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インバウンド売上回復基調、クリスマス商戦で宝飾品が売れる【百貨店ウォッチ - 2022年12月度&23年初売り】

インバウンド売上回復基調、クリスマス商戦で宝飾品が売れる【百貨店ウォッチ - 2022年12月度&23年初売り】

日本国内の主要百貨店6社(三越伊勢丹HD、高島屋、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武、松屋、阪急阪神百貨店)の月次既存店売上をレポート。各社の主要店舗で売れた商品もあわせて紹介する。

 今回は、クリスマス・年末商戦が盛り上がった2022年12月度と2023年初売りの商況をお届け。前年同月はリアルの消費が戻りコロナからの復活の兆しが見られたことが注目を集めたが、今月はインバウンド売上回復の後押しもあり、各社ともに前年実績を上回った。

※売上増減率は各社いずれも確定値
※売上は収益認識基準ではなく従来の総売上高で開示

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三越伊勢丹HD

 三越伊勢丹ホールディングスの12月度の売上は国内百貨店計で前年同月比8.1%増加。引き続き、首都圏で展開する三越伊勢丹を中心に売上を牽引した。

 2022年4月から9ヶ月連続でコロナ前の2018年を上回る実績で推移している伊勢丹新宿本店では冬物に加えて、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に春の新作が好調。新年の初売りでは夏から継続しているビジネスの需要回復・外出需要による購買が目立ち、スーツ、ビジネスシューズ、バッグ、アウターなどの動きが良かったほか、アクセサリーや靴、リビング用品(タオル)などセールで定番人気のアイテムには動員がかかり、セールの復調が感じられたという。プロパーも大きく伸長した。

■伊勢丹新宿店で注目されたアイテム:「タサキ」のイヤリング、ピアス、ネックレス

 ホリデーシーズンに合わせて、ギフトとしてもご褒美需要としても高い人気がある「タサキ(TASAKI)」のステージを実施しました。2022年は「バランス」コレクションを大きくプロモーションし、特に伊勢丹新宿店の高感度なお客さまと相性の良いコレクションだったことから氷柱をモチーフにした「デインジャー アイシクルズ」を先行販売しました。全体としてはイヤリング、ピアス、ネックレスが中心に好調でした。(伊勢丹新宿店 宝飾バイヤー 土屋友洋)

デインジャー アイシクルズのイベント
デインジャー アイシクルズのイベント
デインジャー アイシクルズのイベント

氷柱をモチーフにした「デインジャー アイシクルズ」のステージ

Image by: 伊勢丹新宿店

高島屋

 高島屋の12月度実績は、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品の好調に加え、インバウンド売上の押し上げ効果があり前年を4.6%上回った。

 2023年1月の店頭売上(15日までの累計)はコロナ前の実績には未達だが前年同期比11.9%増、免税売上は同224.5%増で推移。主要店舗の一つである高島屋新宿店では、営業開始初日の1月2日の売上は昨年同日比で37%増と大幅に伸長した。

■高島屋新宿店で注目されたアイテム:紳士バッグに買い替え需要

 高島屋新宿店は新年1月2日から営業し、朝から多くのお客様にご来店いただきました。初日の売上は昨年同日と比べて約4割増でした。年明けからいずれのフロアも賑わい、6階紳士雑貨フロアでは紳士鞄が1月2日から4日までの3日間で、前年同期比約60%増の売れ行きとなりました。コロナ禍の前、2020年の1月2日からの3日間と比べても上回るほどでした。これは、コロナの影響を受けて増えていたリモートワークから徐々にオフィスワークへ戻る中で、ビジネスバッグを新調する方が多かったことに加え、ビジネスとカジュアルの外出の両方に使えるデザインのバッグなどが良く売れたからではないかと考えております。

 「ペッレ モルビダ(PELLE MORBIDA)」のミニトートバッグ(税込3万5200円)は、助手席に簡単に置けることからドライブのお供として、またゴルフやおでかけにも使いやすいと女性にも好評です。また、同じブランドのクラッチバッグも人気があり、ビジネス・カジュアル両用として使われていますが、結婚式などのフォーマル需要でも支持を集めています。(高島屋新宿店 担当者)

ペッレ モルビダのトートバッグ

「ペッレ モルビダ」のミニトートバッグ(税込3万5200円)

Image by: 高島屋新宿店

大丸松坂屋百貨店

 大丸松坂屋百貨店の12月度の売上高は、ラグジュアリーブランドや宝飾品が引き続き好調であったことに加え、婦人アパレルや菓子・惣菜など、クリスマスや年末年始に関する商材が動き、9.6%増となった。婦人服・紳士服ともにコートやジャケット、ブルゾンが好調で、旅行用品やハンドバッグ、アクセサリーも売り上げを後押しした。化粧品や宝飾品は2桁増と好調に推移。免税売上は前年比約7倍に伸長した。

 1月度の初速に関しては初売り・クリアランスセールともに好調で、1月15日までの累計で前年比13.2%増で推移している。コロナ前の実績にはまだ未達となっている。主要店舗の松坂屋名古屋店の2023年営業初日(1月2日)は、入店客数は微減だったものの、売上は前年比7.8%と好成績を収めた。

