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【成分連載】多種多様な働きで肌や髪をケア 「ペプチド」の働きにフォーカス

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【成分連載】多種多様な働きで肌や髪をケア 「ペプチド」の働きにフォーカス

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 注目の化粧品成分を、専門家の解説で深掘りする好評の連載、第8回のテーマは「ペプチド」です。そもそもペプチドって何? スキンケアからヘアケア、インナーケアまで幅広く活用される理由とは? 今回はロレアル リサーチ&イノベーションセンターのクリスチャン・トラン博士に聞きました。

ロレアル リサーチ&イノベーションセンター 基礎研究部門 原料開発室

クリスチャン・トラン博士

ジュネーブ大学とリヨン大学で薬学博士号を取得後、ジュネーブ大学医学部皮膚科研究員を経て、2008年に仏・ロレアルに入社。ペプチドをはじめとする生物活性物質の専門知識をもとに、数多くの国際科学誌への論文発表や特許出願実績を持つ。グローバルの臨床研究に貢献したのち、2017年に原料部門に異動。現在はグリーンサイエンスを用いた新規有効成分の開発に取り組んでいる。

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ペプチドって何? アミノ酸、タンパク質との違いとは?

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最近「ペプチド」ってよく見かける成分なので気になっています。いったいどんな成分ですか?

ペプチドは、2つ以上のアミノ酸が「ペプチド結合」によって鎖状につながった分子の総称です。結合するアミノ酸の数によって、呼び方が変わります。

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トラン氏

【アミノ酸の数によるペプチドの種類】

・2個=ジペプチド
・3個=トリペプチド
・数個からおよそ20個=オリゴペプチド
・約20個~50個以上=ポリペプチド
・約50個~100個以上=タンパク質

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アミノ酸がつながったものなんですね。タンパク質もアミノ酸がつながったものと聞きますが、ペプチドとの違いは何ですか?

アミノ酸が50~100個以上つながった、分子量の大きなものをタンパク質と呼ぶことが多いですね。ただし、明確な境界があるわけではなく、ポリペプチドとタンパク質の区別は曖昧なこともあります。

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トラン氏

ペプチドは人体でどのような働きをする?

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FASHIONSNAP

ペプチドって、もともと私たちのまわり…自然界にあるものなのでしょうか?

はい、広く存在します。植物がそのひとつですね。タンパク質が豊富な植物の部位、例えば種子(豆)の部分には多種多様なペプチドが存在することが分かっています。植物の成長や生命活動をサポートしているんですね。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

人の身体の中にも、ペプチドは存在しますか?

人体にも多種多様なペプチドが存在します。ホルモンや神経伝達物質として働いたり、細菌やウィルスなどから守る働きもあり、身体の恒常性維持に重要な役割を果たします。

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トラン氏

【人体における代表的なペプチドの働き】

・ホルモンとして働く
インスリンなどの「ペプチドホルモン」は、体の恒常性維持に重要な役割を果たします。
・神経伝達物質として働く
エンドルフィンなどの「神経ペプチド」は、脳や神経系における情報伝達に関与しています。私たちの思考、感情、行動、さらに身体の機能をコントロールする上で欠かせない存在です。
・抗菌作用を発揮する
カテリシジンなどの「抗菌ペプチド」は、細菌やウイルスなどから人体を守る働きを担います。

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すごい、身体にとって欠かせない機能ばかりですね。「肌」にも関係していそう…!?

その通りです、今お伝えした働きはいずれも「健やかな肌の維持」に深く関係しています。例えば「ホルモン」は皮脂分泌や肌の生まれ変わりに関係しますし、「抗菌作用」は肌を守る役割を果たします。私たちは肌における重要なペプチドの働きとして、特に下記の3タイプの作用に注目しています。

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トラン氏

【肌におけるペプチドの代表的な働き】

• キャリアペプチド
肌にミネラルを届け、コラーゲン、エラスチンや、その他のタンパク質の生成をサポート。肌のハリと厚みを維持します。
• インヒビターペプチド
コラーゲンが減少するプロセスを減速させたり、色素沈着を防いだりする効果が期待されます。
• シグナルペプチド
肌の多様な部位にメッセージを送り、再生を促します。

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FASHIONSNAP

どれも、健やかな肌のために、なくてはならない機能ですね。

ロレアルの研究では、シグナルペプチドの典型的な作用の1つとして、肌の再生を促すことが分かっています。また、キャリアペプチドと、インヒビターペプチドは、肌の構造を強化することで、外的ストレスへの耐性を高める働きが認められています。

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トラン氏

化粧品成分のペプチドは、2000種以上ある!?

