあります。

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キム氏

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CICAは化粧品の配合成分としても、色々な種類があるんですか?

はい、ツボクサの産地や抽出法、精製プロセスによって、成分の組成はさまざまです。最も一般的なのは葉の部位から抽出した水溶性エキスで「タラドバンス(Taladvance)」などが知られています。濃縮・精製された粉末タイプでは「テカ(TECA)」が有名です。その他に、花や茎などから抽出することもあります。

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キム氏

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どんなCICA成分が入っているかは、外箱の全成分表示を見たら分かりますか?

分かるものもありますが、基本的には難しいでしょう。例えばドクタージャルトでは、複数のCICA成分をブレンドした「シカコンプレックス」を採用していますが、製品によっても配合率が変わりますし、肌への働きも多岐に渡ります。そのため、成分表記だけで製品の機能を判断するのは困難といえます。

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キム氏

CICAコスメの選び方。敏感肌以外にも効果は期待できる?

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成分表記では分からないとしたら、CICAコスメを選ぶ際に、何かヒントになることはありますか?

成分単体よりも「完成した製品」で、肌質に合うものを選ぶことが大切です。例えば、脂性肌の場合はベタつかないジェルクリームを選ぶ。敏感肌の場合は、敏感肌向けにテストをしているか確認する、などですね。

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キム氏

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一般的なスキンケア選びと同じですね。

そうですね。CICAコスメは朝晩どちらのスキンケアにも組み込めますから、朝は軽めのテクスチャー、夜はリッチなクリームを選ぶという使い分けもできます。

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キム氏

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ちなみに、敏感ではない「普通肌の人」が使っても効果はありますか?

もちろんです。私たちは、常に外的環境の刺激にさらされています。CICAは炎症を防ぎ、肌の恒常性を保ってくれますので、健康な肌を維持するために、ぜひお使い下さい。

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キム氏

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CICAコスメって、若い世代向けの印象があります。エイジングが気になる人が使っても意味はありますか?

CICAの主な働きは炎症を初期段階で防ぎ、外的ダメージからの回復を促すことなので、エイジング対策にも有効です。近年、肌内部の炎症はエイジングサインの引き金としても注目されていますので、ぜひ使って頂けたらと思います。

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キム氏

■成分連載

美容ライター

宇野ナミコ

Namiko Uno

日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、WEBなどで美容記事を執筆している。担当分野はスキンケア、メイク、ヘアケア、フレグランス、美容医療など幅広く、丹念な取材をもとにしたわかりやすい記事に定評がある。温泉や銭湯をこよなく愛する入浴Lover。

最終更新日:

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