※免税売上高の実績に大丸心斎橋店の定期賃貸借テナントの免税売上は含まない

■松坂屋名古屋店で注目されたアイテム:「ミキモト」のジュエリー

 特選フロアの売上は好調な流れが続いており、11〜12月にかけて特選カテゴリーでは8ブランドが改装・新規オープンしています。12月17日に移設オープンした「ミキモト(MIKIMOTO)」は、ラグジュアリーな空間の中でコレクションフルラインやハイジュエリーとの素敵な出会いをお楽しみ頂ける百貨店初のサロン型店舗となっており、コーディネートの提案や新たなパールの楽しみ方をお客様にお伝えし、ご満足いただいています。圧倒的な美しさを湛えたハイジュエリーから、デイリーにお使いいただけるパールジュエリーまでを取り揃え、年末年始の売上は好調に推移しました。

 洗練されたデザインと精緻な技を凝縮したジュエリーの中でも、水しぶきが上がる瞬間にインスパイアされたジュエリー「Mikimoto Splash Collection」のネックレス(約500万円)や、ヴァンドーム広場を舞うバラの花びらをイメージした「レ ペタル プラス ヴァンドーム ロゼ(Les Pétales Place Vendôme Rosés)」は、肌に寄り添うようになじむピンクゴールドの美しいフォルムの花びらが上品な華やかさがあり、顧客様方にご好評でした。また、「MIKIMOTO」の頭文字“M”から着想を得たアイコニックな「Mコレクション」はギフトとしても人気があり、「M Code Liberté」は、世代や性別を超えて“自由“に楽しめるネックレスで、普段使いとしての需要が多く寄せられました。(松坂屋名古屋店 インターナショナルブティック担当)

移転オープンしたミキモトショップの外観

Image by: 松坂屋名古屋店

そごう・西武

 そごう・西武の12月全店計は1.6%増で15ヶ月連続で前年実績を上回った。クリスマスケーキや帰省土産用の菓子など季節商品が売上を伸ばした。衣料品もトータルで前年同月比約5%増、コロナ前の2019年比でも同水準に達した。

■西武渋谷店で注目された売り場:年末年始に開催した訪日客向けイベントに賑わい

 そごう・西武では12月の免税売上高が前年比約230%、客数は前年比約1315%と水際対策緩和以降、好調に推移しています。特に西武渋谷店は回復傾向が鮮明で、免税売上高が前年比約505%、客数は前年比約4190%と新型コロナウイルス感染拡大前の2019年に迫る勢いです。

 その中で、2022年12月26日~2023年1月9日の年末年始期間、訪日客に向けて、訪日客にも人気の日本酒販売会や兎年に合わせたうさぎ絵馬など日本の文化を体感できるイベントを実施しました。また、中華圏の若い世代に支持されている、Aruta Soup氏デザインの缶バッチを免税カウンター利用のお客さまに先着プレゼントする企画や、ウィンドウや館内装飾でもAruta Soup氏のデザインを展開。多くの訪日外国人の方に楽しんでいただけました。(インバウンド担当 山口雅之)

イベントの様子
イベントの様子

日本酒販売会

Image by: 西武渋谷店

松屋

 12月の銀座店の売上高は、前年同月比約3割増となった松屋では、化粧品やラグジュアリーブランド、宝飾品が引き続き好調。特にラグジュアリーブランドはコロナ前の2019年同月比で約40%増、宝飾品は同1%増となった。免税売上も好調で、コロナ前となる2019年同月の売上高を上回る伸びを示し、12月度は全体の売上に対して約2割のシェアを占めた。

■松屋銀座で注目された売り場:サステナジュエリー「ENEY」

 松屋銀座では、2021年8月末にローンチしたサステナブルジュエリーブランド「エネイ(ENEY)」の12月の売上は、オープン特需のあった前年を超え、たいへん好調でした。環境に負担の少ないラボグロウンダイヤモンドを中心とした商品は、その製造過程やコンセプトに共感されただけでなく、独創的なデザイン性の高さで評価され、多くのお客様にクリスマスギフトとしてお求めいただきました。(松屋銀座 スタートアップ事業課長 島田成一郎)

TWO

Image by: ENEY

阪急阪神百貨店

 阪急阪神百貨店でも来店客数が堅調に推移。12月の売上高は10.2%増と前年実績を大幅に上回り、2桁増となった。コロナ前の2018年実績比でも2%増と好調だった。免税売上高は、今月も韓国・香港・台湾からの訪日観光客による売上がコロナ前を大きく上回り、全体としては2018年対比で90%を上回る水準で推移した。

■阪急うめだ本店で注目されたアイテム:「タトラス」などのダウンコート

 気温の低下もあり月を通してコート需要が本格化。特に後半は防寒目的もあり、売場を拡大して品揃えした4階 婦人服(コンテンポラリー)のダウンコートが主力になりました。

 ダウンはショート・ミドル丈のダウンコートが好調で、「マッカージュ」「タトラス」 「タイオン(TAION)」が人気。12月21日〜27日に開催した4階 コトコトステージ41「TAION EXTRA」POP UP STORE では、会期前より問い合わせも多く、初日より多くのお客様に来店いただきました。(阪急うめだ本店 担当者)

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