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FASHIONSNAP

最近ペプチド配合のコスメが増えています。ペプチドの優れた点とは何ですか?

化粧品にペプチドを配合する利点の1つは、アミノ酸の配列を変えることで、さまざまな機能を持たせることができる点です。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

それは、例えば「シワ改善に効くペプチド」とか「シミに効くペプチド」とか、そういう意味でしょうか?

その通りです。シワの改善、ブライトニング、保湿、抗炎症など、現在さまざまな肌悩みをケアするペプチドが開発されており、それぞれに特化した作用で肌を健やかに保ちます。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

化粧品に配合されるペプチドって、どのくらい種類があるんですか?

正確な数は把握していませんが、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature of Ingredients=INCI)において、2000種類以上登録があるといわれています。

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トラン氏

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すごい数ですね!そんなにあるなんて驚きです。代表的なペプチドを教えて頂けますか?

「グルタチオン」は皆さん聞いたことがあるのではないでしょうか。体内で作られるトリペプチドの1つで、グルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸から構成されています。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

グルタチオン、知っています!白玉点滴に使われる成分ですよね。

グルタチオンは優れた抗酸化力を持ち、活性酸素による細胞ダメージを防ぐ働きがあります。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

ちなみに、ペプチドは分子量が小さいので、肌に浸透しやすいと聞いたことがあります。本当ですか?

ペプチドの分子量は、アミノ酸の組み合わせによって変わります。ですので、ペプチドだからといって、一概に浸透しやすいとは言い切れません。加えて、化粧品の場合は他に配合された成分や、ご自身の肌状態によっても、浸透性が変わる面もあるでしょう。

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トラン氏

ペプチド配合コスメはどう選ぶべき?

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FASHIONSNAP

ペプチド配合のコスメは沢山あるので、どれを選んでいいか迷ってしまいます。

ペプチド自体も種類が非常に豊富ですし、特定のペプチドにフォーカスして選ぶのは難しいかもしれませんね。なぜかというと、1つの製品に機能性が異なるペプチドを組み合わせていることもありますし、そもそも化粧品はペプチドだけでなく、複数の成分を組み合わせて、機能を発揮するように作られています。まずは、「ご自身の肌悩み」に合う製品を選ぶことが重要ではないでしょうか。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

確かにその通りですよね。では、例えばアイテムの種類によって、ペプチドが力を発揮しやすいものもあるのでしょうか?

ペプチドは、種類によって性質が大きく異なります。化粧水など水溶性のアイテムと相性が良いものもあれば、クリームのような脂溶性のアイテムと相性のよいものもあるんです。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

やはり、一概には言い切れないんですね。

そうですね。ですので、先ほどお話しした通り「肌悩みに合ったペプチド配合コスメを選ぶ」というのが、近道かもしれません。そのためには、サンプルを試したり、店頭でアドバイスを受けるのも良いでしょう。

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トラン氏

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FASHIONSNAP

ペプチドはサプリメントや食品にも含まれていますが、食べたり飲んだりしても、肌への効果は期待できますか?

食品に含まれるペプチドは、健やかな肌を維持する可能性を秘めた栄養素です。その一方で、食べたり飲んだりしたものは、どうしても消化の過程で分解されてしまいます。肌に対して、化粧品と同じような効果が期待できるとは限りません。

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トラン氏

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ちなみに、ペプチドはヘアケアにも配合されていますが、頭皮や髪にも効果が期待できるのでしょうか。

特定のペプチドは、頭皮環境を整えたり、毛髪の成長を促進するという報告があります。キューティクルの保護など、毛髪と親和性の高いペプチドも開発されています。

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トラン氏

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ペプチドには本当に色々な種類があって、肌も髪も、体中のあらゆるところをケアしてくれるんですね。

そうですね。先ほどお話しした通り、化粧品成分のペプチドは、アミノ酸の配列を工夫することで、多種多様な機能性を持たせられるのが特徴です。高機能なペプチドに、他の成分や浸透技術を組み合わせることで、肌悩みをケアします。まずは、ご自身の肌悩みをベースに考えた上で、最適なペプチド配合の化粧品を選んで頂けたらと思います。

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トラン氏

■成分連載

美容ライター

宇野ナミコ

Namiko Uno

日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、WEBなどで美容記事を執筆している。担当分野はスキンケア、メイク、ヘアケア、フレグランス、美容医療など幅広く、丹念な取材をもとにしたわかりやすい記事に定評がある。温泉や銭湯をこよなく愛する入浴Lover。

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